カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

水木しげる 『ねぼけ人生』 ちくま文庫

2015-07-18 20:53:13 | 本日の抜粋
このところ水木しげるづいている。
それは、徳さんが20代の頃、ねずみ男が登場する『ゲゲゲの鬼太郎』などを愛読した理由とはかなり違っている。

当時は水木しげるが送り出す、奇想天外な物語を単純に面白がっていた。
異世界の面白さである。

今は違う。
多少、彼の半人生を知っている。(徳さん、結構、読んだのだ)
その目で見ると、彼の今までの表現の根っこにあるものが何であるか伝わってくる。

それは、縄文人の母斑を携えた心根である。
その後に続く弥生、中世、近代、現代と世界は順次に便利に、高度化していくが、縄文人の母斑を携えた水木しげるには、この世は常に彼にとって不消化な食物となる。
その違和を、さりげなく差し出している。
今はそんな風に想う。

と、なると、以前の若い徳さんの熱中にも深層での縄文人への共感が在ったのやら知れない。
なんて事を思ったりしてる、、、。

この本の一番最後に、現代の悲劇を語っている部分がある。
第二次大戦の折り、送り込まれた南島で、奇跡的に出くわした素朴な原住民の人々。
彼は、持ち前の縄文性で彼らと破格の親交を成立させていた。

戦後何十年立って、再会を果たした。
その3度目の訪問時には現地は縄文から一気に現代に飛んでいた。

  *****
三十数年前の初対面の時に、既婚者だとは知らずに結婚まで考えた美女エプペは、この五年間に強欲ババアと化していた。土産に持っていった腕時計を見て、「ラジオの方がよかった」と言うありさま。その上、ニワトリをつぶして食事に提供したのはいいが、
 「私には、美しいラブラブ(腰巻)をくれないのか」
 と、対価を要求するしまつ。(中略)
 なんだか、世界中が均一的な価値観に支配され、どこかにあるはずの、(現にあった)楽園が一日一日となくなっていく感じだ。
  *****

もちろん、水木しげるは、この動きを、やむを得ない人間の欲望の自然な動きとして肯定している。
それだけに、彼の諦念と願望がヒシヒシと伝わってくる。




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