laisser faire,laisser passer

人生は壮大なヒマつぶし。
楽しく気楽につぶして生きてます。

いつやるの?今でしょ!

2013-09-29 | spectacles

そろそろクリシェから死語になりつつあるタイトルですんません。

ロミオとジュリエット@シアターオーブ見てきました。話題の松也くん目当て?ですが話題は関係ないです。3月にチケットとってますから。

本日のキャストはこんな感じ。

直接私をご存知の方あるいは当ブログを長く深く読んでいる方(いない)ならお分かりだろうと思うけれど、タモリかlavieかというくらいのミュージカルアレルギーであります。
オペラはいいんだけど、ミュージカルのしゃべってて突然歌いだす感がどうにも恥ずかしくていけねえや。

このミュージカル、割とオペラでいうところのレチタティーボがなくて台詞パートとアリア?パートが分かれてて、木っ恥ずかしさはあまりなかったのが救い。
それでも、やはり「なんでわざわざ歌うの?」という根源的な疑問は付きまとってw
オペラみたいな圧倒的な歌唱力を見せ付けてくれれば、こりゃ歌うのもしょうがないな、と納得できるんですがねぇ。ミュージカル、特に日本のミュージカルではほとんどの場合「これなら普通のせりふのほうが伝わるんじゃないの?」みたいな出来のことが多いもんで。ダンスもまたしかり。
役者さんたちが身体を動かして楽しむため?とか思っちゃうんですわ。

なもんで、ミュージカルは贔屓の役者が出てるか、よほど興味を引かれるものしか見ません。今回はそれがダブルであったというわけで。
フランスで大当たりを取ったミュージカル(ブロードウエイじゃないところがいいw)で先日フランスヴァージョンが来日公演したときもちょっとだけ興味を持ったんだけどやはりミュージカルということで二の足を踏んだんですが、そこに松也が加わるってことで、スイッチオンになっちゃった。

結果。

いいお歌が多いのねぇ。メインテーマのエメなんて帰り道口ずさんじゃったもん。もう忘れたけど。
ただ・・・キャストが・・・芝居が出来るとダンスが駄目、歌が巧いと顔がいまいち。
うーん。三拍子揃ったミュージカル役者ってまだ日本では育ちきってないのか。ミュージカルが人気になってから相当長年たつよねぇ。四季とか目の肥えた客も多そうだよねぇ。
んな中でロミオをやった城田優がなかなかの芝居・歌・ダンス・外見の総合点でちょっとびっくり感心した。
いわゆるイケメン役者のカテゴリでドラマに出てるのしか知らなかったけど、こんなに実力のある人だったんだね。
他の若手と一線を画してたな。
残念だったのがジュリエット。このミュージカル自体、ジュリエットの役割はそれほど大きくはないのだが、いや、だからこそ、清純な存在感が命だと思うんですが・・・
フランク莉奈さん?初めて拝見しましたが、歌もいまいち。芝居も・・・何より声がキンキンして、お顔も高見恭子(古い)みたいで少なくともジュリエットではない。こんなジュリエットじゃロミオも死ぬほどほれないでしょう、と思ってしまう。
ティボルトの加藤和樹はまあまあだったかな。
今回城田優がティボルトもやるらしく、ロミオを見ながらこの人本当はティボルトのほうが似合うんじゃ?と思っただけにちょっと見てみたくなった。もちろん見ないけどw

一番期待していた「死」の宮尾俊太郎。
冒頭から最後まで、要所要所で現れて無言のまま死の踊りを踊り続ける。
最大限の存在感とテクニックが要求されると思うんだけど、ダンサーとしてのテクニックは相当感じたけれど、「死」の圧倒的な存在感が最後まで感じられなかったのが残念。
これ、フランス版とかだとすげーよかったんじゃないのかな、という予感。フランス人得意そうだもん。


そして肝心の松也。

2.3日前に例のAKBスキャンダルwが出たばかりで会場のお嬢さん、昔のお嬢さんたちの中でも「ほら、あっちゃんの・・・」とあちこちでささやきが聞こえ、注目度は抜群だったのですがw
歌は巧いよねぇ。ロック四谷怪談でも思ったけど、ちゃんとしたミュージカルwでもまったく聞き劣りwしない迫力の声量。
ダンスはまあ・・・日舞っぽいというより体操みたいだったw。
芝居がなんだかとても不自然だったのは歌舞伎っぽさを消そうとして棒になりすぎてたのか?
もともとそれこそ「ワトソン」的な見せ場はさしてない役なのだけれど、普通の役を普通じゃなく、一味ちがってきらりと光るものを、ってことが松也ならできるかと思ったんだけど、いや~まったく普通のままでした。
せっかく客が注目してくれてる今だからこそ、もう少しやりようがあったんじゃないの?と思ってしまうのは歌舞伎ファンとしての身びいきかしらん?
外見のこと。歌舞伎では長身でスタイルよく見えますが、若手ミュージカルスターwの中に入ると背も普通、顔はでかい。
面白いなあこういうのって。

歌舞伎からミュージカルスターに転進するのはちょっと無理そうですw

(そのスタイルよろしいミュージカルスターたちも、宮尾俊太郎と並ぶと顔がでかく手足が短いwのにまた笑ってしまった。きっと宮尾はオペラ座バレエ団あたりと並ぶと顔が(以下同文)なんだろうな)。

そして私は今後決してミュージカルファンになることはないだろうなあ、とミュージカルを見るたびに確信の度を強めるのでした。
いや面白かったけどね。


三回目にはそっと飽き

2013-09-25 | kabuki a Tokio

九月花形歌舞伎夜の部、三回目にはそっと秋、じゃなくて飽きましたとさ。

細かい感想はいずれ。書くかな?

