最初にhideちゃんの音楽をミュージカル仕立てにするという企画を知ったときは正直えぇ~?という気持ちがありました。
言い方は悪いけどhideちゃん亡き後、どれもこれも遺産の食い潰しみたいな企画しかできてなくてそれすらももうほとんど限界に来てて、お願いだからもうそっとしておいてという気持ちがありました。
今回ミュージカルピンクスパイダーを見に行く気になったのは、3000円で武田真治が生で見られるのならそれはそれで儲けものかもという気持ちと、稲田君がかなり気合を入れている様子がうかがえたからです。
hideちゃんがいないhideイベントというのはファンにとって確かに嬉しい部分はあっても喪失感の再確認をしなくてはならないというつらさも間違いなく抱えています。
どんなイベントに参加しても必ず
あぁここにhideちゃんがいてくれたらもっと楽しいのに…と感じてしまいます。
どんなに活動していなくても生きていさえすればいずれはまた姿を現してくれるという希望が持てるのに、hideちゃんをもうこの目で見ること聞くこと感じることは永遠に不可能になってしまいました。
また春に会いましょうとハリーゴーラウンドで唄われていても、何度春がめぐってこようと会うことはできません。
それどころか音楽業界そのものが衰退の一途をたどりいまや瀕死の状態です。
hideちゃんが望んだ世界とはずいぶん違ってしまいました。
それが悲しすぎてハリーゴーラウンドを聴く事すらもできなくなっていました。
いい加減あきらめればいいのにね。
執着心の希薄なくじらが唯一いまだに捨てきれないヘビーな執着です。
そんな複雑な思いを抱えたままメインは武田真治を生で見るというのを目的にチケットをゲット。
運がよければミュージカルそのものも楽しめるかもしれないくらいの気持ちで行きました。
そもそもミュージカルそのものが初体験。
果たしてちゃんとミュージカルという形式になじめるかどうかすら…
なのにそういったさまざまな思いはすべて杞憂に終わりました。
ステージの最初のほうこそ初めてのミュージカルということで唐突な展開に戸惑いこそしましたが圧倒的な音楽の力にどんどん引き込まれていきました。
実際に見るまではdefspiralが音楽担当をするということに対して多少不安を感じていました。
というのもくじらにとってどんなに時が流れようとも、名前が変わろうともデビュー当時のトランスティックナーブしか知りません。
持っている音源はJazooツアーのときにもらったPVとhideトリビュートアルバムのエバーフリーだけ。
演奏能力はデビュー当時からかなり高く評価していましたが、TAKAさんの歌に対しては下手ではないけどなんだかヘナチョコっぽい声だなぁと思ってあんまり好きじゃありませんでした。
声そのものは結構好きなんだけどイメージ的にカラオケで人気のちょっと歌のうまいイケメンのおにいさんという感じ。
プロとしてやっていくにはかなり厳しいんじゃないかなと思っていました。
エバーフリー
エバーフリーに関してはアレンジセンスのよさが光っていただけに、ヴォーカルの線の細さが余計に残念でした。
なのにどうでしょう。
10数年ぶりに聴いたTAKAさんはいったいどこの大御所だとびっくりするくらいの堂々たる貫禄とすばらしい歌声。
思わず「まぁ…ご立派になられて…」と涙ながらにつぶやいてしまいました。
単なる勉強不足だっただけなんですけど、子供の頃に会っただけの甥っ子に久しぶりに会って立派な大人になったのに驚いているようなものです(苦笑)
改めてあれから13年が過ぎていったんだなぁと感慨無量になりました。
まったく自分が知らない間にこんなすごいバンドになっていたなんて。
普通のロックのライブでは考えられない演奏ごとの大拍手も何の違和感もなく一緒にできました。
するのが当たり前みたいな雰囲気で、それくらいすばらしい歌と演奏でした。
hideちゃんは常々たたずまいのかっこよさを評価の基準にしていましたがdefspiralは文句なしにたたずまいのかっこいい、しかも実力と魅力をそなえたバンドでした。
Jは…なんというか、カッコよすぎるでしょう(笑)
アナタ、いったいおいくつなんですか?
どう見たって40過ぎには思えないんですが。
無駄のない引き締まった肉体、やんちゃ坊主のようなルックス、ベースを抱えたときの超絶のかっこよさ。
惚れ直してしまいますがな(笑)
いきなりエレクトリックキューカンバーを唄いだすって反則(涙)
動転のあまり号泣しちゃったじゃないですか。
ミュージカルの中ではいったい何の役割なのかは最後までよくわかりませんでしたが、Jがいることによってhideちゃんの存在を確認することができたような気がします。
カーテンコールのときの「hide兄とは飲みに行ったり、飲みに行ったり…行ったり(笑)」の言葉は胸にしみました。
あんなこともしたこんな付き合いもあったと喧伝するよりもずっと気持ちのつながりを感じられる言葉でした。
武田真治もすごくよかった。
想像していたよりずっと小柄でTAKAさんと並ぶと本当に小さかったんですが、舞台の上では存在感抜群でさすが役者だなぁと。
サックスもめっちゃよかった。
小柄で細いのにかなりいい体してるのにもびっくり。
最後の挨拶のときは涙声でした。
なんか結局だらだら書いてみましたがちゃんとうまく表現できません。
感じたものを言葉にするって難しいですね。
とにかく、感動しました。
できるなら渡辺豪太のほうも見てみたい。
また来年やってくれないかなぁ。