小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

坂口安吾の『復員』を読む(18行の人間賛歌)

2022年08月15日 | 本と雑誌
  坂口安吾の掌編小説『復員』(1946年11月4日付「朝日新聞」大阪・名古屋版掲載。2018年、阪大・斎藤理生氏が発掘)  四郎は南の島から復員した。帰ってみると、三年も昔に戦死したことになっているのである。彼は片手と片足がなかった。 家族が彼をとりまいて珍しがったのも一日だけで翌日からは厄介者にすぎなかった。知人も一度は珍しがるが二度目からはうるさがってしまう。言い交した娘が . . . 本文を読む