陰陽師

 

一応書きました。いや、別に悪い作品だとは思わないのよ。

 

ただ、新作で直近なのですぐ比較して申し訳ないんですが天日坊のときのような
何度見ても新鮮、何度見てももう一度見たくなる、見終わったらすぐ見たくなる!みたいな
深さは最後まで感じられなかったなあ、と。
勘九郎ファンとしては見れば見るほど博雅の存在感が増してきて、三度目の楽などは、これ、博雅が主役じゃないの(笛だけじゃなくて台詞の重みも含めて)と思ってしまったので、贔屓役者が主役かどうかという観点は関係ない、念のため。

原作のまとめ方、そもそもなぜこれを選んだのかという疑問点など、いろいろあるのだけれど、
一番大きいのは、これは、今回の公演が興行的には大成功だった要因でもあるので実に裏腹で仕方ないんだろうが、
主役クラスの花形を七人も集めちゃったせいで、全員に見せ場を作らなければいけなくなったこと。
新薄雪のようにすでに物語が出来上がっているところにはめ込んでいくのとは違って、新たに作るがゆえに、なるべく誰にでも一度は見せ場をつくるべく、余計なストーリーをでっちあげたり、あるいは原作にある重要なエピソードを削ったり、との出し入れが、結果的に功を奏さなかったということなのだと思う。

だから、最初はとにかく豪華な面子が全員それなりに活躍してることで満足し、二度目は引きで見て、舞台装置や照明で感動し・・・三度目、さて、物語と対峙しようと思ったら、対峙すべきなにものもありゃしなかった、ってことなんだろうな。

えっと。原作はさらっと読み飛ばした限りにおいてたいした作品だとも思いませんでしたので、いわゆる原作厨ってわけでもないのですよ。
正直書き飛ばした、悪い意味での大衆文学だと思うのですが、それにすら遠く及ばない世界でしかなかった・・・

海老蔵松緑菊之助そして勘九郎はとてもよかったし、愛之助も初日に比べるとかなり迫力を増していて、役者は全員それなりによかっただけに、もう少し物語自体に深みを増せなかったものか、と。
これだけ興行的に成功したから、再演もなくはないんだろうけれど、そのときは逆に染五郎以外は全とっかえで、役者の顔ぶれを揃えることより、物語の厚み深みを増すことに集中して欲しいなとも思ったのでした。
ま、それではまったく違った作品になっちゃって「再演」とは呼べないわけですがw

つまり、再演はいらんだろ!と言ってるわけでありましたwwww

一階かぶりつきから見た幕開きの世界、月がのぼるまでに満天の星が・・・!
これ初日のとちり席では見えなかった(と思う)ので、本当にかぶりつき席の客だけの特権だねぇ。ふふふ。
幕開きが一番好き→次は子供の滝夜叉姫のシーン。つまり魑魅魍魎が好きなのか、自分。

最後のカテコに、松緑くんが出てこなかったのはブログでカテコ批判してるだけに筋が通っていて良かったと思う。
七之助が拵えのまま出てきたのは、一時間も前に出番終わってるくせにどれだけカテコ好きなのよ、と笑ってしまった。もちろん染五郎に言われてのことだろうけど、一時間拵えのまま待っててカテコがなかったら気の毒だなあ、とも。
(初日はどうもそうだったらしい)w

 

ま、御曹司たちのお祭りを、眼福と微笑ましさで見守る、という意味では楽しかったけれど、コレだけの面子が揃うことが裏目に出ちゃったのが実に残念でした。

 


周回遅れ!

2013-09-25 | kabuki a Tokio

九月花形歌舞伎歌舞伎座千龝樂昼の部です。

まずは新薄雪物語

二度目だし、基本は初回とそんなに変わってないので、タイトルの人への苦言w中心に。

海老蔵くん。・・・あああ・・・・

初日は本当にびっくりしたのですよ。あそこまで台詞が安定している海老蔵くんは初めて見たので。
大膳と民部の演じ分けが出来てないことが気になったりはしたのだけれど、そこが気になるってことは逆に一歩前進なわけで。何しろ今までは演じる云々より、声を聞いたら気持ち悪くなってたんだからさ。
気持ち悪くならないだけど、今月の海老蔵、凄いじゃん!と思ったりしてたんですが。

…要するに初日は教わったままに一応やれてたんで、台詞まわしが気持ち悪くなかったんだ、25日やってるうちにすっかり教わったことを忘れて元に戻っちまったんだ、という最悪の確認をしてしまいましたとさ。
例のヨーデル、そして父親譲りの御詠歌みたいな節回し、そしてこれは初日もそうだったんですが乗り地の悪さは相変わらずで。
台詞回しのあの気持ち悪さが、なまじ、一度消えただけになんだか余計物凄く気持ち悪く感じてしまった。
ハンザワ海老蔵くんに倍返しされた心持さ!あたし何もしてないのに!でも土下座すれば許してくれるなら土下座するから許して!直って!


