鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

29 隠者の物欲

2018-03-23 05:20:06 | 日記
---山鳩は鳴き方一つしか知らず 花時も花散り失せし後も---

私も還暦を過ぎて、欲しい物があまり無くなって来た。
しかし人間誰しも物欲が全く無いと仕事をしなくなる。
そこで我が第2の視覚、カメラとレンズには欲を出す事にしたい。
一般的な写真機材で最も金のかかるのは野鳥撮影だと思う。
高速フォーカス高速連写のボディーに大口径望遠レンズが必要だ。
その購入が仕事のモチベーションになるだろう。
写生では不可能な野鳥の撮影(昔は捕まえてスケッチ出来たが今は保護法で禁止)でも、手ぶれ補正の進歩と小型化で超望遠レンズが使いやすくなってきた。
超望遠の明るい単焦点レンズはかなり高額なので、取り敢えず安いズームレンズで腕を磨いて自信がついたら単焦点にしよう。
で、一月程練習したが鳥は早いし小さいしフォーカスが………。

(巣作りの枝を運ぶ鳶。m3/4. 100~300mmf3.5~5.6)
最近インスタグラムやツイッターなどで写真に凝る人が増えている。
各々の身の回りの美しさ面白さに眼が向くようになれば生活も充実すると思う。
私は画家なのでメインは写生だから、写真は資料に使えれば良い程度で気楽にやっているが、取材で美しい物を探している時が一番楽しい。
私の花撮りのレンズはマクロ用ではなく、ポートレート用のボケ味の良い中望遠レンズを使っている。(BOKEは世界共通語になっている。)
明るい単焦点レンズで覗くと余計な物はボケて、肉眼で見るより世界が美しく見えるのだ。
物欲と言うより美の欲だが、良いレンズは幾つでも欲しい。

(ボカした桜に鵯。m3/4 75mmf1.8)
もう昔のフルマニュアル、フルメカニカル、フルメタルの大きく重いカメラは持ち歩けないが、そんな機種ほど使っていて面白かった。
特にローライフレックスやハッセルブラットのウェストレベルファインダーは、空気感や光の滲みなどデジカメの液晶画面が比較にならないほど輝いて見える。
私はこれで自分の周囲がいかに光に満ちた世界かを知った。
昔使っていたそれらのカメラの残骸もファインダーはまだ生きているので、今でも光景を覗くのにたまに持ち出している。
そんな事を考えていたら、最新のカメラもレンズもあまり欲しくない気がして来た。
年寄りはこれだから困る。

©️甲士三郎