要となる智を継ぐもの

株式投資についてつらつらと書くブログ(走り書き)。誤字脱字錯誤に計算間違い多数。補正・修正は読み手側でしてください。

成長株の行方。

2010-12-17 22:14:25 | 投資日記
成長率も短中期で消滅する。下記は2007年時の上場株を成長率別に7分位で分け、その推移を図にしたものである。



往々にして成長性は3年で消えた。勿論、成長を続ける銘柄もあるが、全体のトレンドは極短期間のうちに成長率は消滅すると言える。(このグラフは不景気が影響をしている。無成長銘柄でさえ売上を5%近く落としている。よって景気調整値として5%程度上乗せして考えた方が良いだろう。それでも、成長率の減少からは逃れられない。)

因みに成長率のブレに関しては下記のグラフを参照頂きたい。対象銘柄は2007年時に45%~25%の成長率を持っていた銘柄群を使用している。また、X軸は経過年数、Y軸は年次成長率を表わし、赤線は中央値と±標準偏差を表わす。


高PBR銘柄の行方。

2010-12-17 21:12:06 | 投資日記
高PBR銘柄はリターンが低い。米国市場においてはこれが統計的に証明されているらしい。

では、日本市場の場合はどうか。2000年時に高PBR銘柄に投資をした場合のリターンを図に示した。X軸は資本の蓄積度、Y軸がキャピタルゲインを示している。



やはりと言うべきか、高PBR銘柄ほど、リターンが低い。特に超高PBR(PBR5倍以上)の場合、スタート地点が約-75%。さらに、資本を蓄積しても対する係数が0.13である為、焼け石に水状態。仮に100%の資本蓄積を行ったとしても、株価は13%しか上昇しない。これに準ずる高PBR層も同じくかなり厳しい結果となっている。
※補足:上記グラフ中の“PBR-3.0”はPBRの数値が2.0から3.0にある銘柄です。

高PBR銘柄で勝つ為には、高PBRを持続するか、相応にBPSを高める他に方法が無い。

高PBRに関しては景気の如何に関わらず、一貫して落ちる。下記のグラフが物語っている。



2000年から2005年は比較的上昇機運の高かった時期である。いわゆるバリュー投資バブルが芽生え、絶頂に達しつつあった時期である。そんな中、高PBRは下落を続けた。特にPBR5倍以上に関しては十中八九、-30%から90%の下落率に見舞われた。かたや低PBRが勢いよく値を上げる中、高PBRは燻りつづけた。

2005年から2010年においては市場自体が下降線を辿った。図にも明らかなように、PBRの高低に関わらず、ほぼ全銘柄がマイナスとなった。そんな中、際立ってマイナス幅を拡大させたのが高PBR銘柄であった。PBR5倍以上の銘柄に関しては、大体の銘柄が-80%以上を経験していた。これらを踏まえ考えると、景気の如何に関わらず高PBRである事は、株価下落を意味する。

次にBPSの成長について考える。BPSの成長(累積資本蓄積率)がPBRの下落を上回れば株価はプラスに転じる。下記は2000年から2010年までのPBR別、累積資本蓄積率を図にしたものである。



少々見難いが、青線が平均資本蓄積率となる。御覧の通り、PBRの高低に関わらず、その蓄積率は凡そ100%以内に収まっている。10年で2倍にもなっていないと言う事である。幾つかの銘柄は300%超の蓄積率を誇っているが、これは増資由来の場合が多い。高PBRで増資を行えばそれだけ有利に資本は増える。特にPBRが安定している時期に大型増資を断続的に行えれば資本は蓄積できる。増資と聞くと嫌悪感を抱くが、殊高PBR銘柄に関しては良い事かもしれない。特に既存株主にとってみれば、新規資本が安く手に入る事を意味するのだから。

