小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

もっとコロナを恐れ、謙虚になろう

2021年08月20日 | エッセイ・コラム

新型コロナの第5波が猛威を振るいはじめている。デルタ株変異種の感染者数の記録が日ごとに更新される。感染者数の増加にともない、中等症・重症の患者も増えて、予測を上回る医療逼迫が叫ばれる。その深刻さは、昨日の驚くべきニュースで実感した。

千葉県柏市において自宅療養中の妊娠8か月の女性がいた。容体が急に悪化しても、入院先が見つからず、自宅で出産。赤ちゃんはその場で亡くなった。痛ましい、悲惨な事件である。

自治体担当者(?)が事実を淡々と報告するというTVニュースを観たが、これは相当に事件性の高い案件になるかと思われる。感染した妊婦が自宅療養を強いられているケースは全国にもあるはずだ。様態が急変しても入院できない、後回しにされる。こんな状況は異常としかいえない。また、これに類似した事件が、今後、生まれるかもしれない。

医療逼迫といえども、明日をになう子供を見捨てるのは悲惨きわまる。少なくとも「トリアージ」という考え方がある。未来の生命(いのち)こそ最優先されるべきではないのか・・。8か月の早産といえども、病院にいたなら助かったはずだ。こんな犯罪にちかい状況をつくりだしたのは、日本医師会か、いや為政者たちか! 

(今日付けの新聞一面で「新規感染より逼迫度重視」という見出しがあった。何をいまさら)

 

話を戻す。東京と沖縄の10万人当りの感染者数がいま、世界4,5位ほどの上位クラスにある。全国の主要都市でも同じような兆候があり、今後の対策いかんでは日本のコロナがいかなる状況になるか予断をゆるさない。緊急事態のなかでも感染者は増え、とくに無症状の感染者が集まる地域はいわゆるエピセンター(震源地)というが、こういう場所こそ検査を重点的に行うべきだと考える。渋谷でこの度、若い人向けの大規模接種を行うとのことだが、まずPCRのような確度の高い検査をしてほしい。

そうだ、日本こそ検査体制が不備のまま1年以上見過ごされているのはどうしたものか? ウィルスに感染している若者が、無症状それ幸いと無自覚に街や行楽地ににいく。しかし、いまデルタ株は年齢いかんにかかわらず重症化するケースが多い。畏れをいだき、謙虚に向きあってほしい。

筆者が怖れるのは、新たな変異株の現出だ。ラムダ株は認められたが、感染者の症状は具体的に知らされていない。さらにいえば、いつの間にかブラジルにおける感染死者数が57万人になった。このブラジルやアメリカでウィルスが変異しないのは何故か? どうなるんだろうか、少なくと2,3年は気が抜けないと思う。(追記※)

さて、ワクチン接種はどちらかといえば、防御的な感染対策であり、もっと積極的に感染者や接触者を徹底的に洗い出す方が、効果的だと世界の医療が認めている。なのに何故、いまだに検査体制が中途半端なのか・・。

そもそもオリンピック閉会を契機として、新たな猛威がはじまったのは不思議だ。因果関係があるかのごとき急激な増加であるし、実際にペルー由来のラムダ株の変異種が五輪関係者から発見されたという報道があった。その後、感染経緯、濃厚接触状況など詳しい分析はないし、追跡報道するメディアがないのは不安が募る。

オリンピックは無観客で敢行されたが、マラソンや競歩など競技種目によって、多くの人々が観戦している様子がテレビに映し出されていた。やはりオリンピックのお祭りモードが日本人特に若い人たちに影響をおよぼし、人流や接触機会の動きは活発になったことは否めない。

政府が提唱している「ゼロコロナ」。カタカナ表記にして目新しさで人目を惹く戦略はいつからか・・。お役人の嗜好か。
要するにコロナの撲滅であろうが、東京都の小池都知事は「ウィズコロナ」という言い方で、これは必ずしもコロナを撲滅するのではなく、「コロナ・ウィルスと共に」というニュアンス。ある意味では真理であり、謙虚なスローガンといえるか(緊急事態下ではふさわしくないから、普遍的なコピーではなかった)。

厚労省は、かねてより感染症対策として以下の3原則を掲げてきた。

●感染源の排除 ●感染経路の遮断 ●宿主者の抵抗力の向上

これをコロナ対策として転用した3原則が「感染源の特定」「感染源の隔離」「水際の強化」となる。厚労省はこれを提唱し、全国の保健所や自治体にその周知と実施をよびかけた。補正予算化され、補助金の交付及び人員・資材等の確保が円滑に行われたのか、正直いって定かではない。

少なくとも、実質的かつダイナミックなコロナ対策が実施されたとは思えない。これらの経緯と観察を徹底的にフォローしたマスコミの報道もなかったに等しい。あってもその内容は部分的かつ単発的だった印象がある。

自分流にコロナ対策の3原則における小生の個人的な評価とコメントを載せる。( )は現段階の個人的見解を、もっともらしい達成率として数字化した。ご愛敬として受けとめてほしい。

●徹底した検査の実施・感染源の特定→感染特定に必要な確度の高い検査。PCRは最優先。抗原&抗体検査の随時実施。(5%)
●濃厚接触者の隔離・感染経路の分析→自主隔離者には物心両面の支援および行動制限見守り及び罰則等命令措置。(30%)
●徹底した水際対策・検査&調査反復→IN/OUTポートの限定と設備保守・監理、空港以外の水際対策、検査態勢の充実(35%)

何ごとも徹底した方策とオペレーションは、目標達成の近道だ。先のオリンピックを開催するにあたって、以上のことは徹底的に実施されていたかどうか。小生の個人的な印象と判断は、科学的根拠に基づいていない。状況証拠による類推である、念のため。

パラリンピックが始まろうとしている。想像を超える何かが起きないよう、ただ祈るのみである。選手たちの皆さんには気の毒だが、熱烈な応援やサポートがないなかでも全力を発揮できるようお祈りしたい。

 

(追記※)デルタ株と同様に、スパイクタンパク質のRNAの構造に生じたわずかな違いにより、アメリカにおいても「L452R変異」の「カリフォルニア株」という変異種があるそうである。具体的にはヌクレオチドの一部のアミノ酸のL(ロイシン)がR(アルギニン)に変わっただけ。このL452R変異が、更なる免疫学実験によりHLA-A24による細胞性免疫から逃避することを実証されたとのこと。難しいことは分からないが、ある場所でパンデミックが起こり爆発的にウィルス数が増えると変異を起こす。その変異種が次なるエリアに伝播して、その土地に住む人間(宿主)に適合するようにRNA変異が起きる。

ウィルスの変異における数量変数・性質的な分析があるかどうかわからない。専門家による論文があるかどうかも不明、悪しからず。(『rakitarouのきままな日常』のブログにおける2次記事を参照し、素人の勘ぐりで類推した2021・8/23))

 

 


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