台東区のコリアンタウン。アメ横の熱狂と比べれば、実に静かなたたずまいである。
上野は実に多彩な顔を持っている。アメ横は今、エスニックな魅力を醸し出し、アジアはもとより、ケバブのトルコまで、濃厚なバザールを形成している。その東側にあったバイクの街は、今は昔。もう跡形もなくなった。更にその東にあったコリアンタウンも冷え切った隣国との関係から、今はもう店も極めて少なくなった。
この日、同僚のA藤君の計らいで、ある会合が設定された。その会場となったのが、韓国料理「チャングム」だった。
日本でも人気となった韓流ドラマを店名にした安易な店だろうとたかをくくっていたが、この店がとてもパワフルだった。
結論から言おう。
「カムジャタン」が最高だったのだ。
「カムジャ」。つまりジャガイモの鍋である。豚の背骨から出汁をとったコクのある味が特徴。一度、神田にある韓国料理店で「カムジャタン」を食べたことがあるが、実はそこよりもおいしく感じた。豚の背骨にある程度の肉がまだついていたことが明暗を分けたような気がする。
恐らくこれは仕入れの差かもしれない。仕入れの違いなので、一概に店の技術に収れんさせてしまうのは酷ともいえるが、仕入れも技術なので、あえて言わせてもらおう。
豚の背骨をしゃぶりながら、食べるのが特徴の「カムジャタン」だが、ここにある程度の肉がないとなんとも寂しい鍋になってしまう。「チャングム」の「カムジャタン」は最高だった。
これを焼酎でつまむ。韓国料理にはやはり焼酎が最高だ。
辛いものに合う酒ってなかなかない。だが、韓国の甲類焼酎ならすいすいと口に入っていく。
辛いものが苦手な人には酷だったのかもしれない。
元S栄印刷のI関氏。顔に大粒の汗をかいている。
「カムジャタン」がなくなり、スープだけになると、お店のおばちゃんが来た。イ・ヨンエさんとは違って、怖そうなおばちゃんだったが、即席麺を鍋に入れ、〆のラーメンを作ってくれたが、片言の日本語で、優しく作り方を教えてくれた。
その〆の麺のうまかったことといったら。
寒い東京。店を出てもしばらく、体が温まって、ホカホカと家路に着いたのだった。
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