いずれにせよ、資本の蓄積はままならず、PBRの下落をカバーするに至っていない。この為、高PBR銘柄への投資は失敗に終わる。また、その下落の度合いは現行PBRからトレースする事が可能。即ち、平均的成長率、平均的利益率を持つ企業であれば、PBR1倍程度になるまで落ちる株価は落ちる。最終的にはPER的に妥当な値段となるか、PBR的に妥当な値段となるか、二つに一つ。利益率が高く、長期的に保持出来るのであればPERベースでトントンな価格に落ち着く。そうでなければPBRベース。収益性が乏しく還元可能性も薄ければPBR1倍以下の世界が待っている。

低PBR×財務良好銘柄の行方。

2010-12-17 13:12:47 | 投資日記
“資産系”バリュー投資に関する興味深いデータが取れた。下記グラフは2005年時点での自己資本比率、及び現金比率の分布を示す。Y軸はその後5年間の株価変動。低PBR銘柄(PBR0.6倍以下)はグリッドで強調表示した。



見ての通り、“資産系”バリュー銘柄である低PBR&高財務銘柄は他の高PBR銘柄と変わらない。後述するが、利益系バリュー投資であれば、2005年から2010年の市況停滞期間でもその下落幅が小さく、且つ資本蓄積に応じて株価も底上げされる。

私は“資産系”バリュー投資を全否定するつもりは毛頭無い。しかし、データを見る限り、戦略として有意性があるのかと言われると、疑問が残る。勿論、資産系バリュー投資は自己資本比率や現金比率のみに依存しているわけではない。その点は理解している。が、これらの指標は軸足となる指標である。さらにデータを取ってみないと断定はできないが、あまり望みは大きくないと思われる。

低PBR下での資本蓄積による株価への影響度。

2010-12-17 12:02:10 | 投資日記
低PBRの条件下で資本を蓄積した場合、株価は如何に変化するか。

仮に2000年に低PBR銘柄(PBR0.7倍以下)に投資を行ったとする。次の10年間の資本蓄積が株価に影響しただろうか。早速データを取ってみた。結果は下記の通り。



まず、近似線は1次関数にて示す。御覧の通り、資本蓄積(Y軸)は株価(X軸)に対して大きな影響を与えている。1%の資本蓄積は1.5%の株価上昇として跳ね返ってきた。また、資本蓄積が無い場合でも、凡そ15%程度の株価上昇があった。



次に、近似線を2次関数に置き換えてみる。残差が約5%向上している為、有意だとする。この近似線を見る限り、資本の蓄積が進行する程に、株価へのの跳ね返りが大きい事が分かる。資本蓄積率は二次関数的に株価への影響度は増す。その逆に、資本が減少した場合は株価への影響度は遁減する。今回は資本の蓄積率を3分位(0%,50%,100%)に分けた。それぞれ違った傾向がある事が見てとれる。

上記の通り低PBR投資で成功を収めるには資本の蓄積が必須である。しかし、資本の蓄積は簡単でない。最初のグラフの下部を見てほしい。10年かけて50%の資本増を達成したのは2割にも満たない。100%の資本増に至っては5%も無い。超過リターンを得たいのであれば、投資に際しては低PBRなだけではなく、高収益を安定的に持続できる希有なビジネスに投資する事が望まれる。

因みに下記はPBRを3分位に分けてプロットしたグラフである。



切片こそは変わるも、傾きはそれほど顕著な違いは無い。むしろPBR 0.3-0.5の傾きがベッコリしているのが気になる。PBRそのものは一定水準以下の場合、その効果は減少するのかもしれない。

いずれにせよ、低PBR×高収益×収益持続性が低PBR戦略投資のカギだろう。

資本1%の積み増しに対する株価の反応と新しいPBR投資戦略(訂正)

2010-12-17 11:11:13 | 投資日記
※訂正事項:前回エントリーの“資本1%の積み増しに対する株価の反応と新しいPBR投資戦略”で資本蓄積1%につき3%がキャピタルゲインで帰ってくると言いましたが、誤解でした。実際は1.5倍です。詳細に関しては次の記事にてお伝えします。