laisser faire,laisser passer

人生は壮大なヒマつぶし。
楽しく気楽につぶして生きてます。

じ・こ・ま・ん?

2024-06-25 | spectacles

巷で大評判。定員200人のテントに勘九郞寺島しのぶ豊川悦司六平直政風間杜夫ほかいわゆるメジャーシーンで活躍している名優が集合しちゃうんだからそりゃチケットも瞬殺でしょうよ。

おちょこの傘持つメリーポピンズ

天のお導きwにより入手できたチケットで見て来ました。勘ちゃんが変ったことやる、しかも宙乗り付き!てんでは行かないわけにも行かない・・・・もはや欲望というより義務!

もともと唐の芝居とかテントとか実は好きじゃないんです。いわゆる「アングラ臭」というものに拒否反応を示す。いちばん盛りだった世代の微妙に下という年齢のせいかもしれないし、単に声高に主張するヒトたちがキライなのかもしれない。

なもんで・・・若干の危惧はあったのですがね。

XなどのSNSではもうそりゃあ大絶賛の嵐で。みんながそんなに褒めるなら私も感動できるかも!と期待値のバーをちょっとだけ上げて臨んじゃった・・・のがよくなかったのか。

やっぱり、こういうの好きじゃなかったw
閉ざされた空間での閉ざされたシチュエーション。その中で繰り広げられる暑苦しいエンゲキという名前の自己満足。
いや、芝居なんて所詮は自己満足だよと言われればその通り。
作者も役者も演出も全員自己を満足させたくてやってるわけで。
商業演劇の場合そこに客を満足させられるという命題が加わっているから、ワタクシなどのミーハー客はやっぱりそっちのほうが満足度が高い・・・

この芝居、根っこは正真正銘のアングラでありながら上記のような商業演劇のスターを集めて、それらのミーハーファンを群がらせて(含むワシ)興行を打つ、という、言ってみれば矛盾の塊のようなものでありまして。いっそアングラ上等!でミーハーおばさんたちを徹底的に冷たくいたぶってくれれば面白かったのにw劇団の方達はまあ丁寧で礼儀正しくて。これはこれでもちろんケチつける筋合いじゃないんですけど、非日常としてのアングラテントを楽しみにしてた自分にはあららら?って感じだったのも正直なところ。

肝心の芝居は、といえば先ほどからつらつら述べてるように唐とか寺山とかの戯曲は元から好きじゃない。
メジャーな舞台に掛かったときに何度か見ているけれど正直「古い」としか感じられなかった。
おちょこ・・・は初見なので、元々の戯曲からどの程度変化しているのか知る術もないが。やはり「古い」。テーマも古ければ扱っている社会背景も古い。
で、観客はどこを見るかといえば役者を見るしかない。
個々の役者はさすがの実力者揃いで(約一名除く)その点では満足できた。
約一名除いてしまった実力不足(というか具体的には声量。あのテントでここまで通らない声では。。。)の役者には圧倒的な華があって、こちらも満足できた。トヨエツ好きなのよワタクシw

タバコと蚊取り線香の煙に燻されながら二時間半、退屈はしなかったけど、正直「私はなにやってんだろう」という空虚な感想が残った。勘九郞の素晴らしい芝居、踊るような動き、それらにはもちろん魅了されたのだからヲタク的には後悔はないのだけれど、個人的に、非常に個人的には「こんな芝居でここまで動いてこれ以上膝壊さないでくれ!」という叫びにもにた祈りが胸の中で渦巻いていたのである。

実際に芝居を見た後で改めてXの感想など再読してみて、ああ、これって(タイトル名)だったんじゃないの?と気づいてしまった。誰も具体的な芝居の感想を述べていない。おそらくほとんどの客が理解できていない。いや、理解しようとすらしていない。

タダ単純にめっちゃ話題の舞台、非日常のテント芝居、伝説の唐サンの芝居。。。そして何より名優集合でチケット取れない芝居を見に来てるワタクシに酔っているとしか。。。残念ながら思えなかった。

で、ワタクシはそういうワタクシに酔いきれなかった。

先ほど芝居なんて所詮は自己満足だ、と書いた。それは否定しない。そういう意味からこのテント芝居は偉大なる自己満足の発露だったと思う。でもそれは表現する側にこそ許されることであって、客がそこに存在したことだけに自己満足しちゃって良いのか?

