こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『凛の弦音』我孫子武丸(再読)

2022-06-13 19:59:32 | 読書感想
 
多分、再読ではありますが、今回の方がより楽しめたと思います。


同じ弓道をやると言っても考え方は人それぞれで、教科書を素直に受け止めて理想を極める人、勝つ事に価値を見出す人、この物語の最後の方では、弓道を手段にして他の分野で上に行こうとする人など、なかなか複雑なスポーツ(?)でもあります。
物語の中でも言われていましたが、本当に根っこは茶道華道の考え方ですね?

基本、ミステリではありますが、青春小説としてもかなり面白い作品と感じました。

続編も出たか、出るはずです。
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コミックエッセイ『本屋図鑑』いまがわ ゆい

2022-06-10 20:10:33 | アニメ・コミック・ゲーム
 
行きつけの書店で面陳になっていた、書店員さんのお仕事コミックエッセイです。

久世番子さん以来の書店員さんコミックエッセイだったので(他にもあったら、ごめんなさい)早速、購入しました。

久世さんも面白かったのですが、こちらはこちらで、仕事について事細かに説明があるだけでなく、道具や用語、様々な仕組み、本屋を取り巻く仕事や職業、人々についてまで詳しく描かれていて、一層楽しめます。

本好きの方々には、特に、お勧めします。
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『都会のトム&ソーヤ(19)19BOX~日常~』はやみねかおる

2022-06-09 20:19:31 | 読書感想
 
創也と内人の砦に入る路地に、大量の部品が捨てられていた。

ただでさえ細い路地、どけないと砦に行けないので、二人して部品を集めた。

内人が資源ゴミや粗大ごみの回収日の確認をしていると、意外にも創也が組み立てると言いだした。
完成してみると、ジュークボックス。
ただし、これはどうやら音楽を聴くためのものではなく、二人へのメッセージを伝えるためのものだと、創也は言う。

試しに百円玉を入れてみると、選ぶまでもなく機械は再生を始めた。
コインを入れるたびに語られるのは、今までの主要人物のうちの7人の物語。
それらは現実と夢との境界が曖昧になり、物騒な内容でもあった。

うーん、パラレルワールドものとも考えられるけれど、逆に、こういう物語を伝える事で二人の思考の地盤を揺るがせて不安定にし、彼らに何かを仕掛けようという魂胆かもしれないです。
まあ、はやみねさんご自身としては、次巻が20巻、にじゅう→二重→並行世界(パラレルワールド)というお考えではないかと、私は愚考しますが、いかがでしょうね?
楽しみにしております。
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『時の子供たち(上・下)』エイドリアン・チャイコフスキー

2022-06-06 20:04:17 | 読書感想
 
 
地球が滅びかけている未来。

ドクター・アヴラーナ・カーンと彼女の仲間たちは、生物の居住可能な惑星を探し出し、テラフォーミングして、知能強化ナノウイルスを施した猿をそこに住まわせて、ゆくゆくは人が移り住む時の補佐役、兼、従者として育てる計画を立て、実行寸前だった。

しかし何事にも反対勢力はいて、彼女らの宇宙船を破壊し、降下させる予定だった猿たちも全滅させる事で計画を頓挫させてしまった。

だが時の経過と共に、地表では予定されていなかった蜘蛛が知能を持ち始め、蟻も知性を持つわけではないが系統だった行動を集団でする事で生き延びる習性を発揮し、あたかも知能を持つように感じられる状況を見せた。

一方宇宙にいる人類は、カーンの計画の失敗から二千年は経った頃、衰退しかけた地球から新たな宇宙船が開拓星を求めてカーンの星にやって来た。

とても壮大な人類の宇宙史であり、同時に人類の身勝手さも感じつつ、昆虫が高度な知性を持つとどうなるかという思考実験で、人はともかく理論上とはいえ昆虫の知性の発達が、読んでいて合理的に感じられ、とても楽しめます。

人については・・・ねえ?地上のゴタゴタを宇宙に持ち出して大騒ぎしているようで、みっともないとも思えますが、対比させるためにも大事かな?と感じていました。

この物語を読みつつ、生物はどうしても種族の壁を乗り越えられないのか?1つの星に1つの知的生命しか住めないのか?と、絶望的に思いながらも、自分自身でさえ生理的嫌悪感から逃れられないのに、このギルガメッシュの人々を軽々しく非難できるのか?と、葛藤していました。
また、肌の色の違いだけで対立する人類よりも、蜘蛛たちが生き続けた方がいいのではないか、とも感じました。

実際、物語もその悲観的思考を後押しするように、下巻の結末近くまで、絶望的な判断をしていってしまう人々を描いています。
それが・・・!

まさか、そういう風に結末を持っていくとは思いませんでした(驚)

多種多様な意味で、大好きな物語となりました。

どうやら映像化も計画されてはいるようで、こういう感想を書いていて言うのも何ですが、私自身は種族の壁を超えられるのか、いまいち自信がありません。
そういう訳で、観られなかったらごめんなさい。
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『おもいでマシン』梶尾真治

2022-06-03 19:59:50 | 読書感想
 
時の経つのは速いですねえ。
梶尾さんもあとがきで書いておられますが『有機戦士バイオム』が出たのが、1989年とあるのを見て、ひっくり返りそうになりました(苦笑)

そればかりでなく、高橋酒造さんのホームページでの連載も、ショートショートだけで本ができるのはもちろんの事、中から選べるってくらい作品が溜まっていたのですね?
残りのショートショートはい言わずもがなですが、初期のエッセイについても、書籍化出来ませんでしょうか?
以前、エッセイ本を出して下さった熊〇日日新〇社様?・・・って、あまりわがままを言ってはいけませんね、はい。

本題に入りますが、今回、私が特にいいなと思ったのは、悪魔との契約の新パターン「サタンの下請け」
おもいでを実体化する表題作。
子どもの頃しかチャレンジ出来ない「正月を捕まえる」
変わったペットを紹介してくれる「ペットショップのお薦め」
とんでもない藪医者「完璧な殺し屋」
など、キリが無いほどどれも面白いです。

最後に、初出が紙媒体ではないからどうなるのかと思っていたら、文庫オリジナル作品なんですね?
書き下ろしではありませんし、さすが、うまい表現なさいます。

久しぶりのショートショートですが、ぜひ、お読みください。
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