laisser faire,laisser passer

人生は壮大なヒマつぶし。
楽しく気楽につぶして生きてます。

六月歌舞伎まとめ

2010-06-30 | agenda

お江戸ではコクーンと国立のみ。そのうち国立はチョンボして見そびれました。
博多座かどっかで吉右衛門一座がやってたみたいだけど、遠征はしませんでしたし、中日劇場には言ったけど、すでに見ている四谷怪談の再見だったし。
そして大遠征?したローマはアレだし。ってどれなんだ?

 

というわけで

今月のMVP

は当然ながら該当者なし

次点コクーン歌舞伎の主演クラス全員まとめて。役者は本当によかったのよ。

今月のMIP

ローマでびっくり見っけ!の左十次郎
しかも駿河次郎なんて大役を!

次点はコクーン歌舞伎のラッパーさん。名前しらない。

今月のMDP

押しも押されもせぬ最多登場

海老蔵さま

(受賞理由についてはまだ書いてないのですが、近々簡単には書く予定)。

次点

串田さま

(自己主張のアジテーションが強すぎて自分で自分の傑作をだめにしちゃった)

 

今月の作品賞

該当作なし

 

 

来月はいい月でありますように!


ギブミーチェンジ、キルミーチェンジ

2010-06-30 | spectacles

基本的に現代作家の歌舞伎はあまり好きじゃないんだが、野田歌舞伎は(愛陀姫を除く)気に入っている。

野田の、題材への突っ込み方と、距離のとり方の具合が、近すぎず、遠すぎず、突っ込みながらもある種の含羞と敬愛を感じさせるところが、見ていて自分の生理にマッチしているような気がしている。

野田の現代劇でも、題材への距離感の絶妙さはいつも好ましく思うところ。
個人的には言葉遊びの氾濫にはときどき辟易させられたりもするのだが、今回、いわゆる語呂合わせは少なくて、日本語遊びは漢字方面に走っていたので、そこもクリア。

だからといって、大感動!したかといえばそうでもない。

野田には珍しく、題材を遠巻きにしてる感じがあって、逆にもう少し突っ込んでもよかったんじゃ?と思ってしまった。
直接の題材=オウム真理教的世界がまだ生々しすぎて、突っ込みづらかったのか。ギリシア神話とのない交ぜっていうのは、さすがに歌舞伎の料理がうまい野田だけあっていいところに目をつけたと思ったんだけど、言葉遊びと寓話と実在の事件の三つのバランスをとることに気をとられて、作者や演者の訴えどころのツボが散漫になってしまったのかな。

現実社会との接点的役割の「おばちゃん」役者が銀扮蝶の怪我により、急遽高橋恵子に代わったのもちょっと影響してるかも。高橋は癖がなさすぎて、逆に現実味がないというか。
ギリシア神話世界とオウム的世界を行ったりきたりするチョウソンハと美波はなかなかよかっただけに、オウムと現実の境目にいる高橋にもう少し存在感があれば、面白くなったかも。

漢字遊び、そしてタイトルにもした英語遊びも含めて、いつも冗長な野田っぽい部分は適当に刈り込まれていたし、もう少し、ギリシア神話の世界⇔オウム⇔現実世界の関係性をはっきり見せてくれれば、相当優れた舞台になったんじゃないかと思う。

宮沢りえは、いい役者になったねぇ。

 

 


広忠、張り切る

2010-06-28 | spectacles

能は後にも先にも一桁回しか(それも下のほうのような)見たことがないのだけれど、三響会はここ数年ほぼ皆勤なので、三兄弟のお兄ちゃんこと童顔の広忠さんはずっと気になっている。

一番小柄で豆に目鼻みたいなかわいらしい外見・育ちのよさそうないでたちに似合わず、エネルギッシュな声と指。そして、ちょっと斜に構えたトーク。このギャップがなんともいえないんですな。

ってことで、広忠ウォッチング。

道成寺組曲

結果的にこれがいちばん好きだった。広忠さんとしても、全体としても。
ろうそくの薄明かりのなかから湧き出てくるヒトの声と鼓の音。なんとも本能をくすぐるい~~いひと時でした。
時々フラメンコみたいになったり、アフリカンスっぽくなったり、やっぱり打楽器って、なんか世界共通の、人間の根幹に響く力があると思った。