この人、本当にどうするんでしょ。
梅の方を堂々と演じきった菊之助はもとより、それぞれちゃんと進歩を続けている染五郎・松緑・愛之助の先輩同世代からはるかに遅れを取ってる。
どころか、年下の勘九郎・七之助はおろか梅枝よりも(以下略)

周回遅れのエースはこのあと、突然目覚めてゴールのときはトップ集団に追いつくことができるんでしょうか。恐らく彼のゴールを見届ける体力財力はないので、なるべく早く、せめて周回遅れではなくなってもらいたいのですが・・・
あれだけの資質を持った成田屋御曹司、本当に頭と耳を取り替えてさしあげたい。

海老蔵ショックwが大きすぎたけれど、他の人はみな良かったですね。

特に良くなってたのが薄雪姫の梅枝。
ビッチぶりが透けて見えてしまった初日と打って変わって、とにかく左衛門くんが好きで好きでしょうがないだけの純情一途な女の子にちゃんと見えてた。
そうなるとあの長ーい老け顔も可愛く見えてくるから不思議w
ちょっと芝翫さんに見えたよ。血、つながってるっけ?

薄雪姫が純情に見えたのは、左衛門が魅力的になったからってのもあると思う。
正直ニンではない白塗り二枚目、びっくりするほど色気が出てきてた。
幸崎邸に忍んでくる出のシーンでの色気は凄かった。勘九郎の出であそこまでジワが聞こえたのは初めてじゃなかろうか。なんていうか地鳴りみたいだったw
押し捲られていやいやではなくて、あんたもいつの間にか薄雪ちゃんが大好きになってたのねぇ。

三人笑いは初日から完成度が高かったのだけれど、楽はそこに凄みすら加わって。
特に菊之助と松緑は完全に本役といってもいいほどの出来。
楽の松緑、夜の部はいまいちだったのだけれど、こっちに命かけちゃったからかもね。
今月は夜の部の新作ばかりが注目されているけれど、lavieにとっての2013年9月は昼の部において、菊之助と松緑が花形役者から中堅へと一歩踏み出した記念碑的意味を持つようになったと思った。
そして永遠の花形宣言wをしてるかのような染五郎。
個人的にはそれでもいいような気もするけれど、高麗屋の跡取りとしてはまだまだ軽い。軽すぎる。ニンにないのに大変だろうけど重くなってください。

新薄雪物語、これまであまり面白いと思わなかったのだけれど、花形役者たちの美しさと必死さで、面白く見られたので、苦手は狂言が減った、という意味でも私にとっても記念碑的な出来事でした。

そして

吉原雀

これ、初日に見たときに感動して、毎日幕見で見てもいいいや!と思ったのを
楽に思い出したwww
どんだけ並ぶの嫌いなんだ自分。
…いや、悪くはないけど、15分程度の踊りのために一時間以上も並ぶほどのもんでもないわねぇ、冷静になれば。
勘九郎の踊りはもちろんいいのだけれど、この舞踊に関してはまだまだ若いかな。
以前梅玉・魁春で見たときの地味だからこそにじみ出る風景、みたいなものがまだ見えてこないのよね。
それは私が勘九郎の踊りフェチで彼の顔と手先しか見てないからってのもあるかもしれないw
全体を引きで見たら風景、見えたのだろうか。

いかにも玄人好みで勘九郎が好きそうな踊りなので、20年後に猿之助さんとでも踊ってもらいたいな。
七之助にはこういう渋い踊りは永遠に似合わないと思うので、是非相方はチェンジでw

 


沼津は遠かった

2013-09-21 | spectacles

そりゃ、江戸時代歩いて何日も掛かったのに比べれば・・ですが新幹線使わなくても二時間かからないはずなのに、11時開始で沼津は2時過ぎだった。

いや、国立劇場での文楽・伊賀越道中双六 第一部での話ですが。

歌舞伎のなんちゃって通しを遠い昔wに見たことがあるのだけれど、文楽ほどかっちりやってくれるわけでもないし(歌舞伎って役者がかっちょよくみえない場は容赦なくカットしちゃうからねぇ)、本当は後半も見たかったのですが日程とチケットの都合がつかず、とはいえ、運よく人気の一部を見ることができたので喜んだのだけれど。

いやあ、前半、沼津にたどり着くまでがなかなかの退屈道中でしてw

特に円覚寺の段は、ほぼ夢の中・・・なので肝心の刀すり替えの部分がまったく分からず、刀すり替えがわからないと、あの段はナニがナニしてなんとやら・・・が五里霧中状態になっちゃうので、なんでこの人たち泣いてんの?(板の上でも下でも)でひさびさに「取り残され感」を味わったのでした。いや、寝てた私が悪いんですが。

…その前後の和田行家館も、唐木政右衛門屋敷も、長いし。唐木政右衛門はこの芝居全体でも3番目くらいのいい役なんだけど、なんだか今日文楽見た限りではいい男には思えなかったなあ。
11月国立劇場の通し狂言(といっても歌舞伎だから半通しだけどね)で橋之助がやるらしいので、イメージが変わるかどうか、楽しみ。

ここまで好きな太夫が誰一人いなかったのも退屈に輪をかけたかも。最初の最初に小住くんが出てたんだけど、なんと文楽では珍しい御簾内でorz

しかも出番数分。いわゆる前説的な感じね。まあいちばん下っ端で語らせてもらえるだけいいのかもしれませんが。
あ、出番は短かったものの大広間の段の咲甫さんはさすがの美声と表現力。やっぱり若手ナンバー1の地位はまだまだ呂勢には譲ってもらえないw

 

というわけで三時間、ようやく沼津到着!

