岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

コントロールされる数字

2005-07-17 14:50:54 | 世界のなかま
自分にとってマイナスになる数字を明らかにしたくないのは
自己保身をしたい(=ほとんどの)人間の心理である。
当然、私のこころのなかにもあって、ことあるごとに表に
出たがる。
しかし、万人がもっている心理だから、しかたがないとは
とてもいえない。

昨日は本を読みながら、テレビをみるという「ながら日」だった
ので、イラク戦争のドキュメントをみていた。
テーマは、いわゆる「軍事の民営化」である。

イラクでは、世界中の警備会社が活躍していることは知られて
いるが、その複数の会社の社員の数を初めて知った。
一万五千人。駐留英軍より多い人員なのだ。

この人々の給料は、月80~100万円程度という。
なかなかよい稼ぎだ。各国軍の兵士とは比較にならないほど高額だ。

社員にこれだけ払える会社とは相当うまみのある(利幅のある)
会社なのだろう。

ところで、この人たちは、現場で傷つき死亡することはないの
だろうか。
いやあるはずだ。日本人の方もなくなった(としか思えない)。

では、彼らの死傷の数字はどこに表れるのだろう。
実は、明らかにされることがないのだ。
どの警備会社も取材に応じない。
これが「民営化」の怖い一面である。

警備会社の業務の多くは、本来駐留軍がすべき業務である。
施設(空港、石油、電力)警備、軍事教育などがある。
警備の前面に警備会社の社員がいて、後方から米軍がサポートして
いる場面もあった。
安全地帯にいるのが米軍だった。
これで社員に死傷者がでないわけがない。

駐留軍に死者がでた場合のルールは当然確立している。
棺を国旗で覆い、国に送られる。目に見える。
そしてカウントが増える。
母国では厭戦気分が増している。
国営軍(国軍)では数字を操作しにくい。

このように警備会社を利用するメリットは多い。
死者カウント数を確実に抑えられる。
これが「コントロールされる数字」である。

ところで軍事の民営化はだれがどのように進めているのか。
これは全く明らかにされていない。
談合どころの話ではない。

アフガニスタンでは、こんな警備会社の話はなかった。
イラクでは軍事ビジネスが成立する。
なぜか。イラクには金や、金を生み出すものがあるということ。
ベースは石油としか思えない。

このように考えてくると、対テロ、対独裁者というスローガンも
色あせてくる。
色あせないようにするためにも、数字をコントロールする必要が
あるのだ。

普通、軍隊が国営ということは意識されない。
しかし間違いなく国有軍隊である。
民営化に聖域がないとしたら、軍隊の民営化だって
可能性がある。
それでは、シビリアンコントロールが効かないというなら、
巨大化した警備会社の存在はすでに脅威といえるわけだ。
日本では、今だ議論にもなっていないが、世界レベルで
みれば、大きな課題になっているように思われる。

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コントロールされる数字では、障害者自立支援法にもあった。
審議会への提出データに誤りがあった。
意図的に行なったとすれば、レベルが低い。
意図しないミスなら、そのような数字がほしい心理が
働いたのだろう。

昨年の出生率の発表日を思い出してしまった。

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