以下は産経新聞からの転載です。
■風力発電で自然を再発見
麓から見上げると、青い空と平らな稜線(りょうせん)の切れ目に、巨大な白い風車がゆったりと回っていた。
日本有数の水質を誇る猪苗代湖の南岸に位置し、その水源でもある福島県郡山市湖南町。同町赤津地区の布引高原で昨年2月、日本最大の風力発電施設「布引高原風力発電所」が営業運転を開始した。
同発電所を建設した電気事業会社「ジェイパワー(電源開発)」(本社・東京都中央区)によると、同発電所では現在、高さ64メートル・翼の直径71メートルの風車が33基稼働している。生み出す電力量は年に約1億2500万キロワット時。一般家庭の年間消費電力に換算すると、約3万5000世帯分に相当するという。一方、二酸化炭素の削減効果は年間約5万1000トン。乗用車約6万3000台分に当たる。
しかし、同発電所が生み出しているのはエネルギーだけはない。郡山市湖南行政センターの石田嘉夫所長は「毎年数千人程度だった高原への観光客が、今シーズンは20万人を超えた」と話す。
▽ ▽
こうした誘客効果は当然、地元経済にも良い影響をもたらしている。
同町の食堂「大阪屋」店主、阿部健二さん(60)は「この町には、猪苗代湖のほかに観光地がなかった。でも、発電所を訪れた観光客が店にも立ち寄ってくれるようになり、売り上げが伸びた」と笑顔だ。
湖南町商工会でも、雪解けとともに始まる布引高原の観光シーズンを前に、魅力ある町づくりに励んでいる。
町内マップやチラシを作成し、観光客の商店街への誘導を図る一方で、今月30日には郷土料理コンテストを開催する予定だ。優勝した作品は、商店会のお墨付きで販売するという。
同商工会の野口起由事務局長は「美しい自然がこの町の良さ。観光客が何度も訪れてくれる町にしたい」と話す。そのために布引高原に花畑を作るなど、風車以外の見どころを増やしてリピーター獲得を目指すという。
▽ ▽
さらに発電所の誘客効果を、農業振興に役立てようとする動きも出てきている。
布引高原は全国的に有名な「布引大根」の産地。だが、昭和40年代に90世帯以上あった生産者は現在、19世帯にまで減少している。さらにそのうち、50歳代の生産者が数人いるほかは、すべて60歳以上という高齢化が進んでいる。
湖南町の各種団体で作る「湖南地域総合振興促進協議会」会長で、自身も高原に畑を持つ大山孝さん(75)は「高原に売店を作り、布引大根を販売した結果、予想以上に売れた。農業で食べていけるとなれば、後継者の流出防止や農業参入などにつながるかもしれない」と期待を寄せる。
風力発電のクリーンなイメージと風車を見どころに、新たな観光地となった湖南町。一部の観光客によるゴミのポイ捨てや、駐車場の整備不足などの問題があるほか、今後、どれぐらいの人が訪れるのかは未知数でもある。
一方で、環境に対する関心が社会的に高まっているのも事実。同町は「自然と環境をテーマにした町おこしの成功モデル」となる可能性を秘めているともいえそうだ。(福島支局 小野田雄一)
◇
【プロフィル】湖南町
福島県郡山市の西端、標高500~1000メートルの寒冷地域に位置する。降雪量は80~130センチ。町内の布引高原では気候を生かし、大根やソバなどを生産している。布引高原に登る途中のカツラの大木は国の天然記念物に指定されている。面積167平方キロ。人口4638人、うち65歳以上の高齢者が約37%を占める(平成19年1月時点)。
観光客が数千人から20万人超!!に増えたそうです。
波及効果は町内の食堂だけではないようです。風車の周辺で特産の大根がたくさん売れたというのがすばらしいですね。作ったものが売れるとわかれば農業をやろうという人もまた後継者も増えるのは当然のことです。
もともとの知名度が低かった湖南町でもこれだけの集客が可能になったのです。
旅行業者から「立派な宿泊施設はたくさんあるが、見るところが無い」とたびたび指摘されている当町としては羨ましいはなしです。
■風力発電で自然を再発見
麓から見上げると、青い空と平らな稜線(りょうせん)の切れ目に、巨大な白い風車がゆったりと回っていた。
