この日の町田は雨だった。
かつて町田に在住していたT根に小田急線の第二踏切前に立ち飲み屋があるとの情報を得て、行ってみると、「焼き鳥 吾郎」という店があった。ただ、「残念なことに1週間前に閉店したとの貼り紙が出ていた。1週間来るのが遅かったようだ。踏切を渡って、しばらく歩くと焼き肉屋の飲み屋「いくどん」の本店が見えてきた。町田はそんなに退屈ではない。
焼き鳥に焼き肉。
モードはすっかり焼き物か。
ちょっと歩いていると、こんなのぼりを見つけた。
「俺の焼き鳥 食ってみろ」。
随分と威勢がいい。こんな店はだいたい失敗が多い。
横暴だ。謙虚じゃない。
「町田のけむり」という店らしい。
ボクがひとり飲みじゃなかったら、入ることはなかっただろう。
だが、そういうわけにはいかなかった。
A藤君がいたのである。
大雨にさらされていたし、そもそもボクらはひどく疲れていた。ボクは朝の6時に家を出たけど、A藤君は5時に出てきたらしい。
早く座ってビールを飲みたい一心で、ボクらは「町田のけむり」という店に煙のように吸い込まれてしまった。
カウンターに座らされたが、これがまずいけなかった。
スツールのような椅子で、やけに高い。
その時点で、ボクらの行く末は決まっていた。あぁ、お客視点ではない、この店の考え方に。
ボクらは疲れていた。ある程度ゆったりとまったりとしたかった。
焼き鳥屋には2種類あると思う。
こきたない老舗と洒落た店を装うかっこつけしぃの店。
「町田のけむり」は後者のほうである。
だが、手に負えないのは、洒落た店にも見えるが、実際は汚い。
ビールを頼んだ。案の定タンブラーだった。
飲む人の立場に立ってないと思う。
案の定、ビールはすぐなくなる。そして、またオーダーする。その煩わしさったら。おっさんからすれば、タンブラーはうんざりだ。
焼き鳥は炭火で焼いているらしい。その心意気とプライドは認めたい。でも、価格が釣り合わない。
焼き鳥、1本200円。
それはちょっと法外だ。
うまいことはうまい。身もそれなりにある。でも、何がスペシャルなんだ?鶏か?仕入れか?
それだけで、値段を気にして食べなければならない。そんな、状況がおいしいわけがない。
焼き鳥はおいしかった。
でも、満足感がない。焼き鳥が安くてうまい店はたくさんある。うまいけれど高いは焼き鳥屋としてちょっと違う。
「俺の焼き鳥食ってみろ」という姿勢が、ざらついた後味のように嫌悪感を感じさせるのかもしれない。
そして、もうひとつ。それだけ豪語できるのならという期待値をお客は高めるし、求めるだろう。でもその過度な期待値は多少のおいしさでは満足しない。
こういう店、ボクは支持しない。
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