秋葉原駅の昭和通り口を出たところに立ち飲みがあることはT根から聞いていた。でも食指は伸びなかった。「串吟」みたいにつまんないんじゃないかなと思いながら。その日、ある予定がキャンセルになり、ぽっかり予定が空いたもんだから、さてどこへ行こうかという段になって、その昭和通り口の店を思い出した。ちょっと行ってみるかなと店に向かった。
店の名前は「さけときどきぶた」。店に着いて初めて店名を知った。矢玉四郎さんの「はれときどきぶた」を思い出す。
お店はまずまず混んでいた。ぐるりと厨房の周囲を囲むカウンターに老若男女が飲んでいる。つめればもっと収容できそうだが、とりあえず、カウンターは満員だ。
自分はカウンター奥の角、大型テレビの前に陣取った。さて何を飲もうかとメニューを見ようとしたら、女性の店員から「何を飲まれますか」と尋ねられた。若くて、元気な女性である。まだ、メニューを見ていないが、ここは仕方ない。
「酎ハイ」はありますか?
若干、緊張した。久しぶりに立ち飲みの店員に若い女性を見たような気がする。あ、以前「たきおか 3号店」にも若い女性店員がいたが、先日はいなかったなと思いながら。
プレーンの「酎ハイ」はもちろんラインナップされていた。値段は380円でまずまずなのだが、焼酎が薄いので、お得感はそんなに感じない。2杯目は「ホッピー」にするか。
つまみは「マカロニサラダ」、焼き物は後回しにするとして、まずは「ハムカツ」が食べたい。この2つをオーダーした。
「マカロニサラダ」(380円)。
黒胡椒が効いていて、なかなかうまい。これは当たり!
そして、「ハムカツ」。
正直、量が多い。480円か。高いはずだ。3ピースもついている。
一口いただく。衣サクサク。うん、うまい。
「マカロニサラダ」も「ハムカツ」もつまみのクオリティは高い。しかし、「ハムカツ」は2つ目を食べている途中で、もういいかなと思うようになった。揚げ物って、そんな食べられないよ。何故、3ピース?それとも2人分?立ち飲みなのに?
「ホッピー」を頼もうとしてメニューに手をやると、「女帝スー子」なるボードが差し込まれていた。
なんだこれ?誰だ、「女帝スー子」とは。
「白 ホッピー」は400円。まぁまぁの値段か。ちなみに「中」は200円で、一応及第点だが、使用している焼酎がいただけない。ポンプ式のプシュプシュする奴。なんか味気ないんだ。そういえば、こないだ行った「ゆみちゃん」もプシュプシュだった。
自分の左隣の人たちが騒がしくなってきた。男女2人組に男の一人客がジョインし始めたのだ。カップルの女性も適当にあしらえば良かったが、真剣にその男の話を聞くもんだから、徐々にヒートアップ。自慢話を始めたのだった。
彼の問わず語りによると、中国に単身で渡り、その後アメリカで音楽の仕事をしてきたとか。それを自慢気に吹聴している。カップルの男の方は所在なく、黙ってその話に耳を傾けていたが、つまんなさそうな顔をしている。こういう迷惑な奴、たまにいるんだよなぁ。どんどん勢いづく男は、このカップルに酒をご馳走しはじめた。部外者の自分だが、なんか辛くなってきた。
男が注文している時、どういう拍子か、「女帝のスー子」の話題になった。どうやら、自分らに酒やつまみを提供してくれてい女性が、そのスー子らしい。
一人客の男は幸興奮しはじめ、「6回目で初めて会えた!」と感激している。どうやら、この店に通う人にとっては有名人らしい。
へぇ。
自分はそれしか思わなかった。
「ハムカツ」3ピースに、すっかりやられてしまった。もう、もたれ気味である。結局、「中」のおかわりも一回だけ。
飲み物が空いたら、スー子は「飲み物どうされます?」とめざとく聞いてくる。客の回転と単価を上げたい、この店の方針なのだろう。客単価を上げたいのなら、「ハムカツ」は再考した方がいい。お腹いっぱいになって、後続のつまみなオーダーはペースダウンするはずである。
だって今どき知らない人にペラペラ喋られるとねえ・・・・。それにしても自慢話はイヤだねえ。
いや、つい先日のことだよ。
この男、女帝スー子に「目がぎらぎらしてる」と言われてた。
まだ、女性客が一人ならば、ナンパと思えるのだけれど、この女性には男性の連れがいたから。
ちょっと気になってだらだらと書いてしまった。
店の人を介して他の客と話すことになって話が弾むことはあっても、そうじゃない時は迷惑な時の方が多い気がするね。まあ、店によっては誰かに話しかけないと気が済まない、みたいな常連客っているからな~。