日本有数の水質を誇る猪苗代湖の南岸に位置し、その水源でもある福島県郡山市湖南町。同町赤津地区の布引高原で昨年2月、日本最大の風力発電施設「布引高原風力発電所」が営業運転を開始した。
同発電所を建設した電気事業会社「ジェイパワー(電源開発)」(本社・東京都中央区)によると、同発電所では現在、高さ64メートル・翼の直径71メートルの風車が33基稼働している。生み出す電力量は年に約1億2500万キロワット時。一般家庭の年間消費電力に換算すると、約3万5000世帯分に相当するという。一方、二酸化炭素の削減効果は年間約5万1000トン。乗用車約6万3000台分に当たる。
しかし、同発電所が生み出しているのはエネルギーだけはない。郡山市湖南行政センターの石田嘉夫所長は「毎年数千人程度だった高原への観光客が、今シーズンは20万人を超えた」と話す。
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こうした誘客効果は当然、地元経済にも良い影響をもたらしている。
同町の食堂「大阪屋」店主、阿部健二さん(60)は「この町には、猪苗代湖のほかに観光地がなかった。でも、発電所を訪れた観光客が店にも立ち寄ってくれるようになり、売り上げが伸びた」と笑顔だ。
湖南町商工会でも、雪解けとともに始まる布引高原の観光シーズンを前に、魅力ある町づくりに励んでいる。
町内マップやチラシを作成し、観光客の商店街への誘導を図る一方で、今月30日には郷土料理コンテストを開催する予定だ。優勝した作品は、商店会のお墨付きで販売するという。
同商工会の野口起由事務局長は「美しい自然がこの町の良さ。観光客が何度も訪れてくれる町にしたい」と話す。そのために布引高原に花畑を作るなど、風車以外の見どころを増やしてリピーター獲得を目指すという。
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さらに発電所の誘客効果を、農業振興に役立てようとする動きも出てきている。
布引高原は全国的に有名な「布引大根」の産地。だが、昭和40年代に90世帯以上あった生産者は現在、19世帯にまで減少している。さらにそのうち、50歳代の生産者が数人いるほかは、すべて60歳以上という高齢化が進んでいる。
湖南町の各種団体で作る「湖南地域総合振興促進協議会」会長で、自身も高原に畑を持つ大山孝さん(75)は「高原に売店を作り、布引大根を販売した結果、予想以上に売れた。農業で食べていけるとなれば、後継者の流出防止や農業参入などにつながるかもしれない」と期待を寄せる。
風力発電のクリーンなイメージと風車を見どころに、新たな観光地となった湖南町。一部の観光客によるゴミのポイ捨てや、駐車場の整備不足などの問題があるほか、今後、どれぐらいの人が訪れるのかは未知数でもある。
一方で、環境に対する関心が社会的に高まっているのも事実。同町は「自然と環境をテーマにした町おこしの成功モデル」となる可能性を秘めているともいえそうだ。(福島支局 小野田雄一)
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【プロフィル】湖南町
福島県郡山市の西端、標高500~1000メートルの寒冷地域に位置する。降雪量は80~130センチ。町内の布引高原では気候を生かし、大根やソバなどを生産している。布引高原に登る途中のカツラの大木は国の天然記念物に指定されている。面積167平方キロ。人口4638人、うち65歳以上の高齢者が約37%を占める(平成19年1月時点)。
観光客が数千人から20万人超!!に増えたそうです。
波及効果は町内の食堂だけではないようです。風車の周辺で特産の大根がたくさん売れたというのがすばらしいですね。作ったものが売れるとわかれば農業をやろうという人もまた後継者も増えるのは当然のことです。
もともとの知名度が低かった湖南町でもこれだけの集客が可能になったのです。
旅行業者から「立派な宿泊施設はたくさんあるが、見るところが無い」とたびたび指摘されている当町としては羨ましいはなしです。