ほとんど仕舞仕様の亀治郎の踊りも、静かで、時に妖しくて、とてもよかった。

ところで、謡もなかなかよかったんですが、あたしの席からだと、デンザエモンさんの(巨)体にさえぎられてまったく見えなかった・・・デンザエモンさん、どいて、ともいえないし。そしてチラシにはお名前も載っていない。どなただったのでしょうか。

 

座談会

という名のチャリティ募集&亀ちゃんの折伏大会。
もう少し楽しいお話してください。

屋島

屋島と書くときと八島と書くときとあるよね?
これこそ広忠さん、大張り切りの巻。一調の演奏がどうあるべきなのか、ど素人につきよくわからないのだが、一応謡の詞章をかき消すほどの大音量でうなるのは、いかがなものか、と考えてしまいました。広忠さんは好きなのだけれど、あの演奏のバランスはいかがなもの?
単に謡が弱いだけ?(同行者に確認したところ、道成寺組曲の謡担当の方と同一人物らしい)

 

藤娘

 

亀ちゃんやせたなあ。

踊りについては、下手なわけもないのだが、なんだろう?「藤娘」という演目があんまり亀治郎に合ってないような。本来の意味での役不足、というか。演目不足、というか。
藤娘ではなく亀娘になっちゃってるというか。

うーん。うまく表現できないんだけど、別にかわいくないとか、一つ一つの踊りがどうとか、取り立ててケチをつける部分はないのだけれど、(たとえば海老蔵の藤男とか、先日の児太郎の棒娘とかとは次元が違う)全体として、見ていて気持ちよくなかったという感じ。踊っている亀治郎自身も少し疲れているのか、あまり楽しくなさそうだったのも原因のひとつかもしれない。
化粧の仕方がちょっと変わった?藤色の色が濃すぎ?相変わらずの顔芸?の三つがあいまって、ちょっとわざとらしい大衆演芸臭も感じてしまったりして。

藤娘って、短くてシンプルな舞踊だから、踊り手の個性がストレートにでてしまって、いろんな意味で面白いし、踊り手としては怖い舞踊でもあるんだな、と思った。

 

三響会+亀治郎での「伝統芸能の今」というタイトルの演奏会の最後がなぜ藤娘?というのもちょっと意味づけがよくわからなかったし。
鳴り物が活躍する踊りならもっとほかにもありそうなんだけど、単に亀治郎が稽古する時間がなかったので手の内に入ってるのにしてみましたって感じ?とか思ってしまった。

 

カーテンコールなんてやるのかよ、とちょっとぶうたれたんだけど、広忠さんが黒のナイキポロシャツに安そうなデニムという超カジュアル普段着で普通に出てきて、なんだかちょっと得した気分。

薄鼠の上下→トルコブルーつかイタリアンブルーのはかま→そしてデニム、と三変化を見られたので、まあ文句はこの程度にしておこう(結局ミーハー)。


機内映画

2010-06-26 | cinema

ひそかに金を払っては絶対みないであろう、SATCとかやってないかと期待してたんだけど、肩透かし。

ANA、経費節減か、新作映画にめぼしいものがなく、旧作ばかり、しかもハリウッド系では、ただでも見たいものがなかったので

仕方なく行きは

LE DERNIER VOL(ラストフライト)

 マリオンコティヤールの新作らしい。実話の映画化らしいが、ドラマ性も楽しさも皆無。

ゴールデンスランバー

 原作は面白かったんだけど・・・。堺雅人ってもう少し映画を選んで出たほうがいいんじゃないか。

帰りは

おとうと

四本の中ではこれがいちばんまともだったかな。吉永小百合がいつまでもきれいなのと、いつまでも棒なのにある意味感動。鶴瓶は役作りに横山やっさんを参考にしてるとみた。

人間失格

時間切れで途中までしかみてないけど、伊勢谷なんとかがかっこいい以外に見所なし。

 

ってことで、ほとんどはずれでした。

うちに帰ったらおなじみご近所映画館で人間失格とおとうとの二本立てやってて笑った。人間失格の見てない部分を補完しに行きたい・・・とは思わないですね。

フランス映画ではもう一本、すでに見ている「ずっとあなたを愛してる」を上映していました。結局これを再度見ておくのがいちばん正しかったのかも。

 

