鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

203 隠者の冷茶

2021-07-22 13:36:00 | 日記

私は血糖の呪いによって酒類と清涼飲料のほとんどが飲めない。

甘味料は糖分カロリーゼロの物があるので困らないが、炭酸類はゼロコーラしか無い。

よって茶事の趣向を凝らす事によって飽きないようにしている。


アイスコーヒーは書院の窓辺で。


(ファイアーキング キンバリーオーロラマグ アメリカ1950年代)

杏仁豆腐は見た目だけ味わって、あとは家人が食べる。

眠れる美女の博多人形は大正頃の作。

和洋折衷に中国水菓子を加えて日米中が揃った。


午後はアイス烏龍茶でガーデンティーにした。


(染付急須 茶杯 小皿 清朝末期 煎茶盆 明治頃)

庭のブルーベリーの実が色付き始めたのを背景に、風通しの良い場所で梅雨明けの雲を眺めながらの冷茶だ。

暑い日にも多少は日光を浴びるべきだろう。

詩人なら尚更肌で暑さ寒さを感じる事を疎んじてはならない。


夜はノンカフェインのルイボスティーかゼロコーラにしている。


(拳骨ガラスコップ 青磁四方皿 明治時代)

明治時代の雑誌を読もうと思い、茶器も明治物で揃えた。

写真左は風俗画報の明治29年版で尾形月耕の木版の口絵が付いている。

エアコンの無かった時代の処暑の工夫は、今見るとみな風流で良い。

皆も歳時記に残っているような古き良き風習は、是非一度お試しあれ。


血の呪いに冒された隠者でも、このように涙ぐましい工夫で夏の茶時を楽しんでいる。

普通に清涼飲料や冷菓子を食べられる人は、それだけで幸福な夏なのだと知るべきだ。


©️甲士三郎