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今週の鎌倉は紅葉の見頃でまだ晩秋の気配だが、たびたび降る時雨の時間は初冬の気分にもなる。
紅葉や落葉が濡れると彩度が増して薄い陽の中で寂光を放っている。
ーーー時雨谷どの路地行けど行止りーーー
時雨の時は写真の散歩や吟行には絶好の機会だ。
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我家の前山、護良親王の御陵。
散り残った雑木の紅葉が雨に烟っている。
隠者には時雨の陰鬱な光と潤いの中でこそ、天地玄妙の色合いが感じられるのだ。
秋の女神である竜田姫の深き憂いの色とも想える。
今回も愛用のライカのオールドレンズが、鮮やか過ぎない秋寂の色味を出してくれた。
ーーー鎌倉の時雨小暗く落葉濡れ 秋(とき)の名残は沈鬱の赤ーーー
お隣の永福寺跡を囲む山は近年葛に覆われて、晩秋の黄葉が我が眼を楽しませてくれた。
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それが、この写真を撮った後すぐ頂の方から刈り尽くされてしまったのだ。
この春も蒲公英の群生をその花盛りにも構わず刈ってしまった業者だから、誰が何を言おうと無駄だろう。
あるいは役所から片端から花や紅葉を駆除しろと言われているのかも知れない。
雑木や葛の紅葉は初冬の薄日で見ても味わい深い物があるが、煙雨細雨の中の彩は最も隠者好みだ。
ーーー句集抱き風を眺める懐手ーーー
12月6日は我が有馬朗人師の命日だった。
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(天為 初版 有馬朗人)
もう3回忌になるが、幻の師とは今でも句会を共にしている気になる。
今日は最近の私の勉強振りを亡師にお見せしたい。
押韻平仄を確かめてくれるAIが出来たお陰で私にも漢詩が作れるようになったのだ。
有馬先生は中国の文人達が大好きだったから喜んでくれるだろう。
悼歌(古拗体)
咽雨彷仙径
暝園顕昔師
舎奥灯玄妙
夢辺祈詠悲
煙雨の径を彷徨ひ行けば
暮色の園に亡師佇む
庵の奥の献灯昏く
夢辺に詠みし悼歌悲しき
©️甲士三郎