魚住駅の南側を歩いていると立ち飲み屋を立て続けに2軒も見つけた。
1軒は「またべえ」という立ち飲み屋。もちろん、本当に立ち飲みかどうかは分からないが、仕事を終わらせた後で、立ち寄ろうと考えていた。
だが、仕事先で急遽、別の場所に移動することになり、結局仕事先から送り届けてもらった駅が西明石の駅。もしかすると二度と魚住駅には来ないかもしれないと思いながら、「またべえ」計画は泡と消えたのだった。だが、こんなことはよくあることである。ここは西明石で立ち飲み屋を探すことにしよう。
と思ったら、ものの30秒で立ち飲み屋を見つけた。
新幹線高架のガード下。
「どりーむキッチン」と書かれた大きな暖簾。躊躇なく店に入った。だが、入った瞬間、ボクはお金がないことに気が付いた。そうだ、お金をおろさなければならなかったのだ。ボクは踵を返し、銀行のATMを探した。
最近はsuicaで買い物をしているせいか、財布の中にお金がいくら入っているのか、全く頓着しない。だから、つい何も考えずに店に入ってしまうのだが、もしお金がない状態で飲食したら、どうすればいいのだろうか。ちょっと、お金をおろしてきますと言って、解放させてくれるのだろうか。時々、そんなことを思ったりする。
お金をおろして、再び店に戻ってきた。
カウンターに陣取り、生ビール(390円)を頼むと、お店のおばちゃんは「さっき、一度入ってすぐに出ていったけれど」とボクに聞く。
「えぇ、お金がないことに気が付いて、銀行に行ってました」というと、けらけらと笑い出した。
このおばちゃん、昔はかなりの美人だったんだろうと思う。いやいや、今でも美人だ。みゆきさん、そう中島みゆきさんのように。
店にはもう一人女性がいた。とても若い、きれいな女性だった。どうやら、この二人でお店を回しているらしい。
親子なのだろうか。
二人の会話からはそこまでは分からない。
ホワイトボードのメニューは豊富。
「本マグロの刺身」が400円。「平目としまあじ」の刺身2種盛りも400円。
これはなかなかすごい。マグロはともかく、後者は東京の立ち飲みではあまりお目にかかれない魚だ。
「バイ貝煮」が380円。「かます干物」(180円)。「キスとハゼの素揚げ」(230円)。
さすが明石海峡を前にする明石である。
そして、もちろん真打が「ゆでだこ」。これはさすがに食べていかなければ。
また、これら魚貝系は「串揚げ」にも変化する。
刺身、焼き物、揚げ物、天ぷら、なんでもござれだ。
肴は海の幸ばかりではない。
「牛たたき」が350円、「ガーリックパン」が150円。「手羽先塩焼」が180円。
山海の珍味がこれでもかとホワイトボードに書きこまれている。
迷うことなく「ゆでだこ」をオーダーした。そして「舌平目唐揚げ」330円。
これは期待が高まる。
店内はそれほど気合いが入っていない。むしろ、2人の美人がやっている店としては、素っ気ない装飾だと思う。
だが、これが効果的なのだ。いかにもという玄人の店ではなく、誰もが入りやすい雰囲気だからこそ、店は隠居したような爺さんでにぎわっている。
恐らく、この美人親子見たさに。
でも、お母さんの方にはしゃべりやすいんだけれど、どうも娘には話しにくい。娘特有のつんつん感がオーラのように彼女を包んでいる。
生ビールを飲みほし、「レモンサワー」に。これが290円。お酒の中では生ビール(小)に次いで安い。
だが、気になるのは「ホッピー」が220円と書かれている点だ。
恐らく、これは外だけの金額だろう。でも、どこにもナカとは書かれていない。
焼酎は「麦」(330円)と「芋」のロック、水、お湯割りである。これらが330円であり、そうするとホッピーセットは550円ということになるのだろうか。それでは、ちょっと高すぎる。
この辺が、ホッピーに慣れていない西の酒場という感じがする。
結局、「レモンサワー」を3杯も飲んでしまった。
美人ママとのおしゃべりがあまりにも楽しかったから。しかし、結局この美人らが親子であるかは、最後まで分からなかった。
しかし、いい酒場だなぁ。
美人に囲まれ、豊富な酒肴をつまむ。あても決して高くはなく、近隣の隠居組が店に顔を出す。
明石のタコ、最高においしい。
こんな酒場が会社の帰りにあったら、毎晩でも行ってしまいそうで怖い。
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