やっぱり有名な段は有名なだけのことがある。よくできてるわ。

歌舞伎とあちこち段取りが違うのも面白かった。
客席お散歩がないのは当然としてw、全体にあっさりしてる。とんとんストーリーが進む感じ。
なかで一番びっくりしたのが、十兵衛が平作と自分が親子であると悟るのがずいぶん早い段階である、ということ。
お米へのプロポーズwも純粋にお米にほれたから、というのではなくて、平作にお金を受け取ってもらうための口実っぽい感じになってる。
歌舞伎は役者中心なので、色事師w的な十兵衛の人間性を浮き出させることを主眼に、文楽はストーリー主に、あくまで義理と人情wに苦しむ十兵衛を見せることに徹する、という感じかしら。
個人的には文楽の十兵衛のほうが好きだなあ。
逢っていきなりプロポーズwはいくら二ザ様wでもちょっと軽薄すぎると思ってたんで。

ここに来てまとめて好きな太夫さんが!

平作内で呂勢+清治。マイベスト文楽コンビ!
…この地味な場面を語って唸らせるにはまだちと年期が足りない感じかなあ呂勢さん。
全盛期なら住さんが千本松原とあわせて語るところだろうけれど、まあ正直つなぎで出てるんだろうが、だからこそのチャンスだと思うけれど。
どうしても住さんで聞きなれた耳が比較しちゃう感じ?って私ニ度くらいしか聴いてないけどwww長年聞いてるファンならますますそうなんだろうな、と思います。耳足りないwって感じ。
いや、逆に言えば住さんと比べても、その程度の不満で済むくらいに進歩してるってことでもあるのか。ぽじてぃぶしんきんぐ!

三味線もまあいわゆる曲弾きとか一切ない場面なので、パフォーマー清治としても物足りなかった?w

続く千本松原。うん。ここは住さんお帰り!と取り合えずもろ手を挙げて祝福しましょう。
正直声は往年の1/10かな。そして表現も極限のミニマリスムというかw褒めれば削ぎ取れるものはすべて削ぎ取った、貶せば棒読みw
いや本当にスレスレのところ。半分不満半分喜びだったのです。これ、絶賛してる人は絶対過去の栄光分をプラスしてるよなあ、などといぢわるなことを思いながら。
だけど不思議なことに平作最期の場面ではオエツしてる私がいたんで・・・
淡々と語られるほうが、よりドラマティックだってこともあるのねぇ。
どんな歌舞伎より、今までの住さんの沼津より、泣けた。
もちろん語りの技術だけではなく、そこには住さんが倒れて、また戻ってきてそこにいる、ということのありがたさや、年老いた平作に住さん自身を重ね合わせての妄想とか、最後の最後の台詞

♪わかれゆく・・・を本当に淡々と、だけど万感こめて語る住さんの姿に自分のいろいろな思いを重ね合わせちゃったとか、もちろんいろんな要因があってのことなんですが、まあ演劇なんて本来そういうものよね。
舞台から投げかけられるいろいろなものをこっちがどう受け止めるか、そういう意味で、本当にチケット無理して取って、あげく沼津まで遠かったwけど、行ってよかった、と思ったのでした。

白湯汲みの小住さんが心なしか泣いていたような気がしたのも、また感動に輪をかけてしまったwww
もし本当に泣いてたなら、師匠に怒られたのかなあ。でも内心では嬉しいんだろうなあ師匠・・・

人形遣いに関してあまり興味がないのですが、今回、私にとって唯一の例外、特別な人形遣いさんであるところの蓑助さんがちょっと衰えていたのが気になった。彼の女形は出てくるだけで「違う!」と思わせる独特の体使いだと思うのですが、正直今回は普通の女形使い並み。そして段差があったのもあるけれど、移動のときに四人目の黒子が腰を支えてサポートしてたのも気になった。
来月のパリ公演で私は彼とあえるのだろうか!(チケットは無事ゲットしたのだ!)。

 

 


悪相とカールおじさん

2013-09-19 | kabuki a Tokio

演舞場夜の部見てきました。歌舞伎座が満員でこっちがこんなに空いてるのはなぜだろう?なぜかしら?

やっぱ人間誰でも若くて綺麗なのが好きってことなのかなあ。客席はどっちもぢいさんばあさんが主流なのだが。まあ歌舞伎座のほうがおねえちゃん率は高かったけどw

不知火検校

たぶん初めて見る。

もっと残虐非道な話かと思ってたらそうでもなかったw
薮原検校みたいな子供殺しとか直接的な描写が少なかったせいだと思う。冷静になって考えればとんでもない奴ではある、富の市。
前半、さまざまなエピソードが細切れに出されて、少々退屈した。退屈した結果旅の疲れもあって夢の世界へさまよっていたので、余計退屈するという悪循環もw
座頭が三人。ひとりめは富の市誕生への因果応報的な話。この座頭くんが久しぶりの錦成くん。大きくなったなあ。ふたりめが私の玉ちゃんこと玉太郎。富の市の子供時代。頭よさそうには見えたけど、根性悪そうには見えなかったなあ。まさか大きくなってあんな悪相になろうとはwww

三人目はもちろん幸四郎。時代物だとどうしてもわざとらしさが目に付く人だけど、世話モノはやっぱり巧い。そして天性の悪相がこの役にはばっちりはまっていて(褒めてる)。
後半、前半よりずっとテンポがよくなって、とても面白くなった。
変に勧善懲悪ではなく(一応展開はそうなのだけど)、最後まで富の市=不知火検校がくじけないで善男善女を罵倒するのがとても心地よかった。こういう作品やってたからこそ、江戸時代芝居場は「悪所」だったのよねぇ。うん、すかっとしたああいう啖呵、今いちばんうまいんじゃないかな、幸四郎!本当にひっさびさに高麗屋!という大向こうが邪魔に感じなかったwww

ちょこちょこ出てくる豪華キャストwでは秀太郎のお金大好き母と孝太郎のたかびー娘の二人連れがとても素敵だったのと、友右衛門魁春夫婦がいかにも事件に巻き込まれやすそうな世間知らずな感じでよかった。だまされてその後一味になった兄弟では弟の亀鶴は小心モノっぽい感じがよかったけど、彌十郎はどっちつかずでちょっとつまらなかったかなあ。橋之助は登場シーンに寝てたせいもあるんだろうがw正体不明で、富の市と終始対峙するような悪の大きさは感じられなかったような。

まあ、前半眠っていて一瞬しか見られなかったさとぴーを大詰め捕手でたっぷり見られたのとか、みっくんかずくんの新鮮美男美女コンビを見られたり、前述の錦成くんの健在を確かめられたり、ちょこちょこお楽しみ要素もあって、うん、正直勘ちゃんが出てなければ歌舞伎座より楽しかったかもしれんw

馬盗人

とにかくカールおじさんにそっくりな翫雀さんが反則といってもいいほどにラブリー。正直ラブリーすぎて、もう少し小ずるさとか、ワルの一面も見えていいんじゃないのこの役は、と思ったりもしたのですが、いやいや、翫雀さんならこれでいいや、とも思ったりw

とりあえず馬に食われてしまいがちな人間三人ですが翫雀とみっくんはよくやってたと思う。翫雀はそのラブリーさで、みっくんは若さならではのダイナミックな動きで、ちゃんと馬より目立ってたw
ここでも橋之助が中途半端だなあ。なんか田舎の百姓に見えないのよねぇ。台詞回しが先月の勘九郎の又市そっくりのせいもあってか、どっか裏がありそう。

そしてなんといってもこの狂言で欠かすことのできない、八大大和の馬の脚。顔なしであれだけの愛嬌がある芝居ができる、こういう人を一生脇役で使える、これこそが歌舞伎のいちばんの強みだという気がする。
そしてこういう人に一生ついていこうと思わせている三津五郎さんはやっぱり偉大な役者、偉大な人なのだと思う。
どうかどうか、ぷりーずかんばっく!

 

…というわけでなかなかの満足度だった演舞場。新歌舞伎座ほどではないにしろ、2.3階には空席が目立ったのがさびしい限り。
なんかめずらしいもの、きれいなものを見たい人は歌舞伎座かもしれないけど、歌舞伎味、歌舞伎の雰囲気が好きな人は演舞場のほうが楽しいんじゃないのかなあ、今月。一等が半額くらいで出てるらしいのでもう一度行きたいくらいだわ、たぶん行かないけどw


目的地

2013-09-18 | spectacles

本来の目的地、上本町のほうの新歌舞伎座に到着。
段ちゃんに会いに。

浪花阿呆鴉

基本、段ちゃんかっこいい!と思えればOKなんで、その点では合格!www

大阪の治安を取り戻すべく遣わされたいいお奉行さま。と思いきや、おぬしもワルよのぅ・・・かと思わせて実は・・・というまあ予想通りの展開ですが、久々の立ち回りの切れも見られたし、同じく久々のワルっぷりも楽しめました。
とにかく台詞回しと声と姿、どれをとってもやっぱりこういう面子(失礼!)に入ると群を抜いてますなあ。
あ、上杉祥三はよかったよ。w
野田芝居のヒーロー、最近野田芝居で見ないと思ってたらこんなところに!上杉にナニがあった?
かっこいいけどちっちゃい小劇場系っていうと筧なんとかとこの人だったんだけどなあ、昔・・・

話を段ちゃんかっこいい!に戻しますw
いわゆる戦隊物ヒーロー系?かと思われる今時のイケメンたちに混じっても見劣りしないスタイル。やっぱりあんた歌舞伎役者にしとくの惜しいかもしれん。いや、こういう歌舞伎役者がいることが歌舞伎の奥深さなんだ!などときゃーきゃー思いながら心の中で葛藤していましたw

芝居としては江戸時代舞台なのに改造チャリwを乗り回す愚連隊が悪徳商人とつるんだ権力と戦い、花と散る・・・みたいな単純な話に、次から次へと繰り出されるアクション的な殺陣、ラストはちゃりの宙乗り。
スーパー歌舞伎といのうえ歌舞伎を足して二で割って安っぽくしたwみたいな仕上がりで、まあ普通に楽しめた。

そんなに悪い芝居ではないのに、そして千龝樂の客席なのに、三階席はほぼ一列目しか人がいなく、早乙女太一と市川月乃助では、新歌舞伎座は埋まらないのだなあ、当たり前のことに気づいたり。早乙女、もう少し人気あるかと思ったのに!モデルと熱愛とかDVとかで客が離れたのかなあ?
その早乙女は、殺陣のスピーディさはともかく、台詞のカツゼツの悪さ、そしてなんというか存在感の薄さがとても気になった。四人の阿呆鴉軍団で、圧倒的に華があるべきなのに、正直完全に埋もれてる。
元の大衆演劇で女形やってるほうが魅力的なんじゃないかなあ・・・昔一度だけ見たときはとても綺麗でよかったんだけど。
主役でヒーローやるには決定的に暗い何かを持ってるんだよね。役によっては物凄い魅力にもなると思うんだけど。
それに引き換え月乃助は、これは脇で光る名優タイプでは断じてなくてw、主役やってなんぼだし、脇にいられてもたぶん目の上のたんこぶ(某家の某優にとってはとくに!)だと思うんで、歌舞伎界での居場所は見つかりにくいだろうなあ。存在感がありすぎるのって、御曹司以外の歌舞伎役者にとっては不幸だったりするのかも。

もうだんだん歌舞伎の段ちゃんじゃなきゃいやっ!って感じも薄れて来て、どんな芝居でも「段ちゃんかっこいい!」って思えればいいや、というところまで要求水準が堕ちてきたorz

そうそう、段ちゃん子分wの猿琉くんが悪の巨魁w役で、いわゆる国崩しの拵えでえらくかっこよかった。段ちゃんよりむしろきっちり歌舞伎の匂いを漂わせてたwww
花道での仏倒しなんてもう、りゅーちゃんかっこいいい!!!!!!

 

ってことでこちらは入り口付近に立てられた看板?
誰かと一緒だったら絶対写真撮ってもらったのに!残念ながら一人で、まだ他人に頼めるほどの度胸はありませんでしたw

あ、もちろん写真撮るときは右側はカットで、ねwww

 

 


無事に

2013-09-17 | voyage

なんとか伊勢までたどり着いてます
なんでビールやねんといわずによくごらんください
式年遷宮ラベルなのよん

 

台風一過のお伊勢さん、そのせいか、心配したほどの混雑もなく、とてもとてもとても楽しかったです。

徹底的に「見えない人」の私には、パワースポットとしての外宮も内宮も別宮も猫に小判だったかもしれませんが(早朝参拝は気持ちよかったけどね!)、門前町としての伊勢は本当に気に入りました。
ここ数年でいちばんかとおもわれるほどお気に入りのお店(昼間はカフェ、夜はバー)も見つけたのでそのうちにアップする、かもしれません。しないかもしれませんw

もし伊勢にいらっしゃるご予定のある友人知人さんはお問い合わせください、絶対お薦めです!


嫌がらせ、あるいは愛されている

2013-09-15 | monologue

いや色っぽい話ではなくて。

台風さんと私、の話です。

旅行を計画すると、台風がやってくる、確率が、異常に高い、気が、する。

明日から伊勢参りをして大阪に抜け、段ちゃん芝居を見て帰ってくる予定。

私は明日無事名古屋→伊勢へといけるのでしょうか。

続報を待て!待たなくてもいいけど。

かもめの感想書け!>自分


器が違う!

2013-09-12 | spectacles

かもめ@シアターコクーン見てきました。感想はいずれ。

 

といいつつ一週間経過。

忘れちゃったあ・・・・www

タイトルの意味だけはかろうじて覚えてますからそのお話を。

ある人と女優話をしていたときに蒼井優って最近ザ・舞台女優だよね、って話から
蒼井優は昔でいうと誰?ってことになり、知人は顔立ち&男遍歴から田中裕子じゃない?と言ったのだが、
私は芝居の大げささとやはり男遍歴wから大竹しのぶでしょ、と。

で、元祖と当代w二人の男遍歴女優が並んで芝居をしてるところが見てみたいなあというのがこの人気芝居のチケット争奪戦に参加した唯一かつミーハーな理由。
結論がタイトル。
同じべちゃっとした好きじゃない声でキーキーまくしたてる二人だけれど、元祖には説得力も抑揚も引き込む力もあるけれど、当代はただ耳障りなだけ。
もちろん技術的な差でもあるんだろうけれど、大竹のほうが根っからそういういやらしさが身についてるのに比べて(一応褒めてるw)、蒼井はいやらしいザ・女優にあこがれてる感じが否めない。
なんというか、芯のところが田舎のお穣ちゃん。あまちゃんという感じなの。

ってことで結果的に元祖大竹しのぶwの偉大さを再認識してしまったのだけれど、うん、でも一生好きにはなりませんな。

生田トウマという人、すげーいい男だったと思ったらどんどんぶさいくになってきたね。ジャニーズ系のいい男は老化が早いのかなあ。
岡本健一しかり。岡田准一しかり。そしてこの人も。
ただ、発声はびっくりするほどしっかりしていて、舞台役者として今後期待できると思う。顔もびっくりするほど大きいのもジャニーズ離れしてるし、本当、声は野村萬斎の次くらいにしっかりしてたw

この芝居でいちばん好きな弱い二枚目インテリのトリゴーリンがその萬斎だったのだけれど、好みとしてはちょい線が太すぎる感じ。もう少し歳とったら平岳大とかで見てみたい。

…全体につまらなくはなかったのだけれど、ここまで人気になるほどの出来でもなく。やっぱりイクタトウマ人気なのかなあ。よくわからん。

 


