小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

人の声は音楽

2018年09月30日 | 日記

 

青春時代つまり10代の、少年から大人になる時期は、精神分析学的には「モラトリアム(猶予期間)」な状態であると認知されている。少年から青年そして大人に移行するうえでの身体的変化、あるいは生殖ホルモンの新たな分泌など諸処の肉体的変化が見られる状態である。

男でいえば「声変わり」がもっとも特長的な発現であり、その少年のときの透き通るような高音は「カウンターテナー」と言われ、合唱における重要なパートになる。

「カウンターテナー」と「モラトリアム」は、同次元の少年が男になる時期の、「純粋な発露」の象徴だと思っている。

それを受けて歴史的な伝統というか、民族的なレガシーとでもいうのだろうか、「ジプシー」あるいは「ロマ」と呼ばれる人々は、声色を自在に使いこなして歌をうたうことである種の「宗教的価値」を表現してきた。「カウンターテナー」はとりわけ性差をこえる「天使の歌声」として崇敬の対象とされてきた。

以上のことを考察すると、偶然にネットで見つけたこの音楽家は、ブルゴーニュ地方のケルト人の末裔なのか、ジプシー系の放浪アーティストなのか判然としない。たぶんヨーロッパでは伝統音楽のアーティストとして有名な人であろう。そんな分類的な位置づけよりも、まず聴き惚れてしまう歌声の音域、そのものに心が震えてしまう。

 

Luc Arbogast Incroyable Chanteur médiéval .Moyen Age ! Bard.Troubadour.

 ▲この人の声域は広く深い。「カウンターテナー」はメインだが、基本が低音域にあるからこその発声テクニックなのであろう・・。

 


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