お風呂放浪記 41 「豊島湯」（北区豊島）

虎がいる。
風呂の入口に虎がいる。一見すると剥製のようにも見えるが、近くでよくみると剥製ではない。
虎の目が水晶ではなく、赤い目をしているのだ。
まさに張子の虎である。

ウチの息子はこの虎を極端に怖がった。
銭湯には行きたいけれど、虎がいるから行きたくないとまで言った。

豊島３丁目の「豊島湯」。
商店街の一角にあるアールデコ調の立派な建物だ。
入口が男女分かれているので、番台は男女中央に位置していると思いきや、建物に入るとそこは男女共用の休憩室になっていて、その共用のエリアに番台があった。
恐らく改装したものだと思われる。

そこから暖簾をくぐって脱衣所に入るのだが、改装の結果なのか、比較的狭い。脱衣所はもう少し広々としていないければ、なんともゆったりできないのだが、恐らく８畳くらいの広さしかないかも。

でも、お風呂はご機嫌だった。
浴槽は３つ。
泡が出るお風呂、普通のお風呂、電気のお風呂。
さすが、東京のお風呂らしく42℃もあって熱かったけれど、体にじわじわと効いているようで、実に気持ちがいい。

この銭湯の特徴はミストサウナがある点だ。別途料金を支払う必要もなく、誰でも入れるのがいい。

豊島の銭湯はこれで全て制覇した。
「宝泉湯」、「豊島浴場」、そして「豊島湯」。
いずれも趣深いところばかりだが、その中でも一番いいお湯だと思う。

銭湯の前には鈴大酒店があって、風呂上りに小江戸ブルワリーの「COEDO」ビールの生を飲むことができる。
この豊島３丁目商店街はいい雰囲気の店が並ぶ。
その商店街にある銭湯もやはり優しいお風呂だ。