 


画竜点睛を・・・「描き」すぎだつーの

2010-06-25 | kabuki a Tokio

ろーまカブーキの超辛口感想も書いてないうちから、さっそく国内歌舞伎復帰です。

一度目より基本的によかった。筋を追わないですんだ分、役者の一挙手一投足に注意ができて、その結果すっごく疲れたけれど、心地よい疲れだった。

勘太郎の芝居を見るときはあたし、いつもそんな感じなんだけど、ついつい息を詰めてみてしまい、拍手とか掛け声がすごく邪魔で、とにかくじーーーっと引き込まれる感じ。

本当にこの芝居は全員役者がいい。

そして、芝居としても、佐倉義民伝の魂をきちんと咀嚼して、現代に伝わるテーマとして生き生きと再現できている。

すばらしい出来だと思うのだ。

 

最後の最後までは。

 

どうして、どうして、あんな「ナマ」なせりふをラストのラップに入れちゃったんだろう。
ラップは芝居のテンポにも精神にも合っていて、すごくいいアイデアだから、あのシーンで終わることはむしろ肯定したいのだが、とにかくせりふがナマすぎる。

宗吾の魂と、農民の魂を叫び、そして百年後、千年後に続く一本道。

それだけ訴えれば、芝居をきちんと見てる人には絶対に伝わるのに。

なぜあんな野暮くさい「安保闘争」「米ソの対立」etcetra・・・のストレートなアジテーションを入れちゃったんだろう。

せっかく出来上がった上質な芝居世界を、串田は自分で壊してしまったとしか思えない。

ラストのラップ開始前に席を立った客が何人かいたが、彼らは何度も見ている客で、あたしと同じように感じて、感動したまま芝居を終わろうとしたのだろうか。
それはそれで串田と同じ「野暮な自己主張」とも思えてしまうが、気持ちはよくわかる。

本当によくできた、感動的な芝居なだけに、最後の最後が実に惜しまれる。

 

細部がちょこちょこ変わっていたけれど、一番変わっていたのが扇雀の佐倉の殿様。初見では、ただ世間知らずなだけで、物分りも頭もいい人物像だったと思うのだけれど、今回はどちらかというと愚かな殿様っぽく強調されていて、これは初見の役作りのほうが好きだった。
それ以外の役者はほぼ、二度目のほうが完成されていて、とにかく役者には文句のつけようもないくらい、出来がいいだけに、しつこいようだが、最後にナマなアジテーションを叫ばされているのが、気の毒でならない。彼らはかっこいい!と思ってるのかもしれないけどね。

江戸の歌舞伎だって反体制の内容は多々あったけど、あんな野暮なやり方をした役者はいなかったと思うのですよ・・・

わかる人にだけ伝わる、粋なやり方って、だめなんでしょうかねぇ、串田さん。

 

ああ、さっきから同じことばかりぐちぐちいってるなあ。野暮だなああたし。

それくらい残念だったんですよ。

 

 


イタリアもフランスもいないW杯なんて

2010-06-25 | passe-temps divers

日本代表の戦いをちゃんと見たのは初めて(初戦は機上の人+アパート業者にしてやられた。第二戦はイタリアテレビ局にしてやられた)なんだけど、なんとまあ組織がしっかりして、その上、世界のホンダだけじゃなくて世界級の選手がけっこう出てきたじゃないですか。普通に強いじゃないですか。大会前のあれはなんだったんだ。
俊輔と楢崎はいろいろ複雑なんだろうな。

 

ということはおいといて、いやああたしがわざわざ書かなくても、全国民喜んでくれてるんで。

 

あたし的にはおフランスとイッタリアがいなくなっちゃったW杯は、なんだかW杯じゃないんだわ。
ジダンがいないフランスでも、イケメン激減のイタリアでも、やっぱりそこにいてほしい。せめてベスト16には。
てか、前回大会の決勝戦を戦った二チームと、開催国のすべてがベスト16までに姿を消した大会って・・・ひょっとして史上最悪なんじゃないの。
イタリアとフランスと、下手すりゃポルトガルやスペインまでいなくなって、代わりに韓国や日本やアメリカやパラグアイがいるW杯なんて・・・W杯じゃない。

非国民といわれようが、正直そう思います。

 

いや、非国民じゃないんで、日本戦は大熱狂して応援しますけど。

心にぽっかり明いた穴の存在は否定できないわ・・・


カブーキ

2010-06-22 | kabuki en dehors de Tokio

開演5分前。定式幕にチェンジ。

 

 幕間の社交風景。あれ?開幕前だったかも。イタリア人は招待客が多数の印象。上のほうの安い席には一般イタリア人もいたけれど。

 

イタリア語のプログラム・チラシ・問題のチケット。

 

画像はまとめてしまいました。これからいろいろグチグチ書きますんで、気分よく終わりたい方はここでお引き上げください。

 

まずは開幕前の愚痴。

劇場HPからとんだ現地チケットサイトでチケットをゲットしてたわけです。
高い席で見て腹立てるのもばかばかしいので、下から二つ目のランク、まあまあ旅の土産話として許せる範囲の席を予約。イタリア式当日ピックアップで遅刻するのもいやだったので前もってチケットオフィスで発券も済ませ、用意万端。
当日、指定された4階ボックスにいくと、係員が立ちはだかり、「この席はダブルブッキングされていて、移ってください」と。
話を聞いてみたら移動先は一階正面ボックス席。いいじゃんいいじゃん、二つ返事で移りましたよ。
開幕○分前、の写真はそこから撮ったもの。ねぇ、見やすいでしょ。たぶん一番高い席。イタリア式ダブルブッキング(おそらく、急に取材カメラが入ることになって、カメラ席にしちゃたんだと思われます)もこれなら悪くない、とまんざらでもなかったんですが。
開演5分前、どころか、キまで入って幕が引かれる寸前になって、またまた係員登場。この席もまたダブルブッキングで、再度移動しろ、と。
その時点でボックスにいたのは現地駐在員家族三名、イタリア人女性一名、日本人女性(あたし)一名。
今度は三階の袖席に移れ、と。考えてみれば元は四階だったのだからいいっちゃいいんだけど、四階でも正面に近い席から三階でも袖ってのはどうも納得できない。だけどもめてると開幕しちゃうし・・・ってんで、イタリア人女性と当方はとりあえず三階に移り、あたしは東袖方面、彼女は西袖方面に案内される。(西袖方面だったら拒否しようと思ってたけど、まあ東袖だからいいか、と。ここらへん日本人の甘さ?)。

現地駐在員家族は最後まで抵抗していたんだけど、後で見たら一階ではあるが普通売らないような超はじっこのボックスにいた。「一階じゃないとだめ!」ってごねたんだろうね。どっちがよかったかといえば、芝居の見易さでいえば、三階東袖、だったような・・・

しかし、劇場が悪いのか、松竹が悪いのか、現場の係員がだめなのかしらないけれど、チケット買った(安いにしても)客を二度も移動させるって、日本じゃめったにありえないよねぇ・・・

そうそう、完売とか満員とか言われていますが、招待席に空席はぽつぽつありましたし、ボックス席は最前列しかもともと売ってなかった(オペラ座などでは三列目まで売る)らしく、大入り感はなかったですねぇ。
招待客(大統領閣下夫妻)関係者は三つ目の『四の切』のみのご臨席でしたし。

 

さて、ここから芝居の内容。

ここでバイバイしたほうがいい人はバイバイ。

 

鳥居前・吉野山

この二つは一言で「退屈」。

個人的に珍しかったのは、たぶんこの二つも猿之助型で演じられているのだろうか、演出や詞章に見慣れない部分が散見されたことくらいで、もちろんイタリア人には何の関係もないことだろう。

鳥居前の忠信は荒事仕立てなので、えびぞーくん的には得意なんだと思うけれど、メン玉むき出して威嚇するのも一度や二度ならガイジンも喜びますが、ああ始終やられたんじゃ飽きますわな。
吉野山は、型が違うせいもあるだろうけれど、忠信の戦物語になんの迫力もなく、あのうるさいまでの存在感が消えうせてなんだかとってもちっちゃなえびちゃんでした。

そして何より残念だったのが静・義経の京屋コンビ。特に芝雀に関してはかなり好きな役者なんだけど、あくまで歌舞伎座で、歌舞伎好きの客に囲まれたときに実力を発揮できるタイプなのかな、と。
外国・歌舞伎初めて客・そして相手役がえびぞーくん、という大アウエイ環境のなかで、彼の兄弟は、なんとも薄く、地味で、本当につまらなく感じてしまいました。

これは四の切についてもいえることで・・・

 

 

四の切

 

いよぉ、気持ち悪いえびぞーくんカムバック!!!

