小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

根岸の古本屋Doris(ドリス)に行く

2019年03月23日 | まち歩き

根岸にユニークな古本屋があると教えられ、散歩がてら覗いてきた。住所を目当てに探したのだが、そこはかつて九鬼周造が、少年時代を過ごしたゆかりの場所。年明けにも訪れた千手院、手児奈煎餅のすぐ近くだったのだ。千手院の脇の道はよく通るのに、なぜ気がつかなかったのか・・。その道をでた所を右に行けばすぐ。しかし、鶯谷駅方面へは行かない。普段ならまっすぐか、左に折れるかで、美味しいものを食べに行く。

さて、「古本屋Doris」なる珍しい名前の店は、この辺では新しめのマンションの1階で営業している。むろん古本屋の佇まいはなく、総ガラス貼りで明るい店内。奥の方まで、たくさんの棚が並んでいるのが見える。平日の昼間にしては、3,4人の客がいて、たぶん入りやすい店構えだからだ、と思った。

最初ネット書店として名を馳せ、それから商いを太くして東京に店を設けたらしい。ネットでブログを拝読したら、江東区森下で長らく営業。店主は、上野の芸術的環境が好きなこともあり、広い店舗を鶯谷駅(徒歩5分)近くに見つけ、一年ほど前に移転してきたという。

幻想系古本屋 Doris (古書ドリス):ブログから、更新頻度の高いツイッタ―へ(高感度情報多し)⇒https://twitter.com/info_doris

▲追記(3)

 古本屋Doris⇒

▲近々、開催されるイベントの告知。ポーランドのグラビンスキ関連のイベントを12月に開催したとのこと。外観を撮ることを忘れてしまった。差し替えるか追加する予定。

幻想文学、美術系に強いとのことであったが、国内外の文学の正統なる良書もそろっている。稀覯本、珍本はガラスケースに収めて、神保町の一流店よろしく客の目を引く仕掛け。なんと東松照明の例のものがあり驚いた。20万近くするのか? 英語、仏語の原書もディスプレーしていたが、これはネット向けの在庫であろう(撮影OKもらったら、スタッフの女性がケースを開けましょうかと、小生にアタックしてきた)(※追記2)

幻想・奇想系を渉猟している関連からか、ハンス・ヴェルメール、四谷シモンの影響をうけた作家たちの円形関節人形をあつかっている。瀧口修造、澁澤 龍彥以来、このジャンルの人気は、日本では根強いものがある。

おまけといっては何だが、日野 日出志や花輪 和一、岡田史子、山岸涼子の初期のころの漫画本も充実、さらに妖しげなサブカル・風俗関連のアート、これはもう鶯谷エリアに出没する紳士たちにも足を向けさせよう、との狙いであろうか。

▲東松照明の『おお!新宿』は目立つ。2年前か逝去された、ずっと沖縄にいた写真家だった。

▲ギャラリー風のスペースもあり、海外のアート関連、多彩な図録も揃う。

今日は買うまいと決めていた。見かけないエミール・シオランの翻訳書が4冊もあった。が、いずれも4千円近くしたのでパス。自分を誉めたいと、いいたいところだが、阿部良雄が本邦初訳した、イヴ・ボヌフォアの「ランボー」を発見。状態は良い方ではなかったのだが、300円なら迷いはない。読みたかった本なので、ラッキーだと思い、お買い上げ。それに乗じて、小沢書店版の「イヴ・ボヌフォア詩集」も追加した。

▲故宮川淳はボヌフォアではなく、ボンヌフォアと表記していた。Bonnefoy、どうなのか?

 

追記:根岸ではなく根津に「ひるねこBOOKS」という古本屋がある。絵本、芸術・文化系の本のほか、北欧関係の良書をそろえているのは珍しい。ムーミンやネコの関連グッズも人気らしい。妻の誕生日にムーミンのキャラクター・グッズをプレゼントしたら悦ばれ、2、3回ほど買ったことがある。たまに行くのだが、どちらかといえば女性好みの古本屋さんだ。

今日の朝刊に、「ひるねこBOOKS」さんの折り込みチラシが入っていたので驚いた。ある種の大胆な投資だ。ほんわかした良い古本屋さんなので、応援したいが・・。

 

※追記2:女性スタッフがずっと店番していたので、店主と邂逅を果たせず。彼女の好みなのか知らんが、店内のBGMがなんとも心地よい。確認したかったが、人見知りする性格ゆえ、その音の出所、未認定なのは残念至極。

追記(3)再訪したので、店の外観を撮らせていただく。初めてご主人にお会いし、すこし話をする。たいへん感じの佳い方である。

吉岡実の句集は珍しい。これも追加した。平成31年3月29日記

▲奴草「やっこそう」は、椎の根に寄生する植物。葉は5,6片の鱗片となって十字形に対生。晩秋、茎頂に淡黄色奇形の両性花を単生。花弁を欠く。花に蜜あり鳥媒花。と、帯の裏に書かれていた。因みに、書肆山田2003年 冒頭に高橋睦郎が「一つの読み」という文章を寄せている。解題は宗田安正で、この人はしらない。


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