小倉平成中村座、11月6-8にかけて京都から出かけて行きました。(4-5は京都で南座、そして9-10は京都に戻って観光という
へんな強行軍)
夜の部三回、昼の部は一回。まとめて感想ごく簡単に。もうすぐ書いとかないと永遠に書かないのでねw
結論から言って夜の部小笠原騒動は、いろいろ地元サービスやら不必要な入れごとはあったものの、大満足。
とにかくキレッキレの勘ちゃんが見られて楽しかったし。なんといっても岡田良助内の陰惨な世話場が圧巻。
歌女之丞はいたものの、中村屋兄弟と子役でここまでちゃんと(えらそう)世話場愁嘆場が成立してるのには成長を感じましたね。
古典歌舞伎としては実は破調なのかもしれないけれど、家族を全員失った後の良助の絶望のうめき声。天日棒とか赤目の転生で印象的だったあの「あぁー。あぁー」(実際にはあに濁点がある感じ)の声。絶叫でもなければ号泣でもない、静かなのだけれど、底知れぬ絶望を漂わせつつ、そのくせなにか美しい。あの声が聞けただけで小倉くんだり(失礼)行った甲斐がありました。
ってことで夜の部だけで大満足だったのですが昼の部も一応見たw
矢切渡は意外とw七之助のお舟ちゃんがよかった。これ、若い頃の勘九郎でずっと見たかった役なので個人的にはすねてたんだけどwまあ良かったのでいいです。お舟ちゃんが純粋一途なだけじゃなくて、実は他の男はちゃんと手玉にとってるちゃっかりさんなのが七之助だとよくわかったw。
問題は弥十郞の頓兵衛。裏の主役だと思ってるので・・・うーん。芝居はともかく、(お舟ちゃんの逆で、実はいい人ってのも見え隠れしたのがよかったかも)蜘蛛手蛸足の引っ込みがもう悲惨で。恐ろしさと滑稽さとかっこよさがなければ、なのにほぼどれもない。
この一座、一番の大問題は勘九郎以外所作ごとがちゃんとできる人がいないということだと思う。弥十郞の蜘蛛手蛸足もそうだが、小笠原騒動の獅童の狐の所作、後述する封印切での所作など、せっかくの芝居に水を差すことがたびたびあった。
お祭り。
まあ勘ちゃん手抜きでw
猿ちゃんの踊りも最近そう思うのだけど、まあ軽く踊ってながら巧いのはわかるんだけど、ここまで軽く踊って色気が出るにはまだちょっとね。これなら正直顔と姿で踊る仁左衛門のほうが。。。とも思ったり。
まお客さんは勘ちゃんがほほえむと大拍手。後ろが外が見えると大喜び(小倉城は限られた席からしか見えない。小屋の角度とかもう少し工夫できなかったのか)だったのでいいか!
封印切
今月のワースト。てか今年のワーストかも。
獅童の忠さんがもう気持ち悪くて気持ち悪くて。
気持ち悪いポイントその1.なんといっても言葉。上方言葉が壊滅的に酷い。
気持ち悪いポイントその2.愛嬌を出そうとしてかにやつき過ぎ。客の半分くらいはこれ喜劇だと思っちゃったんじゃないか。
気持ち悪すぎて勘ちゃん@八つあんの出番終わりで出てしまったのですがツイッターとか見ると花道の梅川忠兵衛の引っ込みも爆笑と拍手の渦だったらしい・・・
出来ないものを断わる勇気を獅童さんには持っていただきたい。チャレンジ精神だけで通るお年ではないでしょう。勉強会でもないでしょう。
ここには書いてないものも含めて数々の不満もあったりしたのですが
とにかくキレッキレの所作と繊細な芝居と、なによりもあの「声」が聞けただけで幸せな三日間でした。