くじらの音楽日誌

日頃聞いてる音楽全般の雑記です♪

想像するとなける曲じゃないか…

2014-10-26 | 懐メロ
以前家人とカラオケに行ったとき「今日は泣ける歌特集で行く♪」と宣言して「シクラメンのかほり」「案山子」「岸壁の母」「娘よ」などを唄いました。
そして「俺ぁ東京さ行くだ」を唄ったら、「何でそれが泣ける歌」なんだと言われました。

泣けるじゃないですか。
この純朴で世間知らずの青年が、まだ見ぬ大都会東京にはちきれんばかりの夢を描いて上京し、とてつもないカルチャーショックを受け、思い描いていた夢と全く違うことに厭でも気付かされ、身も心もボロボロになっていくのを想像したらいたたまれません。

昔から都で一旗あげて故郷に錦を飾るという夢を描いて上京した人々は沢山います。
実際にそれを実現させた人もいるにはいますが、殆んどの人々は夢破れ傷心を抱いて故郷に帰るか、都会の片隅でひっそりと生きるか、酷いのになると暗黒社会に身をおく羽目になるかでした。
花の都、夢の都と言われても現実はそんなに甘くない。
田舎に比べればチャンスは数限りなくあるかもしれないけど、そのチャンスを手に出来る人間なんて本の一握りです。

どう考えてもテレビもないラジオもない、電気すらも通っていないど田舎で生を受けて成人するまでそこで育った青年にチャンスをものに出来る才能も、人脈も、運もあるとは思えないのです。
そう思うととてもこの曲をコミックソングには分類できません。
発売された時期は「北国の春」のほうがかなり前ですが、北国の春はこの青年が上京した後の様子を歌っているような内容に感じます。
故郷の母親から届いた小包を見て捨ててきたふるさとに望郷の念を抱いたり、別れてもう5年も過ぎたかつての恋人に思いを馳せたり、どれだけ都会で孤独な毎日を過ごしているのだろうと切なくなります。
毎日が充実して野心に燃えているのなら過去は振り返りはしません。
大言壮語をはいて出て行ったふるさとに帰りたいと思うほど心も身体もつかれきっているのだと思います。

立身出世は決して夢じゃないけれど、ただの幻想に終る可能性のほうが高い。
芸能界も同じですよね。今なら全国の少年少女がアイドルを目指して上京するけど、誰もがなれるわけじゃない。大きな夢を描いて上京した子どもたちの中のごく一部がアイドルになり、そのまた一部が有名になり、その中のごく一部が芸能界で生きていけるだけの人気を得ることができる。
だけどその人気も永遠不変ではなくていつ忘れ去られる存在になるかわからないのですから、とてつもない倍率です。
これほど情報化社会となった現在でもこの有様なのに、銀座で馬車引くだぁ~などと夢を語っている農村青年が東京で立身出世が出来る可能性は限りなくゼロだと思います。

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