ニュースにはならないけんども、この1カ月で俺の知ってるだけでもオヤジ連中が二人、山で死んでる。
ひとりは春の高所雪山で、中から溶けて空洞になってた箇所に3mも落ち込んでしまってそのまんまお陀仏サイナラ、もう一人は仲間と新潟の山に深夜に出掛けて、登山口に着くころに具合が悪くなり、ひとり車中で休んでおったところ、5時間後に下山して来た仲間らがすでに動かなくなってるオヤジを発見したが仏になっておった。
昨日も後輩の周旋屋で50代半ばの山オヤジが遊びに来て話してたが、3~4時間の激しい運転の後にすぐに歩き始めるとフラフラすると、それは俺もおなじだ。
50歳くらいまではぜんぜん平気だったが、今は駄目だ。
だから最初はごくごくゆっくり、体操しながら歩きだす。
揺れる車中から、斜面の山歩き、平衡感覚はおかしいまんまだろう。
最初の1時間くらいは身体の様子を窺いながら、休憩ばかりでも構わずに、無理はしない。
オストメイトになってそれが徹底できるようになった。
健常だった頃は最初の1時間はキツメに登り始めて大汗をかき、それが脂汗、そこからサラサラの汗になるというような、そんな修業にも似た山歩きだった。
もちろん、山や海はガキの頃からの遊び場だったから、キツメでもなんの異常もなかったが・・・。
焦ることもないし、追われるものもないし、泊ってもいいんだべさと、重いザックを担いでる。
足に常にかかる重量は、100キロくらいになってるから、下山時に足の爪を潰してしまっては大変だと、山頂では靴ひもをキツメに締め直してる。
ずいぶんと用心をするようになった。
用心するようになると、いままで気にしなかった昆虫や草花まで、目に入るようになった。
山歩きの愉しみ方は奥深い。
そろそろ太平洋でも泳ぎ始める時期なわけだけんども、海でも、ここ数年は泳ぎ方が変わってきた。
オストメイトになって4年目だが、4割くらいの体力を使って、息があがらない泳法で沖に出て、プカプカ休憩も多めにとるようになってる。
波に浮いて見え隠れする姿を、同行者がいるとラッコみたいだと笑ってる。
流されれば戻り、戻っては浮いて、時々潜って、そうやって遊んでる。
海水パンツのポケットには、おやつの豆を入れてある。
塩味が効いて、美味いんだよ。
大波に揺られながら、青空をぼんやり眺めていると、ずいぶんと流される。
一気に冷えてくると浜に戻って来る。
それも4割くらいの体力で、休み休み戻って来る。
慌てたり焦ったりが遭難の元、これは山でもおなじだろう。
アヤメとカキツバタ、この季節ならではの里の風情。
週末は暑くなりそうだから、2000mは超えなければ駄目だろうな。