 

って喜んでどうする。

ここ1.2ヶ月、やや影を潜めていた感のある「調子っぱずれの音痴節」が100パーセント、いやそれ以上にパワーアップしてよみがえってました。
偉い人が誰も見てないんで油断したのか。いや、それもあるだろうけれど、これって結局「猿之助型」の弊害だと思います。
猿之助型が悪い、というのではなくて、猿之助の台詞回しは、えびぞーくんにはまったく無理ってことで。
とにかく、超気持ち悪いはずれっぱなしのせりふの裏に、猿之助の台詞回しが時々見え隠れしてたことは事実なので、えびぞーくん的には教わったことをなんとかなぞろうとはしてたんでしょうね。それが裏目にでた、としか。

狐言葉だけでなく、忠信の素のせりふも、猿之助には独特の癖があって、あれは、よほどの技術の人がやらないと、こっけいに聞こえると思うんだけど、よりによって、えびぞーくんですよ。

悪いことは言わない、もう猿之助型はやめて、素直に音羽屋さんか中村屋さんに習いなさい。それでも狐言葉は気持ち悪いことになるだろうけれど、まだえびぞーくん的初心者(敢えて言ってます)が大失敗する率は低いと思う。

どうしても宙乗りしたいなら最後だけ、オモダカさんと音羽屋さんにおねだりして、宙乗りつきにさせてもらえばいい。えびぞーくんが頼めば、きっと誰もNO!とはいえないよ。

 

客席の受けとしては、静まり返っていた鳥居前・吉野山よりはこちらのほうが乗っていました。特に狐へのぶっかえり、アクロバティック的な動きなどにはがっつり沸いてましたね。「出があるよ!」はそもそも花道の意味がわかってないのと、日本語がわからないからか、受けが少なかったけど。周りの歌舞伎初めてと思われる日本人はびっくりしてましたけど。

共和国大統領ナポリターノ(本当にこんな名前!)ご夫妻がここのみご観覧になったのは誰の判断か知らないけど正しかったかも。

それにしても、あの台詞回しの気持ち悪さは、日本語話者にしか通じないのかなあ。三味線とのずれとか、テンポの悪さは万国共通で通じると思うんだけど。そのずれも「異国情緒」として受け入れているんだとしたら、「本物のカブーキはこんなに気持ち悪くないぞ!」と一人ひとりに教えて回りたかったです。

 

えびぞーくん個人にはなんのうらみもないし、むしろ歌舞伎の一人者としてがんばってもらいたいと思っているのですが、こういう歌舞伎まがいのカブーキを、あちこち外国回って見せてる間に、世界的にカブーキとはこんなもの、なんて共通認識ができちゃったらどうしよう、とごく普通の歌舞伎愛好者としては思わず危惧してしまうのであります。
いや、実際に外国だけではなく、日本にすらこういう派手なだけのコケオドシカブーキのほうが面白いっていう層はいるわけで・・・
歌舞伎は時代によって変遷する、というけれど、えびぞー的カブーキがスタンダードになる時代が万一来るとすれば、あたしは確実に歌舞伎を見るのをやめるでしょう。

もうひとつ、これはあまり書きたくないんだけど、正直になりたいので敢えて書きますが、「ごく普通の歌舞伎」代表としての京屋兄弟があまりに魅力がないのです。
何が悪いというのではない、いつもどおりに淡々と義経と静をやっているんだけれど、外国で、エンノスケで、自由自在にやっているえびぞーくんのほうが、確かに気持ち悪さと下手さがあっても、存在感や魅力はあるのよね。困ったもんだ。
あるいは稽古途中、ロンドン公演中あたりで、えびぞーの酷さにさじを投げ、いやいや付き合ってたからやる気がなかったのか、あの二人。それはそれでいかんだろう。

狐言葉の身の上語りのときは、あまりの気持ち悪さに、久々に席を立とうかと思いました。席を立たずに舞台よりの耳をふさいでしのいだのは、アクロバットは見たかったからなんですが。

ラストの宙乗りは舞台機構の都合か、客席には出て行かず、舞台を横切るだけの比較的おとなしいものでしたが、それでも客席は大喜び。

土間席は半分くらいスタンディングしてたかなあ。ボックス席はほとんど座ってましたが。

あ、ナリタヤさんファンらしき着物のおばさんが二列目あたりでやたら拍手扇動してたのも気持ち悪かったです。外人はどこで拍手していいか戸惑ってるじゃないですか。「ほら、ここよ、ここで拍手するのよ!」ってポイントがいきなり役者の出入りだったりして。それ違ってるだろあんた。役者も役者ならファンもファン。

スタオベしていきなり最初に「BRAVO!」って言ったのもそのおばさん。それにつられてイタリア人も言ってましたがね。
イタリア人が、BRAVIではなくてBRAVOっていってたのも、なんだか失礼な話なんだけど。spettacoloがbravoという解釈でまあいっか、と(あくまで文法的に)。

そういえばフランスでもベルリンでも幕間に現地人から話しかけられたんだけど、イタリアでは誰からも話しかけられなかった。幕間は鳥居前・吉野山終わりで一回だけだったんだけど、鳥居山・吉野山の出来じゃ、ニッポン人にお愛想いえないもんねぇ、さすがのイタリア人も。

四の切終わりだったらきっと「面白かったぞぉ」って言ってくる人がいたんだろうな。そしたら「気持ち悪くなかったですか?」って聞けたのに・・・

しかし、えびぞーくんの気持ち悪いせりふには慣れているはずのあたしが、現場でなんであそこまでいやーな気持ちになったかを今になって振り返ると、

 

結局そんだけ気持ち悪い、へんなパフォーマンスをやってる役者のほうが、まじめにごく当たり前の歌舞伎をやってる役者より、求心力が上だってことが、なんだか不条理なような許せないような、そしてそういう求心力のある役者によって自分の好きな歌舞伎が冒涜されているような気がしたってことなんだと思います。

だって、ただ下手なだけのYとかSとかKとか(お好きにご想像ください)にはそんなに腹が立たないもんねぇ・・・

個人的に、さとぴーが駿河次郎やってたのと(でもやる気はなさそうだった)、京純くんが見られたのだけが救い。

 

だらだら書きました。

あくまで一歌舞伎ファンの私見ですんで、読み流してくださいませ。

 


悲しみのサバト

2010-06-20 | la vie quotidienne

ローマ観光もそこそこにアパートに帰ってオランダ日本戦に備えたわけですよ。

とりあえずフランスでもイタリアでも今のところ地上波で見られなかったことはなかったし、5チャンネルくらいしか入らなかったパリのアパートと違ってここは100ch以上入るデジタルテレビ。まったく疑ってなかったんですが・・・

 

なんと日本オランダ戦開始時刻になってもどこのチャンネルも平和なダイビング番組とか歌番組とか、へんなニュースとか・・・スポーツ専門チャンネルなのか、と思って探してみたけど、バレーボール、モトクロス、女のサッカー・・・あんまりです。

日本はともかく一応ヨーロッパの強豪、オランダを無視ですか、イタリアさん。

アパートの下のほうが騒がしいので降りていって、隣の隣のバールで最後の3分くらい見ましたよ・・・SKY MONDIALEでした。有料ですね。
バールの奥のほうにはオレンジ色の軍団がいてちょっと怖かった。日本が勝っていたら本気で怖かったと思う。大久保、がんばってたね。

 

さて、今日はこれからイタリアニュージーランド。さすがに地上波でやるでしょう。

 


ローマのlavita dura

2010-06-19 | kabuki a Tokio

画像はローマのアパートの窓辺。ちっちゃなブックに拙ブログが映ってるのわかりますか?

