三十路の食卓

食事の記録・食にまつわるあれやこれや
かっこいいごはんも いいかげんな飯も 全ては私のリアリズム(おおげさ)

食事の記録と世間話の必要

2012-03-27 21:12:13 | 食とレビュー
<3月12日の食事>
朝:ツナサンド(和良のパン使用)ココア
昼:オムライスのランチセット(+サラダ、スープ、オレンジババロア)@シャポー・ルージュ/吉祥寺
夜:鮭と野菜の豆乳味噌スープ むしり鱈と大根の煮物 十二六

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この日は代休。
映画を観に行った吉祥寺にて昼食。
ガラガラであろう平日の昼間から街中に出られるなんて…と喜びいさんで出かけるものの、予想以上の若年層の人出。
そうか、もう春休みなのだった。

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先日、吉田 篤弘さんの『小さな男*静かな声』という小説を読んだ。
百貨店勤めの「小さな男」と、「静かな声」の持ち主・ラジオパーソナリティーの静香。
二人のささやかな日常が交互に綴られる、起承転結が派手な分かりやすい話ではないけど、ちょっとした「気付き」の連続が胸に残る、いい物語だった。

さて、二人の主人公のうちの一人である静香は、決して人付き合いが得意という訳ではなく、口べたである。
ところがあるとき、日曜深夜のラジオ番組のメインパーソナリティーに抜擢されてしまう。
メイン、と書いたが、実質上の出演者は一人。
つまりは独り語り番組である。

番組は毎週二時間の生放送。
音楽を流してお茶を濁してばかりもいられない。
話す内容を、さあどうするか。
彼女は、赤い手帳を購入するのだ。

赤は、彼女にとって存在が気になって仕方がなくなる色なのである。
鞄の中で、それはとても主張してくる。
気になって目につきやすいそれに、彼女は生活を送って拾う「気付き」をメモするのである。
それを構成し、ラジオにて披露するのだった。
そのくだりを読んで、頭が下がった。

私も口下手である。
人見知りもするし、世間話も苦手だ。
特に打ち解けるまで時間のかかる仕事相手の人々は、私のことを良く言えばもの静か、わるく言えば喋らない暗い人だと思っていると思う。
そして、世間話ができ、周りと打ち解けるのが早い人は、「頑張らなくてもそういうことが出来る、明るい人」だと思っているのだ。
「そういうことが出来ない」側の私は、出来ないんだからしょうが無い・出来るようになる必要も無いとすら思っている節がある。

そうじゃないのだ。
しゃべる側・しゃべるのが得意だと思われる側も、何の努力もしないで話のタネを生み出せる訳じゃないのだ。

静香の場合は「気づいたことをすぐにしたためること」だったが、そうせずともタネを拾う努力のありようなんていくらでもあるだろう。
何か情報を得たとき(それはメディアにのるものじゃなくても、たとえば移動途中に目がとまった何かでも)、それを受け取った自分の心は、どう動いたか。
面白いと思ったら、どこがどう面白いと思ったのか。
それを人に伝えるには、具体的に言葉にしておかねばならない。
ぼんやりと世間をみているから、話すことに詰まるのだ。
そう思った。

このブログは、「食」にまつわることなら何でも書く。
何かにつけて「食」のフィルターを通せば何か書けるポイントはないか、といった目線でいるため、「食」に関してなら少しは何かしゃべることができるかもしれない。
それである。
その姿勢で、万事についてただ通り過ぎるだけじゃなく、掬いあげて何かを考える癖を付けねば。

ただでさえ、ますます自分で道を選び取ることが大切になってきた昨今。
考えることもまた、人間に課せられた義務なんである。


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