小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

アマリリス咲く

2014年03月24日 | エッセイ・コラム

 だいぶん春めいてきた。殊勝にもみずから身体を動かそうとする。一方で、旬の美味しいものも味わう。
 秋とは違った食欲のそそられ方、新しい生の息吹をいただく幸せを感じる。ウドの歯触りの、あの音が脳に響くだけで、血流がさらさらになるようだ。
そして、天ぷらにして食すタラの芽、蕗のとう。タラの芽は、タラの木の芽であることは知っている。

 さて、蕗のとうとはなんだろう。調べてみたら、花の蕾だそうである。蕗は雌雄別株で雄株の花は黄白色、雌株の花は白色。蕪村はこんな一句を仕立てている。

 莟(つぼみ)とは なれも知らずよ 蕗のとう

 天ぷらもいいが、蛤のお吸物に、蕗のとうを細かく刻んで散らすと、あの独特の憂いを含んだような苦味と香りが、蛤をいっそう引き立てるそうだ。
蛤も贅沢な食材になってしまったが、花の蕾を食すなんてことも贅沢だと思う。

 花の蕾といえば、妻の誕生日に贈ったアマリリスの鉢植えが、新しい芽を出した。嬉しくて毎日写真に収めた。
十日ほどたって今日、花を咲かせた。自慢する自分が、なんか子どもだった。

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