舞台の自己満がインタラクティブであっていいのか?なんだかものすごーく変な徒労感が残った観劇ではありました。

冒頭画像は豪華パンフレットw宇野亜喜良が存命でしかも新作描いていることにびっくりして思わずTシャツと合わせて購入してしまった!

写真上 終演後の外からテント内部を見る。コクーンや中村座の原型はたしかにここにあった。

写真中 礼儀正しい令和のアングラ役者たち。テントの設営からグッズ販売まで頑張る頑張る。こういう自己満はいいのよw

写真下 ちょうどこの写真を撮った直後に六平直政が出てきてそこらをウロウロしてた。真っ赤なジャージーがまんま花園神社にいそうな風体だった。後で衣装だとわかるのだがw


時蔵が名前負け

2024-06-17 | kabukiza

タイトルが逆の意味?なのはわざとです!

なんつかばいちゃん(じゃなくてとっきーと呼ばなきゃだめなのか)はもはや立女形の風格があって。とっきー父さんがいつまでも若々しくて音羽屋の女房としてちょうど良かったのに比べて「孤高」って感じすらしてしまったので。

そこに至るまでの二幕はまあそれなりでした.

上州土産百両首

亀治郎の会で見て以来?

アジャガジが菊之助というのがなかなか新鮮だと思ったし、正直最初は獅童とニン逆じゃないの?と思ったけど、アホで純粋というアジャガジ、やり過ぎないで淡々と演じるほうがよりラストの哀しさが際立つなあと再認識。
そういえば亀治郎の会でもまあまあイケメン枠の福士誠治がやってたわね。
獅童がやってたらくどくて辛かったかも。

辛いと言えば冒頭の萬屋親子+獅童の場面が辛くて辛くて・・・なんつか下手くそ三人が必死で芝居してる感じ?


錦ちゃんは個人的には良い下手くそだと思うのだけどw息子さんはちょっとすかした仁左衛門コピー下手くそになっていて、昔の素直な下手くそのほうが好きだった。
獅童は・・・ねぇ・・・下手くそというのとはちょっと違う。歌舞伎として変。突然大声張り上げてみたり、台詞の溜めが長すぎて台詞忘れたんじゃ?と心配になったり。本人はあれ、歌舞伎風にやってるつもりなんだろうか?

で、アジャガジが登場してものすごーくホッとした。一人出来る人が加わるだけでここまで芝居が締まるものなんか?
個人的には最近結構「嫌いな役者」ジャンルに入りつつある菊之助だけど、さすがに自力は三人組の比じゃないと再確認しました。

というわけで後半はそれなりに楽しめました。獅童くんは変な「自己流歌舞伎」を演じるのはやめていただきたかったけど。見た目はかっこいいしいわゆる華はあると思うのでまあ惜しい。坊ちゃん二人は彼を見て育つんだからさ!

千本桜からの所作ごと(例によって外題忘れ)

傀儡師の出てくるこういう所作ごと、千本桜の通しでも見たことない気がする。忘れてるだけかもしれないがw

まあ典型的な箸休め。若手中心でほっこりしました。
なんかすごいイケメンが一人いて、誰これ?隼人?と思って見てたらまあ隼人にしたら踊りが巧い
随分進歩したんだなあなどと納得しかかっていたら、誰だったかの台詞のなかに「播磨屋と高麗屋云々」てのがあって。
播磨屋は義経役の又五郎さんだよなあ。高麗屋なんていないじゃん(まだ気づかない)。これから出てくる人を当て込んだ台詞って変だよなあ・・・(数拍置いて)・・・えええ?ええ?まさかの染五郎?
巷ではイケメンと言われてるけどちっともそうは思ってなかった染五郎?

はい、イケメンでしたw

左近くんが可愛い娘で、ほっこりするやら、松緑の跡継ぎがこれではどうするんだ?と心配になったり。御曹司トレード制とかあってもいいのにね。無理だろうけど。

個人的に子どものころのフェアリー種ちゃんのファンとしてはなんか箸休め所作事要員として扱われがちな最近の種ちゃんがもったいない。もっと出来る子なのに!

