銭湯にカフェが併設されているなんて初めて見た。ガソリンスタンドとドトールの組み合わせなら見たことがあるし、本屋とカフェだって、今や珍しくない。けれど、銭湯との組み合わせは異色中の異色だ。しかも、併設店にありがちななんちゃって店舗ではなく、「深海」は超本格派だ。
湯上がりの人が、ほんの数秒で異空間にトリップみたいなことが、本当に起きるし、その逆もまた然り。とにかく、両者は併設しているため、異空間は突然やってくる。これって、ある意味貴重な体験だ。しかも、そのカフェがまた只者ではなく、昭和の純喫茶の匂いをプンプンさせているものだから、たまんない。椅子は格調高く、装飾も凝っていたし、メニュー表もそれに合わせたものだった。
想像していた通りの店だったし、風呂上がり後、まるでタイムトンネルにでも入ってきたような感覚だった。
自分にはひとつの目当てがあった。
「プリン・ア・ラ・モード」をいただくこと。つまり、「プリン・ア・ラ・モード」モードだったのである。その豪華で、最高に贅沢なメニューが、この「深海」にはあったのだ。確か780円。椅子に着座して、真っ先にオーダーした。
お店の装飾には様々な遊び心があった。その一つに、恐らく手作りと思われるミニチュアがあった。赤いソファのそれは精巧で、よく出来ていた。こうして目で楽しませる演出も嬉しい。
やがて運ばれてきた「プリン・ア・ラ・モード」は予想を上回る豪華な盛りだった。船形のガラス皿にプリンとアイス、ホイップクリームに各種フルーツがてんこ盛りされたデラックス。月並みだが、まさにデザートの宝石箱という壮観さ。
さて、どこから手を付けていいのか分からないくらいで、まずは右手側のバナナから小手調べ。普段は食べないバナナもこうしていただくと一際うまい。やっぱり、ここではプリンが主役か。すると横に配置されているアイスは助演という扱いになるのだろう。そうなるとプリンはラストまでとっておくとして、アイスとフルーツをコラボして攻めていくべきか。そんなことを考えながら、この贅沢な舟盛りをいただいていく。
町中華にカツ丼やオムライスがあるように、レトロカフェの純喫茶には、こうしたデザートがある。スタバやコーヒーとケーキだけのカフェとは違うカフェとしての愉悦。
さて、楽しかった「プリン・ア・ラ・モード」の旅も、いよいよ終盤に差し掛かってきた。目で楽しみ、味わいの移り変わりを楽しみ、そして主役のプリンに辿りつく。プリンて、もう何年も食べていなかったなとしみじみ思う。ここまで歩いてきて正解だったし、お風呂あがりにいただいたのも自分としては絶妙だった。風呂上がりの牛乳ではなく、風呂上がりの「プリン・ア・ラ・モード」。
「深海」というディープゾーンに浮かんだ贅沢な舟盛り。一体、この喫茶店はどこまで自分を連れて行く気なのか。
腰痛は悪化したが、酒を伴わない、いい休みになった。ここにはまた体調を万全にして戻ってきたい。ちなみに、この「プリン・ア・ラ・モード」の画像はiPhoneの待ち受けにしている。
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