「BBB」

BASEBALL馬鹿 BLOG

「クロボカンへの手紙」~朝日、そして夕闇とともに~

2005-10-29 00:42:43 | 師への手紙
 師よ。
 この手紙を読む頃は、恐らくクロボカンとやらに移動し、旅のクールダウンを行っている頃だろう。
 師よ。バリ島はどうだったよ?

 えもしれない生命のエネルギーが降り注いで、まるで溢れんばかりに心を揺さぶらなかったか?師よ。


 ウブドでは朝早くから、数え切れない種類のいろんな鳥たちが鳴いていた。鳥たちのさえずりで目覚めるのは実に清々しく、爽快な目覚めだった。

 ―僕はアラスカの冬が好きだ。生きものたちは、ただ次の春まで存在し続けるため、ひたむきな生の営みをみせてくれる。それは自分自身の生物としての生命を振り返らせ、生きていることの不思議さ、脆さを語りかけてくる。自然と自分との壁が消え、一羽の小鳥に元気づけられるのは可笑しなことだろうか。―(『イニュニック〔生命〕』星野道夫著 新潮文庫より)

 バルコニーに出ると、ひんやりとした空気が肌に触れていく。
 木々をリスがつたい、鳥が枝ごしにこちらを見ている。
 朝日とともに起き、一日が始まる。こんな気持ちのいい朝を迎えたのはいつの事以来だろう。

 ―おてんと様のお使いが
 揃って空をたちました。
 みちで出遭ったみなみ風、
 (何しに、どこへ。)とききました。

 一人は答えていいました。
 (この「明るさ」を地に撒くの、
 みんながお仕事できるよう。)

 一人はさもさも嬉しそう。
 (私はお花を咲かせるの、
  世界をたのしくするために。)―
               (金子みすゞ童謡集 ハルキ文庫「日のひかり」より)

 日が落ちた。
 ウブドの田園風景は暗闇に包まれ、遠くで聞こえるガムランの音を除けば恐ろしいほどの静寂が訪れた。
 時折、蛙のような声が聞こえる。
 あれがトッケーだろうか。
 バルコニーで蝋燭の灯りだけを頼りに暗闇の向こうを見つめる。
 何か神聖な気持ちにすらなってきた。

 ―新月の夜、かすかな月光が雪景色を照らし始め、昨日までの闇が青白く浮かび上がると、森の木々はすでにぼんやりと雪面に影を落としている。月影は夜ごとにその強さを増し、やがて、雪明りにみちた満月の夜がやってくる。人々は、その中にさまざまなものがたりを生みだしてきた。―(『イニュニック〔生命〕』より)

 ウブドの夜の闇は静謐だ。
 月は風に揺れ、木々の葉ずれの音がする。
 微かに向こうに見える灯りは祭礼の光なのだろうか。
 ガムランの音はいよいよ佳境を迎えたように、やや激しさをましてきた。
 今、わたしは本当にこの世にいるのだろうか。
 天井に張り付いていたヤモリがチチチと声をあげた。

 ―月のひかりはみつけます、
 暗いさみしい裏町を。

 いそいでさっと飛び込んで、
 そこのまずしいみなし児が、
 おどろいて眼をあげたとき、
 その眼のなかへもはいります。
 ちっとも痛くならないように、
 そして、そこらのあばら屋が、
 銀の、御殿にみえるよに。
             (金子みすゞ童謡集 ハルキ文庫「月のひかり」より)

コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 居酒屋放浪記NO.0038 ~アジ... | トップ | 居酒屋放浪記NO.0039 ~下町... »

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
絵葉書。 (熊猫刑事)
2005-11-01 22:25:26
 師よ。

 今日(11月1日)、絵葉書届いたよ。ありがとう!師よ。

 しかし、きのこで喧嘩というのはいかんな。バカンスのときはやめとけ、師よ。

 バトゥール湖はどうだった?

 俺たちは山の上のバイキングの店で昼食とったんだが、まずかったよ。でも、眺めはよく、(雲が多かったが)雲海も見えたぞ。

 

 そろそろ、クロボカンに着く頃ではないか?

 返事待っているゾ。
返信する
寒いねえ! (ふりーまん)
2005-11-06 00:25:04
いやあ、すまん師よ。あまりパソコンを使う気にならないまま向こうで過ごしてたら、なんだかんだで3日に日本に帰国しちゃいました。

しかし、サブいよ京都・・・。



さて、向こうでは、日本での引きこもり生活の反動か、久々のフリー海外旅行の今回は(パラグライダーフライト修行で無いってことっす。)思った以上にアクチブ(アクチブって・・・。)に動き回りました。



ウブド-キンタマーニ観光においては、レンタルバイク1日100km超の旅という馬鹿企画も敢行。次の日はきっちり教えてもらったワールドボディーセンターのグリグリマッサーのお世話になったよ。しかし、あれ、結構グリグリするから痛かったなあ。なんかリンパ腺の流れをグリグリで良好にとか言う能書きだったからだと思うんだけど。確かにかなり効いたけど、筋肉痛のふくらはぎを力道山張りに空手チョップ叩きされた時は、「はうっ!」って叫びそうになったよ。



しかし、バリに日本人が多く訪れるというのは分かる様な気がしたなあ。バリの人やその生活は、日本とは生活文化や環境は全く違えど、日本の昔の生活が思い起こされるような何かがあるような気がしてならず、その辺が日本人に人気なのかもとか思ったりしたなあ。