上からの景色

2013-09-10 | kabuki a Tokio

陰陽師二度目。前回かぶりつきだったのに引き換え今回は天井桟敷。めりはりのある観劇ですw

基本的感想はかぶりつきと同じなんですが、やはり遠いってことと、上から目線wってことでいろいろアラが目立ったような気もいたします。

上からでよかったのがライティング効果がはっきり見えたこと。序盤で晴明と博雅が結界に守られていて、そこから出ちゃった太郎左?(福緒くん)がやられちゃうのとか、かぶりつきだとはっきり見えなかったので、なんであの子だけ連れてかれちゃうの?声出したから?って感じだったし。
逆に登場シーンの幻想的な月は下10パーセントしか見えず、あの美しい場面が大好きな私としては残念至極。ま、前回はあの登場シーンが美しすぎて過大な期待しちゃったんだけどねw
大詰めで将門と純友が地獄に堕ちていくところも、将門のナマ生首w入れ替わりとかも、はっきり見えた。ネタ見えすぎて残念な感じがするほどにw

あとは・・・こちらの距離感なのか、演じる側も初日の緊張感+わくわく感がなくなったのか、なんだかちょっとゆるんだ感じを受けました。
立ち回りや台詞の間合いとか、そういう技術的な面は改善されてるんだけど、なんだろう・・・やっぱりこっち側の遠い+最初じゃないっていう要因が大きかったのかなあ。
いや、やっぱり板の上の人々のテンションも明らかに下がってるっぽかったぞ。初日すらカテコ受けなかったのがショックなのかしらん。準備してみんなまってたらしいからねw
亀蔵さんのメイクも、初日笑われすぎたせいか、トーンダウンしてたし。あれは笑う客が悪いと思うんだが。あしやどーまんという人物を台詞なしでも表現できてる秀逸なメークだったのに。

将門や純友の動機とか心理描写にいささか、いや大いに物足りないところはあるし、原作を改ざんした桔梗の前のエピソードとか、改悪に近いとも思うんだけど、まあそういう大雑把な作劇・スターシステムによるストーリーの改ざんは歌舞伎の常道だから、そのせいでつまらなくなってるわけでもないと思うんだよね。

うーん。

つまらなくない、失敗してないところがつまらない、と言ってしまっては論理破綻にすぎるのだけれど。

大失敗からは反省とか反動とか、反作用的副産物が生まれえるけれど、これだけのメンバーが集まって、しかもまだ失敗がゆるされるギリギリの年齢で、こういう中途半端な作品になったことが、なんつーか、残念なんだよね。
興行的には大成功なんだけど、たとえば天日坊のあとみたいに興奮しきりで喋りまくる客とか、逆に衝撃のあまり席を立てない客とか、そういうのは皆無。

さらっと話題作だから見に来て、うん、割と面白かったんじゃない?で帰っていく、そういう空気。
うーん。なんだか残念だ。


だめじゃん、薄雪

2013-09-03 | kabuki a Tokio

芝居そのもののことでもなく、タイトルロールを演じた役者さんのことでもないのですが。

新薄雪物語見てきました。

序の清水前花見。これは綺麗でよかったですね。

若手ならではの匂いたつような華やかさ。これを時分の華というのだなあ。
それだけでいいような場面だし。
なかでは七之助の籬(マガキ)が、色気といたずらっこみたいな表情とのバランスがなかなかいい。もう少しだけ大人に見えるともっといいのだが。
薄雪姫の梅枝が古風な長い顔なので、むしろ薄雪のほうがふけてみえるのがちょっと。
左衛門が勘九郎なのだから薄雪を七之助にしてもよかったような。梅枝マガキでは大抜擢すぎるか?
猿之助ファンではないが花形コンプリートだったら薄雪七之助、マガキ猿之助でぴったりだったのに!ああ亀ちゃんのマガキよかっただろうなあ。いや七之助も悪くなかったんですがね。

この場の最後に立ち回りがあるのだが、菊ちゃん松緑が出てるんだから主力は劇団だと思うんだけど、びっくりするくらいへたれな立ち回りで・・・劇団といえば立ち回り!だったのは今は昔の話なのだろうか。
こじんてきにはいてうくんがびっくりするほど太っていて。つーか一週間くらいまえに見たばかりなのにどうして急に?
これは大変だと思ってみてたらことごとく倒立系失敗していたのでもう失笑するしかなかった。
返り越しとか三段落ちとか、曲芸的なことをやってるのはほぼ全員知らない顔だったので、研修終えてすぐの子達が主力になってるから、集団芸wが駄目駄目なのかしら
八重之さんとか咲十郎さんとか、一応名題になった人も参加してたんだけど、とにかくコンビネーションがひどかったです。

詮議。これだれるよねぇ。たぶん大幹部がやっててもだれる。
海老蔵、悪くはないんだけど、前の場面で大膳で出ちゃってるから余計悪相に見える。
筋を知らない人は、大膳が上使に化けてると思ったんじゃないだろうか。隣に大学(亀蔵)が並んでるし、上使や勅使に悪人が化けるってよくあるパターンだし。
実は私も、この芝居見るのが数年ぶりなので、最初そう思ったwww
海老蔵というスターが善悪二役演じ分けるのが芝居としての見せ場なんだろうけど、残念なことに今の海老蔵くんではその二色が混じっちゃってて一役で善悪見えちゃう感じ。
でもでも、とにかく古典なのに気持ち悪くはならなかったから(こればっかり!)とりあえず進歩はしてるんだろう。
御曹司としてはチャレンジングな老け役二人。
どちらもがんばっていたと思う。特に松緑はこういう役がいいなあ。今後当たり役になっていくんじゃないかしら。
合腹のときも、本当に良くて、ほろりと泣かされた。
その合腹。三人笑いは絶対無理だと思ってたのに、三人やってくれましたな!
40前後という今の年齢にしたら上出来というかでかしゃった!と言いたい。
もちろん染五郎松緑もよいのだけれど、何よりも菊之助!
この人だけ花形から別次元に突き抜けた感じ。
貫禄といい台詞回しといい、完全に中堅の域だわ彼は。
生で見られなかったけど、きっと大好きだっただろう役者ナンバー2(ワンは宗十郎さん!)の梅幸さんを髣髴とさせる柔らか味に一本芯の通った女房。もう大好き!

勘ちゃんはこういう物語にありがちなしどころのない、だけど物語の芯になる難しいお役(夏祭りの磯之丞的な)なのだけれど、もう一息柔らか味がほしかったかなあ。基本ニンとはちょっとずれたところにある役なので、もう少し年とったらまわってこなくなると思うんで、それこそ時分の華だと思って楽しむことにしました。
それこそ幸崎でも園部でも梅の方!でもそのうちにやれる役者だと思うんでね。
そういえば薄雪もやってたんだよねぇ勘ちゃんwww

全体に不満もなくはなかったけれど、この顔ぶれでこれだけこの芝居を見せきったというのは、

やっぱりあっぱれ!のレベルだと思うよ。うん。とても楽しかった。

 

タイトルの件を語るのをまた忘れていた。なにしろ見終わってすぐにタイトルだけ放り込んで放置してるんで、数日経つと忘れちゃうのよw

えっと。薄雪ちゃんは本当にお騒がせお嬢ちゃんだなあ、と。左衛門とばかっぷるといえなくもないのだが、左衛門は薄雪にひっぱられてNOといえないお坊ちゃんって感じだし。刃の絵に心と書いて忍んできて!って誘う文とか。今だったら絵文字やスタンプ使い放題のギャルだよねぇw
一目ぼれして後先省みず騒動起こして、挙句親を切腹させて・・・うん、この子はあかん。
しかし親が二人死んじゃって、左衛門は申し訳に腹きりそうだけど、薄雪ちゃんは左衛門さん死んじゃったなら、もう奴さんでいいや(らぶりんね)、ってまがきちゃんから奪っちゃいそうな勢いさえ感じてしまうバイタっぷり。あれ?これ梅枝くんのキャラのせい?www


ぷりんす・どりーむらんど

2013-09-01 | kabuki a Tokio

九月歌舞伎座夜の部

陰陽師初日見てきました。

新作歌舞伎。それもいわゆる有力御曹司w勢ぞろい、という話題性もあってか歌舞伎座は満員。猛暑なのに暑苦しいったらありゃしない(そのうちのひとりだったわけですがw)。

さて、ざっくり感想を言うと、

つまらなくはない。ただ、後世に残る名作では決してない。

ってところかな。ま、中途半端w

タイトルロールの菊之助と染五郎の見せ場が意外と少なく、実質松緑・海老蔵・愛之助の三人を中心にしたスペクタクルに怪しく笑える亀蔵が場をさらってく、という展開かな。
見せ場の少ないホームズ、清明の染五郎にくっついてるワトソンの博雅役という、金魚のフン的扱いかしら、と思っていた勘ちゃんは意外とそれなりに見せ場もあって、ほんのりおかしみと人間味があって(考えてみたら唯一まともな人間なのかも、この芝居で)、悪くなかったです。
あと、個人的には海老蔵くんの芝居で腹もたたない、気持ち悪くもならない、ってのは久しぶりだったんで、それもよかった。
ただ、若いころの芝居はもっとピュアで清新にしてくださいね。登場してすぐ怪しいんで、化け物になってからとメリハリがなくて困ります。
ほぼ全員それなりに良くやってたと思うけど、唯一不満だったのが愛之助かな。
実質ラスボスなのに、怪しさも大きさも足りない。下手じゃないんだけど、なんかつまらない。
これ、猿之助がやってたらもっと迫力出たと思うのよね。小男のラスボス。鼻広げてさw
そんなことを思ったのは欣弥さん、笑子さん、段之さんなど猿さんのお弟子さんが何人も出ていたから。猿さんも意地張らないで脇役でもいいから歌舞伎座に出ればいいのにw
お弟子さんが先に出ちゃったね。

スペクタクルではムカデ退治のところとかヤマタノオロチちっくで楽しかったけど、まだ初日のせいか揃ってなかったし、式神の狐の扱いとか、捕物最後に五芒星に囲まれるとことか、えびぞーくんの生首がそっくりだったりとか、三階さん、小道具さん、大道具さんのご苦労がしのばれる仕掛けがあちこちに。

裏方さんは大変だっただろうなあ、そして初日に関しては客よりずっと楽しそうだった舞台の上のプリンスたち。
舞台はプリンスたちの遊園地なのだなあ、子供のころから、そして一生ずっと、というのが初日いちばんの感想です。

もちろん舞台のしたの客もそれなりに楽しかったのですけどね。正直舞台の上のほうが楽しそうだったwこれからは客のほうが楽しい状態にアゲアゲしていってください。