 

三笠山御殿

いやあ巧いとは思ってたけど。そしてずっと巧かったんだけど。

巧さが鼻についたり
妙に老けてみえたり

好きな役者に入れるにはいま一息って感じだった新時蔵。
襲名で必死なせいか、技巧臭はゼロ。
周囲の役者が大きいせいか、ちゃんと哀れな小娘に見えて。

ワタシが今までみたお三輪ちゃんの中では先代雀右衛門に匹敵するくらいのベストに近い出来だったんじゃないでしょうか。この人は萬屋どころか歌舞伎を代表する女形になるに違いない。いやなってもらわないと困る。と思いましたです。

御殿の官女に萬屋ご親戚関係の立役さんが勢揃い。豆腐買いが仁左衛門、と襲名演目ならではのごちそう感も満載で。
久々にレベルの高いTHE歌舞伎を満喫しました。

 

楽しかった!

画像は千住博の手になる新時蔵の祝い幕。これはここ数年の祝い幕で個人的にベストだと思う。金色のローマ字はちょっと・・・とおもったけど。色目的にクリスマスみたいなのと、MANJUじゃ饅頭だろ!ってのと。Mで始まってるからよりMerry chirstmas感がw
シド君のお子さん二人の初舞台祝い幕はビートさん作。こちらもシド君ちらしくて楽しい幕でした。芝居を見てないので実物も見られませんでしたけど。


少女よ!歌舞伎座で待ってるぞ!

2024-06-10 | kabuki a Tokio

国立劇場歌舞伎鑑賞教室のどさ回り。今回はサンパール荒川というところ。
行くつもりはなかったのですが亀鶴くんの八右衛門が好評なので・・・

芝居の感想はほとんどないので書いちゃいます。下に二つたまってるけどw

封印切

解説が宗之助。芝居に出番がないのが気の毒。おえんだって、なんなら梅川だって出来るだろうに。

亀鶴くんは思ったほどではなく、(彼はもっと出来る子!)がんじろはんはもはや縦より横の方がでかい感じでなにやっても滑稽に見えてしまう。

上方和事の二枚目ってただでさえ一歩間違うとお笑いになってしまいがちなスレスレの色気だと思うので、せめて縦と横が同じくらいになるくらいまでは努力してください。二枚目の可愛げが全部滑稽味に変換されてしまう外見はなんとかするのが役者としての勤めじゃなかろうか。外見忘れさせるほどの芸もないんだし。いや、がんじろはんは好きな方なのであえて辛口で。

ってことで舞台はつまらなかったのですが、ハイライトは終演後の帰り道。
若い女の会話が聞こえて来て・・

「思ったより面白かったよね」とか

「今度は荒事っていうの?顔に色塗ったりするヤツもみてみたい」

なんて聞こえて来て。

おお!鑑賞教室帰りのお嬢ちゃんたちなのね。と思わず聞き耳を立ててしまいましたの。

そしたら

「あの人達これからどうなるんだろうね。やっぱり死ぬのかなあ」

なんてまあおばちゃん、どうしたって教えたくなっちゃって。

くるっと振り向いたらマスク姿の女子高生?お二人。

「あのね。あのあと男の人のふるさとに行って。男の人のお父さんには会えるの。最後には結局死ぬしかないんだけど、雪の美しい場面で、とても素敵なお芝居になってるので良かったら見て見て」

なんてしゃべり掛けたらまあよい子達。

「へー。へー。見て見たい!」

おばちゃん懲りずに話しかけ

「もっといい男や綺麗な女の人が出る芝居もあるし、若い役者もいるからね!」なんて余計なことを言ったら

「いや、今日の中でも素敵な人いましたよ!」って一人の子が声張り上げたもんで

ヒョットシテ亀鶴?

なんて心の中でめちゃ期待したんですけど。

「あの、あそこのご主人みたいのやってたひと」

うーんと。うーんと。

「彦三郎さんね!声がいいよね!」

「声もいいけど、カッコ良かった!」

彦サブかっこいいっていう女子高生!あんたは歌舞伎ファンとしての才能ありありや!

「彦三郎さん、Xとかやってるからよかったら見て見て!」

と最後に付け加え、それ以上食い下がって嫌われてもいけないので、別れました。

いやあ、こうやって歌舞伎に興味持ってくれる子達も(少ないだろうけど)いるんだなあと、ほっこりした気持ちになりました。荒川まではるばる出かけた甲斐があった!

冒頭画像の女子高生は登場人物とは一切関係ありません。念のため。

画像は荒川浄水場とその隣の公園。いやあここでお水を綺麗にしてくれてるのですね!正直ちょっと臭ったけど、まあしょうがない。ご近所の方々ごめんなさい!お世話になります。


ゆったりと

2024-06-09 | spectacles

 

なんかとっても久しぶりの気がする新派公演@三越劇場。

演舞場から三越に移ったとき小さくて嫌だあとぶうたれてたのが夢のように、今や三越でも興行を打てるだけでありがたい感じになってしまっている・・・現実はきびしいですが、舞台の上はあくまでも緩やかで穏やかで・・・こういうのもたまにはいい。

の感想はきっと近日中に!書くぞ!本当か?