礼儀正しいところや、結構働き者であるところ。コミュニティーを大切にするところや、綺麗好きなところ。また、宗教的儀礼を重んじるところなど、この辺りがその辺を思わせるポイントなんじゃないかと思ったけどどうだろう。



あと、今回も思ったのはやはり俺は、繁華街や都会、おしゃれ空間がダメだってこと。

クタは若干、すえたバックパッカーの香りがする退廃の町タイはカオサンを思い出させ、お土産屋の物量や、物売り、タクシーの攻撃に疲れたし、高級リゾートでは貧乏魂がどこかで警鈴を鳴らし、(悲しいのお・・・。)結局は、透き通るような青い空と海が交じり合うような静かな島レンボンガン島、ダイビングの楽園アメッド・トゥランベン、そしてガムランの響きが聞こえるウブドがお気に入りだったよ。



次回はもっとツーリストの少ないところでただ、自然の中、たたずんでみたいもんだと思ったりしてるよ。



それにしても今回は群を抜いてダイビング体験が良かったよ。どこまでも森のように重なる珊瑚、その中やまわりで泳ぐたくさんの小魚や海の生き物。1mもあるかと思われるカジキの仲間やカワハギなどの大きな魚。回遊するアジの群れ、海底に差し込む陽の光の美しさなど、筆舌に尽くしがたい素晴らしいシーンをたくさん見ることができたよ。



ホテルの部屋にあったCDで聞いたガムランが気に入ったんで、それをフロントに話したら、そのCDをくれたんで、帰ってそれを聞きながら、南国の森の緑の深さや蒼い空、極彩色の花々、透き通る碧い海、海中の珊瑚や魚たちを思い出すここ数日だよ。



また家族には、土産で買ってきたナシゴレン(インドネシアチャーハン)とソトアヤム(鳥スープ)アヤムゴレン(インドネシアフライドチキン)の素で作った料理で、バリ気分を味わってもらったよ。



そんな感じだ、師よ。ほんと、またいきたいと思わせるところだったよ、バリは。



なお、コメントなのに超長文、お許し下さい。
返信する
はじけてるな! (熊猫刑事)
2005-11-06 21:05:59
 師よ。かなりバリでははじけてたな。

 いい感じでアドレナリンを出しているみたいだ。

 俺もアドレナリンをどくどく出したいよ。

 しかし、ダイビングかなりよかったみたいだなぁ。

 沈船ダイブってどんなだ?

 なんとなく薄気味悪いイメージなんだが。



 しかし、バリにいるとなんか霊力というか、人間としての感度がよくなる気がするよ。

 東京にいると人間本来の力がどんどん鈍っていくようで怖いな。

 師もせっかくバリで貯めた霊力を日本で擦り切れさせないように気をつけてくれ。
返信する
エキゾチックじゃぱーん (引きこもりフリーマン)
2005-11-08 23:38:55
エキゾチッーク、じゃぱーん!(郷ひろみ氏楽曲より)は、ほんと寒いよ師よ。ただ、京都は徐々に紅葉を深め、山々のモミジは美しく色づき始めているけれどね。



さて、俺といえば、バリでアドレナリンを使い果たしてしまったのか、関空に着いた5分後にはバリ霊力は霧散し、スパのマッサー効果も消失。腰は痛み、寒さで体は硬くなり、無職3○才、ニートにもなれず(ニートは35歳以下しかなれないらしいですよ、奥様!)昨今の寒さにふるえる当家の愛犬インディーさんと同じく、寒々しい部屋の片隅でふるえる今日この頃だよ。



なお、沈船ダイブは、海賊の死骸が出てくる海賊沈船の探検というおどろおどろしい感じではなく、沈んで朽ち果てた鉄の塊に、多くの珊瑚やイソギンチャクが根付き、そのまわりに色とりどりの魚が泳ぐという、実感水族館というような極彩色の海中空間だったよ。何度思い出しても、日が差し込んだときに浮かび上がるさんご礁と、青や黄色、そして赤の小魚のあの美しさが浮かんでくるよ。



ただ、俺たちは18mまでしか潜れないという縛りがあって、それ以上いけなかったんだけど、そのはるか下にいた海亀なんかを近くで見ることはできず、またその更に下に広がる暗黒の海底は若干の怖さを思わせるものもあったけどね。でも、ダイビング自体は思っていた以上に危険だと思えるスポーツではなかったなあ。自然を相手にするということで、基本的な注意点を確実に守らなければいけないということは当然ある訳だけど。



師とダイビングというのもちょっと笑えると思うな。

今度の旅行は前半3日間で師がライセンスを取得して、その後一緒にダイビング三昧って言うのもどうだ?

スリランカや南インド辺りなら、いいダイビングスポットもあるんじゃないかな?
返信する
書を捨て町へ出よ。 (熊猫刑事)
2005-11-09 13:39:02
 寒くなってきたな。

 しかし、昨夜の電話はサプライズだったろう。

 俺は酔ってて何喋ったか実は覚えていないが、とにかく、ガチャピンと遊びにきてくれ。

 さて、京都の紅葉の映像がニュースでよく流れてくるよ。どっか行って写真を撮ってくれないか、師よ。そして、このブログ内で発表っていうのはどうだ?



 さて、ダイビング楽しかったんだナ。

 今度の旅行でダイビングっていうのもなかなかいいな。

 そうそう俺はボラボラ島で泳ぐウミガメを見たぞ。すごかったなぁ。



 ところで、旅行どこ行くんだっけ?

 昨夜、そんな話しもしたような気が・・・。

 
返信する

コメントを投稿