酒が飲めない五郎さんが、酒飲みに囲まれながら、わしわしとご飯をかきこんでいる。周囲は酒飲みばかり、画面を通して、酒の匂いが伝わってくる。
この食堂、すごい。昼から、酒飲み全開じゃないか。
ドラマ「孤独のグルメ」Season2 第1話。
「三ちゃん食堂」。
行ってみよう。
ボクは、新丸子に向かった。
「三ちゃん食堂」はすぐに見つかった。店内の喧騒が外にも響き渡っている。やれやれ、まだ昼の2時前だ。
外からは店内の様子は見えないが、多くの酔客がすでにいい感じで飲んでいるのがよく分かるのだ。
果たして、店はもはや満員なのか。全く予測がつかない。店内のイメージは、ドラマのシーンで覚えている。だが、この阿鼻叫喚はただならぬ雰囲気を醸す。
ボクは深呼吸して、店の扉を開けた。
眼前には、満員の店内が展開された。
だが、一瞬のうちにボクは居場所をなくす。店員もめまぐるしい忙しさで、ボクの存在に気づかない。
だが、ここでひるんではいけない。自分で状況を打開するのだ。
落ち着け。そう落ち着くんだ。
心を落ち着かせると見えてくる。ぽつぽつと空いている席が。長テーブルを繋げてくっつけた2つの川に空いた空間。
よくよく見ると、一人分の席が空いている。ボクは、その狭い隙間を縫って着席した。だが、これで安心してはいけない。オーダーするのも大変そうだ。おばちゃんらの動きは、全く止まらない。ひっきしりなしに彼女らは動く。
周囲の人が何を食べ、何を飲んでいるのか、観察してみる。
「カレーライス」(450円)に瓶ビール。ふむふむ。
「ラーメン」(400円)に焼酎ボトル。ほほう。
しかし、これは迷うな。攻め方。
店のメニューは壁に掲げられた大きな白いボードにしっかりと書かれている。そのメニューは全て中華。これは恐らく、この店の従来のものだろう。ボードの下には手書きの短冊メニューがずらり。いずれも、居酒屋メニューだ。恐らく、「三ちゃん」はもともと、純粋な中華料理屋だったのが、いつしか昼に酒を求める奴が多くなり、彼らがわがままな酒肴をオーダーすることで、店がフレキシブルに対応し、いつしか今の店のスタイルになったと考えられる。
中華を先に持ってくるか。それとも、ちびちびと居酒屋メニューで攻め、〆にラーメンか。
いや、ここは最初からフルスロットルこそ望ましい。
ボクは瓶ビールに「野菜イタメ」(500円)と「チャーハン」(500円)、そして「マカロニサラダ」をオーダーした。
我ながら思いきったオーダーだと思う。
周囲を見渡すと、一人の老人、グループの老人、そして大学生の集団、夫婦と思しき男女。様々な人が大いに笑い、おおいに食べて飲んでいる。ともすれば、オーダーする声はいともたやすくかき消されてしまう。
料理が運ばれてきて、二度びっくり。そのボリュームも半端じゃない。
こりゃ、人気になるわけだ。
その後、ボクは「焼酎ハイボール」を数杯飲んで過ごした。つまみは「ハムエッグ」。結局、〆のラーメンには食指が伸びなかった。
今、よい酒場のねらい目は食堂だと思う。
メニューはうまいし、だいいち値段も高くない。
この「三ちゃん」は中華あり、居酒屋メニューあり、そして魚の刺身ありと非の打ちどころがない。
12時オープン、中華最強説、健在である。
そういえば、今夜から「孤独のグルメ」SEASON5がスタートしたな。
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