とりあえず画像のみ。画像撮影した人はSNSに上げなきゃ駄目だ!と雪之丞さんに言われたので載せておきます。

 

 

見たことあると思ってたけど初見だった。通常の逆パターンw

えんるーくんこと一郎くんが良い役もらってた。悪くはないんだけどやっぱりあの役には厚みというか渋味が足りないかなあ。新派の、とくに男性の層の薄さが身に染みる・・・
さしたる動きもなく、心情を台詞で説明してゆく台詞劇なので役者の力量が問われると思うのだけど、段ちゃんと春猿さん(段ちゃんに合わせて昔の名前で・・・)はよくやってたと思う。
段ちゃんはちょっとだけ台詞を謳いすぎ・・・?拵えのせいか、鶴田浩二に見えちゃって、手を耳に当てて歌い始めるのかと思ったり。
春猿さんは一郎君のおかみさんには見えないなあと思ってたらやはり・・・の展開だったかw
もう一役のほうはちょいと無理がある?

ま、地味な台詞劇なので、客席は静まりかえって(いろんな意味で)ましたが悪くはなかったと思う。

お江戸みやげ

どっちかというと歌舞伎で見た回数のほうが多い。
先代芝翫さんのおつじ、富十郎さんのおゆうは映像でしか見られなかったけど絶品だったし、近々では息子のほうの芝翫のおつじ、勘ちゃんのおゆうで見た。どうも成駒屋さんがおつじ、中村屋系はおゆうって約束がある?w

で、こちらは新派ですけど、中村屋系なのでwクリコがおゆう。主役のおつじに客演の渡辺えり。これ、以前は八重子がやったりしてたのかしらん?知らんけど。

良く出来た本だけに単純に楽しい。笑って笑ってほろりとさせる・・・とくに三越劇場に集うような妙齢wのご婦人人は刺さる内容ではないかしら。

真面目一方だけど酒を飲むと人格が変ってしまうおつじ、結構さばけてて人情の機微がわかるおゆう。えりとクリコは逆のほうが似合ってるような気もするんだけど・・・前述の事情が絡むのか、外部から来てもらったら主演じゃないと、ってのがあるのか。

いや、悪くはないんだけど。えりがいろんな意味で肉感的というか生々しさが強くてね。おんなとしての現役感と言ってもよいかもしれない。

段ちゃん演ずる役者、栄紫とのあれこれが「ひょっとして・・・」みたいな風に見えちゃうのよね。敢えて見せてるんだったらごめんだけど、歌舞伎のこの芝居を見てそういうゲスイ想像したことなかったもんで。
ちょっとおつじの印象が変ってしまったことは否めない。

それはおこんちゃんの印象にもよるのかも。綺麗な若女形で見ることが多かったのだけど、この日のおこんちゃんはまあ、なんつか、町娘1.みたいな印象の女優さんで。丸顔でちゃきちゃきしてて。年取ったらえりさんになりそうで。つまり、段ちゃん(栄紫丈)はえりさんも好みのタイプに入っちゃうかも、というイメージがねw

まあそこらへんはえりさんと年の近いワタクシのゲス根性のなせる技なのでせう。

 

段ちゃんはとにかくそこらに立ってるだけで「女が取りあいするんだろうな」と納得させる姿の良さ。声の良さ。
正直こういう役者、今の歌舞伎にはいないと思う。つくづく仁左衛門の跡継ぎとして育ててやって欲しかったわ。

白猿さんはしゃべるとがっかりだし、隼人くらいか?将来的に可能性があるとしたら。
春猿さんの意地悪役好きな私的にはごうつく女将も素敵でした。

全体的には満足だったのですが。

ここから妄想含んだ愚痴

なんというか、層の薄さは否めない。多くのベテランが亡くなられたり体調崩されたりしてるのはしかたないけど。児玉さんとかの中堅男優さんが出てこないのはなぜ?女優さんもまだまだベテランできれいどころが残ってると思うんだけど。まさかの段ちゃんとの共演拒否?なんてことじゃないと良いのだが。(約一名の若手女優さんは仕方ないけどw)