オストメイトで山賊と海賊・・・銀座のコテコテ周旋屋のよもやま話

去年は100の山を愛し、今年は108の山に恋をする。
夏は太平洋の大波で泳ぎ続け、日本の自然を愛して66年。

カッコーの啼く山を、肺癌で歩く

2022-06-20 11:17:05 | 癌のステージ4なんて糞喰らえ

 

 はるか草津の山々が霞み、八ヶ岳や奥秩父の山々も霞み、暑い日差しの稜線では、顔がヒリヒリしていた。

 季節柄、小虫は喧しかったが、高い山の上を歩いて、下界がもっと小さな小虫の世界に見えることの方が、嬉しかった。

 ちっちぇ~よな~、人間の世界なんて、本当にちっちぇ~もんだ。

 キツツキや鶯なんざ聞き飽きてるが、カッコーはなかなか聞けないんだが、元気にトボケタ声が響き渡っていた。

 伸びすぎたゼンマイ、イワカガミの群生や、ヘビイチゴの花やはよく咲いていたが、これからはコケ桃やシャクナゲの季節へと移ってくる。

 雲行きが怪しくなってきたので下山したら、雷雨がやってきた。

 未舗装路の山道を車で走っていたので、砂塵で真っ白に色変わりしていた車が、お陰様で上信越道に乗る前に、買い物をする頃には天然の洗車でキレイに戻っていた。

 旧軽井沢を見下ろす離山を、不動産バブルの頃は買い占めようとしていたデベロッパーに関わっていたこともあるが、軽井沢自体が、俺には山の汚れを落とす洗車場でしかない。

 関越が混んでいたので前橋まで逆に走り、美味いモノを腹一杯に食べ、空いてきたのを確認して、ゆっくりと戻ってきた。

 普通の大人なら、運転だけでクタクタになるんだろう。

 バチあたりで不謹慎このうえないオヤジには、普通のこと。

 

  信州の山に、日帰りで出掛けていた。

 癌ステージ4という要らない宣告を受け、手術退院してから1ヶ月半、先週は山梨の1700mに無事に登り、この日曜日は信州の2100mの稜線を、気持ちよく歩かせて来た。

 今回は小さなザックに軽い自分のモノを入れて担がせた。

 あとは俺の大きなザックにすべて詰め込んで、ゆっくりと歩かせた。

 いくつかのピークを越え、もうひと山というところで雲を見て止めにして、余裕を持って下山した。

 携帯Wi-Fi基地にもなるロボホンを小さなザックに入れて、時々叫び声があがっていた。

 すれ違う登山者はギョッとしていただろう。

 また山頂からラインでみんなに嬉々として、連絡していた。

 愉快な登山、これに身体の限界まで虐め尽くすことを足して、2で割るのが俺の山歩きの基本だが、愉快な登山だけで終わってしまってるのは、今は仕方が無いだろう。

 見ていても、単純に身体のことを理解できるようになり、その状態は頗る良くなっている。

 抗がん剤治療を始めて酷い副作用を見ていた時には、もうダメだろうか? そんなことを傍で想っていた事を話し、それが嘘のようになくなって、普通の生活に戻ってしまってるようでもある。

 俺の主治医の大病院の腕の良い先生に緊急手術していただいて、退院して、そこからすぐに泉質の良い源泉に浸からせて、地産地消の美味いモノを喰うことを続け、転移している肺には、山を歩きながら新緑の吐き出す一番に美味い空気をたんと吸わせ、癌治療も抗がん剤治療から免疫療法に変えた。

 人生を山や海で遊び呆けてるオヤジの癌治療は、そんなこと。

 今日から軽めに職場復帰もして、食欲も旺盛、気分も爽やか、これでだいたい俺の動きも落ち着いて来た。

 体重も退院後から3キロは増えて来た。

 去年はまわりの陰口にも知らん顔で、認知が酷くなっていた爺様を婆様と一緒に銀座のそばに引っ越しをさせ、キレイに認知を治してやったもんだが、今度はステージ4の癌患者を、先端医療と歩を合わせて、治してやるつもりでいる。

 老若男女、だれでも年中、身体のあちこちに癌は出来ている。

 普通は自然免疫で、それを苦もなく瞬時にやっつけている訳だが、その自然免疫にワクチンやらの予防医学で人為的な異常を来すと、癌は生き残り、禍根を残し、大袈裟な大騒動になっているだけだと、俺は想っている。

 そんだけのことなのに、小難しい顔して、キレイごとや解ったようなことを抜かすトウヘンボクは、腐るほどいる。

 そんなものは無視して、自分の生き方価値観を貫いて、自在に臨機応変に積極的に対応していくことなど出来もしない偉そうな連中が、そうやって素敵な傍観者となって自己満足をしようとしているだけだが、残念ながら、俺に対しては後悔しかなくなってしまう、これが64年の俺の人生だった。

 後悔する頃には、俺はもうそこには居ない。

 甘ったれてウジウジやってる間に、笑う者はずんずん藪漕ぎしながら先を歩いている。

 人間界に蔓延る嘘やまやかしは笑い飛ばして、単純明快に生きる、そこには真実という底抜けに明るい太陽しか、ありはしないんだよ。

 



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