「扇屋」を出て、何で〆ようかと考えた。
中華は重いし、そばで〆るか。
それなら、この機会に浅草駅地下街の「文殊 」にでも行くか。
いかにもネズミが出てきそうな階段を降りて地下街へ。すると、床に大きな水たまり。この地下街の水たまりはどんどん酷くなっているような気がする。銀座の日本最古の地下街がなくなったくらいだから、この地下街も恐らくもう長くはないだろう。「文珠」もいつなくなるか分からない。
そしていざ、「文殊」へ行こうと歩を進めると、奇妙な店に行き当たった。店頭にマネキン。しかも店内には椅子がない。
立ち飲みか?
店内には「天才焼きそば」とある。焼きそば専門店?
訝しむように店内を眺めていたら、店主らしき人と目が合った。
「どーぞ、どーぞ」と言う。
坊主頭にねじり鉢巻。いかにも変わった人。なんだか面白そうなので入ってみることにした。
さて、と。飲み物は? とキョロキョロすると冷蔵庫があって、クラフトビールの「 COEDO」のボトルビールとミニボトルの焼酎があった。飲み物はこれだけ。どうやら飲みメインではなさそう。とりあえず、冷蔵庫から焼酎を取り出していただく。
「島有泉」(900円)は奄美諸島の黒糖焼酎。
聞けば、お店のお兄さん、与論島ご出身だとか。そして、ビールは店名と同じものを採用。こだわりが垣間見える。
話しをうかがうと、店舗はまだ開店3日目らしい。店舗はまだ改装中で、その工事には同郷の若者があたっていた。
しかし、不思議な空間だ。着物のマネキンに変わった顔の首のみマネキンが並ぶ。Tシャツも作っていて、購入者はポテサラ永久無料の特典がつく。
では、その「天才焼きそば」とやらをいただくか。
店主は開口一番、こう言った。
『浅草開化楼』の麺を使ってます」。
ラーメン好きではない自分でも一応知っている、その名前。店に「浅草開化楼の箱があれば間違いない」とも言われているらしい。その「浅草開化楼」が、新規オープンの、しかも焼きそば屋に、よく卸したなと思う。
店主はまず、煮だった鍋に、その麺を投入した。
え? 焼きそばじゃないやん。
「まず、麺を茹でるので、ちょっとお時間をいただきます」。
まず、ってことは、その後焼きの作業が入るということか?
その予感は的中し、麺をゆがいた後、焼きに転じた。
そして出てきたのが、たこ焼きの舟盛り状の紙皿に入った「天才焼きそば」(600円)である。
かなりの太麺、これは焼きそば向きではない。なのに何故あえて、この麺を使うのか。やっぱり店主は変人だ。
一口いただくと、焼きそばの食感とは思えないもちもちぶり。これは確かに他にはない。味はオーソドックスなソース味だが、麺に粘りがあるから、焼きそばとは思えない食感。野菜は白菜がワイルドに入れられているのだが、ここはもう少し改善の余地がありそう。だが、確かにうまい。
やがて一人の客が入ってきた。古い知り合いのようだった。その人がいうには、この店主は有名人なのだそうだ。その人は多くを語らなかったが、「ホーナー弁当」というほか弁があるらしい。ホーナーとはヤクルトスワローズのレジェンド外人、ボブ・ホーナーからネーミングされたお弁当で、彼はその弁当の熱狂的な支持者であり、YouTuberらしい。後日、調べたら確かにたくさんの動画が見つかった。
そんな話しを聞きながら焼きそばをいただいた。
最近、酒場の楽しみは変人と会うことだと思うようになった。フリーランスになり、ある意味、個性を殺して生きなければならなくなった。けれど、周囲にはたくさん面白い人がいることに気づいた。酒場に行くと必ずそんな人に出会えて、元気をもらう。酒場は酒を飲みにだけ行くところではないと。
「ニュー小江戸」の焼きそばは他とは違うオンリーワン。けれど、それ以上に店主は強烈な光を放っていた。商売とはこうあるべきだと思う。
楽しみながら、やりたいようにやる。
「天才焼きそば」で元気をもらって帰った。
麺に粘りがある、何となく想像できます。
具は白菜ですか。あってもいいけど少ない方がいいですな。
店主の方が強烈に面白いです。
で、家で真似して作ると美味くないという・・・笑。
茹でる時の湯量の問題なのか麺が特注なのか・・・。
ちゃんぽん麺で焼きそばをこしらえるなら湯がく必要はあるように思います。
ちなみに、開花楼も工場で生麺買えます。あの事務所のドアをノックする勇気があれば売ってるんだよね。
自分も一度買ったことあります。
なら、味付けの問題か?
小売りしてくれるのかー。
自分の場合、「開化楼」で買ってもそれに見合う料理の腕がないし。
今度蔵前に来たら一緒に買いに行こう!
色々時間とか縛りあるけどね。
「アンビカ」でカレーの材料買って、カレーラーメンとかどうかな。
「蔵前ラーメン」と称して商売。
怪鳥のオフィスを使って。
太白楼も開花楼の麺です。
「ペリカン」のパンと「開化楼」の麺が蔵前のブランドを作っている。