小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

遠くて近き、狭山の空

2021年11月17日 | エッセイ・コラム

今回も山猫軒さんたちの山歩きグループの会に便乗し、所沢市の狭山湖あたりの自然のもとに足を向ける。と、その前に、前回の低山ハイキングのことをちょっと触れておく・・。

実は、先月にも神奈川県の丹沢山系に連なる弘法山ほかのハイキングに参加した。その日は天気は下り気味との予報はあったが、最寄りの駅に着くや雲行きがあやしくなった。遂に、登山口のあたりで雨が降ってきた。全員、レインスーツ等に着替える。

低山とはいえ、老身にとっては登りの傾斜と、雨による滑りやすくなった山の斜面はちときつかった。だが湿気をおびた山の空気はフレッシュで、樹木が放つ「緑の匂い」は清々しい。

丹沢山系は山蛭のメッカらしく、いつのまにかそれぞれの靴のなかに侵入。小生のグループだけでなく、他のパーティーもけっこうなパニックになっていた。これだけは忌まわしい出来事だ。あいにくの雨模様なので、写真はあまり撮れなかった。10月中旬のころの山行をさかのぼって記事にした。


動くものを撮る技術がないので悪しからず。スマホだもの。

▲一瞬ひらけたところに耕作地があった。生活圏でもあるのだと再認識。

以上、神奈川県・丹沢山系近くの「弘法山・吾妻山ハイキング」についての断片を記す。

 

さて、今回は西武球場駅から狭山湖周辺を散策するコースに行った。スタジオジブリの名作『となりのトトロ』のモデルの一つにもなったと言われる森だ(※別記)。里山のような雑木林のなかを抜けると、広々とした狭山湖に着く。視界がひらけ、久々に広大な青空を見て、大自然の素晴らしさを体感した。笑顔があふれる家族連れや、荷物を持たずにジョギングする人たち、バードウォッチャーのグループも多い。

途中、神社を訪ねたり、最後は徳川家光が建立した狭山不動尊など寺まわりを楽しんだ。本格的な紅葉はまだ始まってないようだが、それでも黄色や橙色に色づいて、深まる秋の美しさにしばし目をとめた。

この地帯はむかし、ユネスコ村があったところだ。幼いころは、学校の遠足や家族ハイキングでも何度か訪れたことがある。西武遊園地は今もあるのだが、ユネスコ村はだいぶ前になくなったらしい。独特なかたちの電車に乗ったことを思い出し、古いアルバムを引っぱり出すのも億劫だから、ネットで見つけ出した。

齢を重ねてもなお幼き頃の記憶が甦る。これはノスタルジーなのかと感慨を深くした。なお、その電車の名前は「おとぎ電車」という名称があたえられていた。

▲14号地まである「トトロの森」の全部は歩かなかった。

▲狭山湖周辺には広場や様々な施設がある。この日は天気も良く、爽快であった。

▲狭山湖、鴨やサギなど多くの水鳥が集まる。カワセミもいるらしく、望遠レンズを持つ多くのバードウォッチャーの姿が。

▲最寄りの駅は西武園球場である。西武ファンの聖地なのだろう。

 

▲1985年頃まで走っていたらしいが、このレトロ感、昭和30年代にはカッコいい乗り物だった。

 

(※別記)市民や企業から寄付を募って、美しい自然や歴史的建造物などを買い取り保全する。自然を破壊する開発はさせない。将来に引き継いでいく社会運動である「ナショナル・トラスト」をモデルにして、狭山丘陵地の一部を買い取り、1990年『トトロの森』が誕生した。現在もなお、寄付金で丘陵地を買う活動が続けられている。飛び地ではあるものの、現在は1号地から14号地に及ぶ広大な森林となっている。しかし、道中ところどころに「私有地」と看板が立ててあり、ロープが張られて、その先は足を踏み入れらせない。地主はなにを考えているのか。イギリスで始まった市民活動(企業の協力もある)によるナショナル・トラスト・自然保護活動が、こうした東京に近い狭山の丘陵地で行われているのは心強い。


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