余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

雨桜

2021-04-08 00:04:11 | バラ色の獣の詩
しとしとと降り続く雨の線
周りには可憐に咲く春桜
二つの幻想的な色合いと淡い切なさ
散ることの早い淡いピンクに
上を見る人も下を見る人も立ち止まる
現実と夢の間にいるような
憂鬱と好奇心が交錯する
時が止まったままの目と耳の大きさ
子供の時分と大人の時分
二つの世界がシンクロして
ぎこちない物語の人物になっていく
雨の匂いは夢の夢
桜の香りは純白の夢
散っていく一片の花びらは
崩れていった想いになる
気が付けば五歩前に想い人
微笑みの花びらとピンクに染まった頬
儚さのある風景に壊れかけた思いが蘇り
雨は降ることを忘れる
雨上がりの差し込む光と可憐桜
深く想いの傷を光るピンクでまぶし
氷った心を潤し溶かしていく
さらに目も開けられないほどの
眩しい光が一面に広がり
大地にまでも光でいっぱいになる
やがて全てが光になる
光は紫も連れてくる

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