アナグマによく出会う。
狸ではなくって、アナグマ。
夜行性のはずなんだが、なんでかこの頃はあちこちでよく出会う。
・・・俺に惚れてやがんのか? ・・・な訳も無い。
・・・同じ穴のむじな・・・このアナグマの掘った縦横に延びる巣穴に、狸が棲みついて育児を始めたりすることから、そんな諺が生まれている。
ムジナとは、狸やアナグマやハクビシンのことを言っているが、里によって違って来る。
これや大猪を見誤って熊だと大騒ぎし、登山口に熊出没注意の看板が出てることもある。
鹿の角研ぎ痕と、熊の爪とぎ痕を見間違ってる話は笑い話だ。
臭いで解るだろう・・・強烈な熊の臭いは、銀座の公園に暮らすホームレスなんかじゃ敵わない。
犬や猫クラスの大きさの獣でも、相当に臭い。
風下にいると、ひっくり返るくらいに臭い。
オストメイトになって、そういう時は風上に立ち、腹のパウチのガス抜きをしてやる。
オナラ10回分くらいが溜まった奴だから、さすがの獣たちも退散する。
山では臭いの凄さが権威のしるし、同行者が居る時はいつも教えてやってるが、俺が腹のパウチを取り出しにかかると、みなとっとと先に登って行く。
・・・障害者を差別してやがる・・・言い放ってやっても、振り向くことなく小急ぎで距離を開ける。
・・・あたしを置いていかないで~
標高1000m超える山で葉が出るよりも先に花が咲くのがアカヤシオ、1000mに満たない低山で、葉と花が同時に咲いているのはミツバツツジ、そんくらいのことは、知っているだろう。
ただ俺みたいな例外モノもいるが、見ればわかるだろう。
菖蒲の花もあちこちで見るようになった。
マムシやヤマカガシと言ったヘビたちは、この菖蒲のまわりを好む。
逆にノミやシラミと言った痒くなる虫たちは菖蒲を嫌う。
山で炭焼きをしているオヤジや、山で暮らしてる連中は、寝床の下に菖蒲をわざわざ敷いたりしてるくらいだ。
四季に生きて来た日本人の生活の知恵は愉しいくらいにたくさんあるが、文明が進んだとはいっても、作りモノ・マガイモノ・人造のモノばかりの現代社会、自然界ではナンの役にも立たないシロモノばかりになっている。
ところで、この春くらいから同世代の独身者が親を引き取って同居するという話が多くなってる。
田舎は日本のあちこちだが、その親を呼んで広い家に住むという相談が増えて来た。
当社は売買でも賃貸でも成約数の9割を超えるお客さんがご紹介やリピーターになってる周旋屋だが、飛び込みでも 近所で聞いて! という方が増えている。
古ければ安心ということでもないが、銀座に住んで銀座で周旋屋をやってる爺ィの方が安心?
山の話をしてあげると喜んで聞いてくれるのも、子供の時分を思い出してる高齢者には違いない。
なんでこんな息苦しい世の中になってしまったのか?
そんなことを言いながら、俺は笑っている。
俺は、じぇんじぇん息苦しくないからだ。
もう、今週末の山行、山歩も考えてある。