しかし田町駅の芝浦側は見違えるように変わった。大きなビルが建ち、街並みはきれいになった。西口側にあったM菱自動車は、そのビルに移った。20年前、せっせとこの通りを歩いた者にとって、その変わりようはただただ目眩がしてくる。
昔、田町東口の階段を降りてすぐに立ちそば屋があった。「わへい」という店名のそば屋は、とにかくカレーが旨かった。「そば屋さすらひ」、「カレーさすらひ」のいずれも登場しなかった、この店は何故か「居酒屋さすらひ」で登場した。もう7年も前のことである。その跡地から東に30mくらい行ったところに今「築地銀だこ」がある。もちろん、立ち飲み屋付きで。
「銀だこ」は昔から併設の立ち飲み店に力を入れてきた。2010年初頭に一時期、店舗拡大は停滞したが、数年前からまた増加しはじめた。熱烈中華の「立ち飲み 日高」の拡大基調が止まった今、「銀だこ」は「晩杯屋」に次ぐ立ち飲みチェーンになったのではないかと感じる。
16時半の「銀だこ」の店内は意外にも客が多い。ハッピーアワーで「角ハイ」は一杯200円。季節限定の「瀬戸内たこ焼き」の4個入り(506円)と「つぼきゅう」(319円)をオーダー。たこ焼きは時間がかかるだろうから、「つぼきゅう」はそれまでの中継ぎ。
一つだけ空いている丸テーブルにチェックイン。
まずは「角ハイ」をゴクゴク。うん、爽やかでうまい。基本的にハイボールは好んで飲まないが、たまに飲むとうまい。
「つぼきゅう」をつまむと、「角ハイ」がすすむ、すすむ。
入店から6分後、早くも2杯目に。
少し離れたテーブルがやけに賑やかだなと見ていると、どうも様子がおかしい。土建屋系の客3人なのだが、若い子が先輩風の男にいじめられている。側から見ていて、いい気持ちはしない。店長さん風の店員さんも心配そうに眺めている。
先輩風の男はかなり酔っているようだ。自然と声が大きくなり、若い後輩に暴言を浴びせている。
「おめぇはおもちゃだ。俺の」。
そう言われた若い子は下を向いて黙っている。あぁ、こういうことが勤務中にも行われているのかと想像できる場面だった。
たこ焼きが出来上がったのはいいが、今度はその男らのことが気になってしまい、気もそぞろになった。まるで迷惑な客なのだが、自分がその男に注意をしたら、確実に逆上してくるだろう。できれば店の人が注意してくれたらいいのに。
3杯目の「角ハイ」をおかわりした後、しばらく彼はおとなしくなった。ようやく、店が平穏になったかと思っめていると4杯目を頼んだ時から再び騒がしくなり、いたたまれない気持ちになって、急いで飲んで食べて店を出た。若いその工員が気の毒だが、自分は何もしてやれない。「早く逃げろよ」と心の中で呟いた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます