鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

54 聖獣達の任務

2018-09-13 13:31:21 | 日記
探神院は絵や古美術品があるために、残念ながらペットの猫や犬は飼えない。
代わりに古の聖獣達がいるので紹介しよう。
日夜鎌倉の鬼門から出て来る邪を祓ってくれている。

まずは一番若い江戸時代の猫神様から。

猫だから散歩が好きだが、外に出るとすぐに物陰や狭い所に潜り込むのでお供は苦労する。
つまり草葉や岩の陰に置いて、いろいろ撮影するのが面白い。
会津地方で江戸後期の木端仏と共に祀られていた可愛い木像だ。
---木の虚(うろ)に秋陽の溜まる猫の路---

次は明時代の文字通りの唐獅子で、当時の緻密な彩色がまだ残っている。

いつもは探神院の奥殿を護っているが、狛犬とかシーサーとか呼ぶと怒るので気をつけよう。
彼こそエリート中のエリート、中原の覇者、中華文明三千年の正統の守護者である。
要するにバリバリの大明帝国の中枢出身だから、狛犬(高麗)やシーサー(琉球)と一緒にするなと言う事らしい。
流石に姿形には気品がある。
台や段があると必ず上りたがる。
---段上に剥落の獅子天高し---

そして真打ちは最古参、漢時代の小さな辟邪(へきじゃ)。

二頭対で南門の隅に隠れて邪を見張っている。
元々は古代の度量衡の重りだった物で、二千年間を身を擦り減らしながらも生き延びて来た猛者だ。
---磨り減りて目鼻わからぬ聖獣よ 我去りし後の濁世を頼む---

常に何かと戦っている人にとって、父祖古人達の戦いにも参加して来た聖獣達は精神面で心強い先達となってくれるだろう。
この他に竜や鳳凰の模様が付いた器物は沢山あるが、単独で像になっていないと邪とは戦えないので省いた。
私の鬼門守護職の勤めも寄る年波なので、先行きを考えれば強そうな聖獣はもっと召喚しておきたい。
お勤めは彼らに任せて楽隠居だ。

©︎甲士三郎