かなり寒くてウールがほしかったパリと打って変わって、ローマは暑い。

そしてやっぱりパリと違ってアウエイ感というか、ちゃきちゃきの観光客なので、なんだか楽しい。

とはいえ、有名どころのスポットはめちゃ混んでるし、たいてい一度は見てるので、今回はただで入れる(ここ重要!)教会めぐりなど、適度にぶらぶらするつもり。

そういうわけで(どういうわけだ)今日もちゃんと?日本オランダ見ますよ!

 


静かな夜

2010-06-18 | passe-temps divers

数回前のW杯、某ヨーグルトの名産国に居住していたとき、なんとその国がドイツを奇跡的に破り、ベスト4になったことがあった。

日本人には大使館じきじきに外出を控える!ようにお触れが出て、自宅でテレビをみながら戦々恐々としていたのだが・・・。勝利の瞬間、なんと空砲(いや、実弾かもしれない)が何発か鳴り響き、翌日バス停の周りはガラスの破片だらけで、停留所のポールはなぎ倒され、いやはやちょっとした戦場状態だったのだ。

まあ先進国おフランスのことだから、そんな危険はないだろうが、隣の部屋から勝利のおたけびくらいは聞けるかな、と楽しみにしていたのです。

だって、メキシコに負けるなんて・・・思わなかったんだもん・・・

ほとんどのご近所さんもそうじゃないのかな。

 

とてもとてもとてもとても・・・静かな夜でした。

 

マニュと呼ばれていたオールバックに革のジャケットという、’70年代のロックアーチストのような格好をしたスタジオゲストがあの「プチ」だったとだいぶ経ってから気づいたのと同じくらいにショックな敗戦でした。

そして「dramatique」というフランス語と、ドラマチックという日本語の意味合いの違いに、いまさらながら気づかされた日でもありました。

terribleとdramatiqueはほぼ同意語なのよね。dramaにはdtragedieの意味しかないのよね。わかっちゃいるけれど、メキシコがゴールを決めた瞬間に「ドラマティック!」と叫ばれると、この人ひょっとしてメキシコ人?なんて一瞬思っちゃう日本語話族のlavieなのでありました。

 

次勝ったらまだ決勝トーナメント進出の可能性があるのだろうか?

だんだん微妙になってきたよね。

ま、いっか。

次はイタリアを応援しよう。

 

 

 


食べちゃった

2010-06-18 | la vie quotidienne

レンズ豆と燻製豆腐のサラダ。

絶対まずいと思ったけど、好奇心で買ってみた。

意外にいけます。

これ、日本酒がほしい味。畜生、ワインしかないや。

 

ってことでこれからワイン飲み飲み、フランスメキシコ戦を見ます。

 

本日はほとんど楽しい引きこもり。アルゼンチン韓国→ちょっとお出かけ→おうちでごはん→フランスメキシコ。どんな観光客やねん。

明日はローマに向かいます。ただしい観光客に戻れるでしょうか。

 


パブリックヴューイング

2010-06-17 | voyage

エッフェル塔のほうが目立ってますが。

スイススペイン戦開始前です。

明日フランスメキシコがあるのだけれど、怖くてこられなかった。

スペイン語が飛び交っていて、すでにここだけは異様な雰囲気。やっぱりサッカーファンは恐ろしい。

早々に逃げ出して、『建築となんちゃら博物館』へ。新設のここ、すごいです!
建築に興味がなくても、模型好き、ドールハウス好きなら興奮すること間違いなし。

そしてカフェからもパブリックヴューイング会場とエッフェル塔が見えます。ここのテラスでプレッション(生ビール)飲みながら画面を遠巻きにしてるのが、小心者のlavieにはお似合いでした。

 

そういえば数年前のえびぞーくん襲名公演もここ(シャイヨー宮)でやったんでしたね。

あさってからローマです。さて・・・


ブラジル北朝鮮

2010-06-16 | la vie quotidienne

フランス人がやたらアジアをほめてる。

まあ上から目線なんだけどね。

意訳。

 

「今大会、アジアはがんばってますよね。

すでに二チームが勝利をおさめています。ギリシア相手とカメルーン相手ですが」

 

北朝鮮もがんばっとるやないか。

北朝鮮人がいっぱい日本でプレーしてることを、フランスで教えられてるあたしってば・・・

前半終了

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