「宗屋」では並んで入店したが、「梅割り」3杯飲んで、店を出たのは一番乗り。自分のペースが早いのか、周囲の人が遅いのか。自分にはペースの速さの自覚はない。ともかく、外に出ても、まだ明るくて、さてもう一軒行こうかと田町駅に向かった。いつものパターンなら、東十条までノンストップで帰り、「香港亭」で〆をいただくのだが、この日はそんな思いはなかった。じゃ、どうしようかと妙案も浮かばないうちに電車に乗った。
新橋に着いたが、降りようとは思わない。けれど、上野の到着がアナウンスされた時、必然と体が動き、ホームに出ていた。
電車から降りたのはいいが、上野で何を飲もうかという明確なビジョンはなかった。中華なら「珍珍亭」かなとアメ横に向かうが、その「珍珍亭」は激混み。その先の「昇龍」は「炒飯」辛いし、と思い、その突き当たりを右折した。行くあてがなくなって、適当に曲がったのだ。一瞬、御徒町の「珍満」に行こうかなと思ったが、少し歩くと見知らぬ立ち飲み屋が目に入った。通りから、店の様子を眺めていたら、でっかい男が来て、「どうぞ」と言ってきた。
店の手前側はテーブル席だが、奥には椅子がない。
「立って飲めるか」と尋ねたら、返事に困っている。自分の言うことが理解できないようだ。言葉のイントネーションは普通だが、中国人かもしれない。
「すごい筋肉だね」というと、彼は笑顔になってポーズをした。
結構、お店に入って、立ち飲みすることにした。
彼らは「テーブル席がまだ空いているのに、何故?」という顔をしている。適当な場所に、ポジションしてメニューを見た。
ところが、ホッピーもなければ、酎ハイもない。こりゃ困ったなと思い、仕方なく選んだのは、瓶ビールのキリン・ラガー。ただ、一応冷えたコップは付いてきた。
さて、おつまみは何にしようかと一通り見る。すると、〆に相応しい一品があった。
「焼きそば」。
迷うことなく、それを選んだ。
しかし、この山手線の外側をなぞる通りはいつしか、立ち飲みが並ぶ道となり、とうとうアメ横センタービルまで北上してきたか。昔は、御徒町側で、海鮮丼の店が出てきて、やがてそれらは酒を提供する店に進化した。この通りは昔、生物のお店が軒を並べていたが、コロナ禍の影響か、お店を畳むところが増え、そこに立ち飲み屋が入っていった格好だ。しかも、全体的に外国人由来のお店が多い。なんだか、日本の今を象徴しているようでもある。
「焼きそば」は思った通り、うまかった。日本風にアレンジされていたが、日本のソース焼きそばとは違い、塩の味付けがシンプルでいい。なんだかんだとハズレがないのがアメ横だ。
今夜はこれにて終了。
会計して、お店の外観を画像に撮り、はてお店の看板がないなと悩んだ。店名はなんだろう?
後でネットで調べても分からない。撮影画像をくまなく調べ、なんかヒントはないかなと見ていると、「無量」という看板が店内にあるのが見えた。「感無量」って書いてあるのかなと思ったが、ネット検索で、そのような店はヒットしなかった。そのかわり、「酒無量」という店は出てきた。
「酒無量」。
酒がはかりしれなほどふんだんにあるのかな。漢詩のようだし、熟語のようで、いかにも中国由来のお店らしいと思う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます