バットはぴくりともしなかった。
4月24日、松山のぼっちゃんスタジアム、ヤクルト対広島カープ5回戦。最終回一死一二塁、8番捕手倉義和に代わる代打、木村一喜が三振に倒れた場面である。結局木村は代打で登場してきたにも関わらず、ただの一度もバットを振ることがなかった。
この回から登板したスワローズの抑えの投手、石井弘寿は初球真ん中からやや外角よりに直球を投じた。しかし、木村は全く微動だにしなかったのである。球速は152kmを計測したが、木村一はド真ん中の球を、さも当たり前のように見送っている。
木村は初球は捨てていたのだろうか。或いは変化球に的を絞っていたのか。
実は伏線があった。
4月20日の中日ドラゴンズ戦。9回表に勝ち越し点をあげられたカープは最終回の一死後、2本の短打でチャンスを掴む。ここで、捕手の倉に代わって送り出されたのが木村一だった。ドラゴンズの投手はこの回からマウンドにあがった岩瀬仁紀。
岩瀬は木村一の初球、ド真ん中にスライダーを投じた。ドラゴンズナインとファンは「あっ、」と声を出してしまいそうな危険極まる打ち頃の球だった。
木村一にしてみれば、狙い球は直球だったに違いない。ストライクから足元に落ちてくるスライダーにひっかかり、カウントを稼がれたくない。ましてや、引っ掛けてダブルプレーにでもなったら目もあてられない。
しかし、如何せん見送り方が悪すぎた。明らかな直球狙いはTV画面を通してもはっきりわかった。案の定、ドラゴンズバッテリーは2球目もスライダーを選択する。インコース高めのストライク。木村一はあっという間に追い込まれてしまった。
捕手の木村一にしてみれば、岩瀬はゲッツー狙いでスライダーを投じてくることは容易に想像がついたはずである。むしろ、木村一は岩瀬の得意とするスライダーを積極的に狙いにいくべきではなかったか。
この後、木村一はファールで粘りながらボールカウントを2-3としたが、結局スライダーに引っかかり、2塁ゴロに倒れる。
さて、スワローズ戦に話しを戻す。石井に初球を直球でストライクを取られた木村一は続く2球目、今度はインコース高めのスライダーでストライクを取られる。コースが少し内に外れているように見えたが、審判の判断はストライクであった。またしても、木村一はあっという間に追い込まれてしまったのである。
ドラゴンズ戦、スワローズ戦ともに木村一の打席は既に初球で決着がついていたといえる。狙い球が変化球か、直球かにかかわらず、木村一は全ての球を引っ張ろうとしていたはずだ。しかも、初球のド真ん中を見逃した時点で、既に蛇に睨まれた蛙のようであった。岩瀬、石井、速い直球とスライダーを中心に投球を組み立てる、この二人の投手に対して、木村一の打席に入る心に大きな迷いがあったのだろう。狙い球を絞るべきか。或いは右へ流すか、センター返しか。それとも、思い切り引っ張るか。
3球目、外角に際どく直球で外した木村一は辛うじてバットを止めた。判定はボール。しかし、石井の投じた4球目、クロスファイアーのストレートは木村一の胸元を鋭くえぐり、ホームプレートをかすめ、この日2000本安打を放った古田敦也のミットに吸い込まれた。
こうして対左投手の代打の切り札は一度もバットを振ることなく、いとも容易くカープの反撃の芽を摘んでしまったのである。
4月24日、松山のぼっちゃんスタジアム、ヤクルト対広島カープ5回戦。最終回一死一二塁、8番捕手倉義和に代わる代打、木村一喜が三振に倒れた場面である。結局木村は代打で登場してきたにも関わらず、ただの一度もバットを振ることがなかった。
この回から登板したスワローズの抑えの投手、石井弘寿は初球真ん中からやや外角よりに直球を投じた。しかし、木村は全く微動だにしなかったのである。球速は152kmを計測したが、木村一はド真ん中の球を、さも当たり前のように見送っている。
木村は初球は捨てていたのだろうか。或いは変化球に的を絞っていたのか。
実は伏線があった。
4月20日の中日ドラゴンズ戦。9回表に勝ち越し点をあげられたカープは最終回の一死後、2本の短打でチャンスを掴む。ここで、捕手の倉に代わって送り出されたのが木村一だった。ドラゴンズの投手はこの回からマウンドにあがった岩瀬仁紀。
岩瀬は木村一の初球、ド真ん中にスライダーを投じた。ドラゴンズナインとファンは「あっ、」と声を出してしまいそうな危険極まる打ち頃の球だった。
木村一にしてみれば、狙い球は直球だったに違いない。ストライクから足元に落ちてくるスライダーにひっかかり、カウントを稼がれたくない。ましてや、引っ掛けてダブルプレーにでもなったら目もあてられない。
しかし、如何せん見送り方が悪すぎた。明らかな直球狙いはTV画面を通してもはっきりわかった。案の定、ドラゴンズバッテリーは2球目もスライダーを選択する。インコース高めのストライク。木村一はあっという間に追い込まれてしまった。
捕手の木村一にしてみれば、岩瀬はゲッツー狙いでスライダーを投じてくることは容易に想像がついたはずである。むしろ、木村一は岩瀬の得意とするスライダーを積極的に狙いにいくべきではなかったか。
この後、木村一はファールで粘りながらボールカウントを2-3としたが、結局スライダーに引っかかり、2塁ゴロに倒れる。
さて、スワローズ戦に話しを戻す。石井に初球を直球でストライクを取られた木村一は続く2球目、今度はインコース高めのスライダーでストライクを取られる。コースが少し内に外れているように見えたが、審判の判断はストライクであった。またしても、木村一はあっという間に追い込まれてしまったのである。
ドラゴンズ戦、スワローズ戦ともに木村一の打席は既に初球で決着がついていたといえる。狙い球が変化球か、直球かにかかわらず、木村一は全ての球を引っ張ろうとしていたはずだ。しかも、初球のド真ん中を見逃した時点で、既に蛇に睨まれた蛙のようであった。岩瀬、石井、速い直球とスライダーを中心に投球を組み立てる、この二人の投手に対して、木村一の打席に入る心に大きな迷いがあったのだろう。狙い球を絞るべきか。或いは右へ流すか、センター返しか。それとも、思い切り引っ張るか。
3球目、外角に際どく直球で外した木村一は辛うじてバットを止めた。判定はボール。しかし、石井の投じた4球目、クロスファイアーのストレートは木村一の胸元を鋭くえぐり、ホームプレートをかすめ、この日2000本安打を放った古田敦也のミットに吸い込まれた。
こうして対左投手の代打の切り札は一度もバットを振ることなく、いとも容易くカープの反撃の芽を摘んでしまったのである。
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