カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

熊谷達也 『荒蝦夷』 集英社文庫

2015-11-15 18:14:58 | 本日の抜粋
これで手持ちの熊谷作品をみな読んだことになる。
たった3冊であったが、、、。

というのは、2か月前に知り合いの死を偲ぶ会なるものがあり、そこで彼の残した蔵書などが並べられていた。
その時、彼の精神世界に多少でも触れる事になるかもしれないと想い、数冊の本を形見分けとして戴いた。
それまで熊谷達也という人を知らなかったが、中世、坂上田村麻呂に滅ぼされたアテルイを扱った小説があったので手にしてみた。
こんな供養の仕方は初めてだったが、彼の記憶が繰り返し蘇ることに驚いている。


『荒蝦夷』はアテルイの父、伊治公呰麻呂(これはりのきみあざまろ)が主人公で、多賀城焼き討ち後、息子のアテルイに殺されるところで終わっている。
もちろん、当時の蝦夷の資料はなく、史実に基づくものではない、全く熊谷さんの創造によるものだ。

そこで描かれる呰麻呂は、豪放磊落で、知略に富んでいて魅力的だが、当時の部族を統率するに必要だったのか冷酷無比で残忍な面もある。

中世の戦争。
それはもっぱら肉弾戦であり、人間の残忍さと残忍さのぶつかり合いである。
兵卒より馬が大事にされ、兵糧が無くなれば近隣の村を襲い、果ては人肉を喰う。

  *****
呰麻呂と伊佐西古の軍団は、一気に巣伏に攻め入り、略奪と殺戮を開始した。幼児を含めたすべての男と、歳のいった女は生き埋めにされた。残った女も、ほとんどは兵たちによって輪姦された上で殺された。運のよい、わずかな数の女だけが戦利品として生き延びるのを許された。
  *****

ついさっき、中世の戦争と書いたが、現代の戦争が人間的に進歩したわけではない。
無人機ドローンによる殺戮、巡航ミサイルによるそれ。
武器の発達によって、見た目、スマートに見えるだけの話だ。
敵を虫けらと思わねば発射ボタンは押せない。
先進国諸国が腰にダイナマイトを巻きつけた自爆テロを一方的に非難する資格はないのだ。




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