岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

この記事は、日本という国の現状についてうなずく点が多いですね。辛いけど。

2020-06-20 17:41:50 | 国民と国会と政治

★【多事奏論】進む政府の劣化~日本は何の「大国」か=原真人(朝日新聞2020年6月17日)

 空前絶後、世界最大。新型コロナウイルス対策の第2次補正予算案を説明する記者会見で、安倍晋三首相は仰々しい形容詞をつかって規模の大きさを誇った。
 4月にまとめた1次補正でも官邸の関心は規模だった。首相側近は「とにかくリーマン・ショック時の対策を上回る規模の案をもってこい」と各省にハッパをかけた。
 国民からは不評だった。規模が足りなかったからではない。スピードの遅さ、支援からこぼれ落ちる人々への目配りの乏しさに、多くの人が批判の声をあげたのだ。
 首相は2次補正でも規模を求めた。それが経済大国の証しだといわんばかりに。
 「世界の大国にふさわしい責任」といった言い回しを首相は好む。大国という言葉をこれほど頻繁に使う首相はいなかった。
 日本が西ドイツを抜いて西側世界第2位の経済大国に躍り出てから半世紀。中国には抜かれたが国内総生産(GDP)の規模では現在も3位だ。ただし国民の豊かさを表す1人当たりGDPは26位とさえない。
 「大国」をことさら強調するのも実際は中身が伴っていないからだろう。
     *
 コロナ危機のもとで、私たちはあまりにお粗末な政府の対応ぶり、日本の脆弱(ぜいじゃく)な社会基盤の現実を目にした。象徴的なのは感染者を特定するPCR検査の能力だ。
 5月初旬の日本の人口千人当たり検査数は2・2人と経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国中36位。首位のアイスランド(147人)は言うに及ばず、加盟国平均(27・7人)にも遠く及ばない。
 人口当たり臨床医師数や集中治療設備数、給付金手続きを進める電子政府、小中学校のオンライン学習などでも先進国レベルに達していない状況が露呈した。
 これは現場の判断ミスという類いの失敗ではなかろう。必要なところに必要な予算を回せない、マンパワーを確保できないというのは政府の機能不全、政治の失敗だ。
 一方で日本は1100兆円の政府債務を抱え財政健全度で世界最悪の国でもある。つまり日本はいま行政機能の劣化と、財政赤字の拡大という、二重の国難を同時に招いているのだ。
 政界には「自国通貨を発行する国は財政破綻(はたん)しない、だからもっと債務を増やせ」と安易な思想に傾く議員も増えている。
 だがこれまで国債や通貨の信認がかろうじて保たれ財政破綻しなかったのは、日本にまだ増税余地があると市場からみなされていたからだ。その余地も超高齢化と経済の成熟化とともに次第に縮小している。
 安倍政権は増税を先送りする代わりに行政サービスの質の低下を容認する道を選んだ。その結果ゆっくりと、だが確実に政府機能の劣化が進んでいる。これこそ形を変えて進む「財政破綻」ではないのか。
     *
 「劣化国家」を著した歴史学者ニーアル・ファーガソン氏は8年前、いまのような事態が進む可能性を見抜いていた。日本のように借金を膨らませても、急な財政危機や超インフレには陥らないかもしれない、ただし数十年にわたるゼロ成長が避けられなくなる、と。
 コロナ対策で今年度の新規国債発行は空前絶後の90兆円。それなのに、政治からはこの異常さへの危機意識が感じられない。
 国会でもわずかに問題提起はある。国民民主党の岸本周平議員(63)は衆院委員会で、東日本大震災のときには旧民主党政権が薄く広く長期に徴収する復興税の導入に知恵を絞ったと言い、「こういう努力が今回も必要だ」と提案した。復興増税方式は財源確保の有力案となる。だが政府・与党から検討しようという声は出てこない。
 いつの時代も負担増は不人気策である。政治家が声高に唱えるには勇気がいる。いま、それでも言わねばならぬと腹をくくる政治家がいかに少ないことか。大国は大国でも、これでは「劣化大国」ではないか。(編集委員)

転載終わります

今までにない、異次元の、美しい大国の現状がここにあります。

お読みいただきありがとうございました。

※先をみるのは怖いからと、お笑いやスポーツ番組でごまかしてきた国民は未来の人々のためには何もしてこなかったのですね。

(コロナ下でよくわかりました)

申し訳ないではすみませんが謝るしかできないかも。


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