女装子愛好クラブ

女装小説、女装ビデオ、女装動画、女装記事などを紹介していきます。

朝起きると、ベッドの傍らにけばけばしい厚化粧の『女』が  ~工藤美代子著『炎情』から~

2020年03月19日 | ★女装の本・雑誌
工藤美代子著『炎情』からです。





 朝起きると、ベッドの傍らにけばけばしい厚化粧の『女』が

 憲子さんが閉経をしたのと、会社で役員になったのとは、ほぼ同じ時期だった。今、考えると、この頃から徹さんに徴かな変化が表れていたと憲子さんは回想する。

「いってみれば、妻の勘みたいなものね。どこがどうというのではないけれど、ちょっと変なの。食事中にぼんやりしていて、会話が途切れたり、一週間に一度くらい帰りが極端に遅くなって、ちょっと今までと達っていたのよ。携帯をのぞいて妙にそわそわする素振りのときもあったわね」
 ただ、徹さんに女ができたとは思わなかった。彼がいかに家族を愛してくれているかは、日常の言葉の端々からも感じ取っていた。

 事件が起きたのは三年前のクリスマスの夜だった。まだ亜美ちゃんが小さい頃は一家揃ってクリスマスを祝った。ケーキにキャンドル、そしてプレゼントと、どこの家庭にも見られる光景が繰り広げられたが、亜美ちゃんが大学に入ってからは、もう友達と一緒にクリスマスを過ごすようになり、一家にとっても特別な日ではなくなった。

 憲子さんも、その日は大学時代の女友達と銀座で食事をして、夜の十時頃に自宅に戻った。
 徹さんは同僚だちと飲み会に行くといっていたので、さっさと一人で風呂に入り、化粧を落としてべッドに横になった。亜美ちゃんは、友達とスキー旅行に出掛けていた。

 徹さんが何時に帰って来たのか、憲子さんは知らなかった。ぐっすり寝込んでいたのである。

 そして翌朝、いつものように七時頃に目が覚めた憲子さんは、ふとダブルベッドの上で、自分の横に寝ているはずの夫を見やった。
 そして、思わず息をのんだ。傍らにいるのは、スパンコールのついた真紅のロングドレスを着て、厚化粧をした一人の男だった。金髪の鬘がずれて半分は髪の毛が見えていた。
 猛烈な鼾をかきながら、その男は眠りこけていた。

「すごく汚らしい物体が自分の夫だってわかるのに、十分くらいかかったんじゃない。だって、初めは何か何だか全然、見当もつかなかったんですもの」
 憲子さんは、そのときの衝撃を語る。

 夫の徹さんは、厚くファンデーションを塗り、くっきりと口紅を引き、マスカラを塗った睫毛を閉じて、グワォー、グワォーとすごい音の軒を響かせている。ドレスの裾がまくれあがり、ストッキングをはいた足が大の字になって放り出されていた。
「あの人は身長が一七八センチもあって、男としても大きいほうだ゜たから、もうまるで、巨大な女が転がっているように見えたわ。私は気持
ちが悪くて胸がきゅっと締め付けられるような発作に襲われたの」

 はっとして玄関に行ってみると、これまで見たこともないような大きさの、赤いエナメルのハイヒールが、横倒しになって散らばっていた。
 今でも、その朝を思い出すのは不快だと憲子さんはいう。あの光景を頭に思い浮かべただけで吐き気がするそうだ。

 とにかく、主人を揺すって目を覚まさせようとしたのだけど、なかなか起きなくてね。よっぽど深酒をしたんでしょう。ちょっとやそっと揺すったくらいじゃ、まったく気がつかないの。
 頭にきて最後は思い切り、頬にびんたを喰らわせてやったら、ようやく目を覚ましたのね。それから、びっくりしたようにキョロキョロ周りを見回して、私の顔を見たときは、もう凍りついていたわ。自分がどういう状況にいるか、ようやくわかったんじやない?」

 そう、徹さんは女装して酔っ払い、そのまま帰宅して眠りこけてしまったのである。彼に女装癖があることを、この朝まで憲子さんはまったく知らなかった。
 その後の修羅場については、憲子さんは語りたくないと口をつぐんだ。しかし、夫を問い詰めて、判明したいくつかの事実をおしえてくれた。 (続く)
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女装癖の夫と別れたことは正しかったのか ~工藤美代子著『炎情』から~

2020年03月18日 | ★女装の本・雑誌
工藤美代子著『炎情』2009年よりは、ノンフィクションライターの工藤美代子氏が40代から60代で熟年離婚した女性を取材した本です。



ここには27人の女性の熟年離婚のプロセスが克明に綴られています。
たまたま図書館の書棚で見つけて、最初は熟女ビデオ的なノリで読みだしたのですが、読み進めると27人それぞれの離婚ケースが重いこと、重いこと。

私も27人の熟年女性と同じ世代です。
読んでいるうちに熟年夫婦の性の怖さにズブズブとはまっていきました。

そして、27人のうちの一人が原口憲子さんでした。
彼女の夫、原口徹さんには妻に隠していた性癖がったのです。
それが女装です。
何回かにわけて、『炎情』から引用します。


女装癖の夫と別れたことは正しかったのか

 次々キャリアアップした妻のおだやかでない心境
 熟年離婚をしたことを、ひどく後悔している女性がいるのだが、会ってみないかと知人から連絡があった。

 考えてみれば、今まで熟年離婚をした男女をずいぶんたくさん取材したが、あまり後悔をしている様子の人はいなかった。相手に対して今でも心底怒っている女性はいた。悲しんでいる人もいた。しかし、後悔となると話は別だった。
 若い頃と違って、熟年になってからの離婚は、その場の勢いで決めてしまうということはない。みんなじっくり考えて決断をする。それが大人の常識だ。
 しかし、中には自分の判断が間違っていたと悔やむケースもあって当然だ。私は知人に頼んで、その女性、原口憲子さんを紹介してもらった。

 彼女は現在、五十四歳で、都内に在住のキャリアウーマンだ。いかにも職場でも有能そうな感じの、てきはきとした話し方をする。それだけに離婚を後悔しているというのは、ちょっと意外な印象を与える。
 そもそもなぜ、離婚に踏み切ったのか、そこから話を始めてもらった。
 ちょうど二年前の一月に、彼女は離婚届を夫の徹さんの眼前に突きつけ、有無をいわせず、強引に判を押させた。

 「でもねえ、工藤さん、私がぶっち切れたのには、それだけのわけがあったんですよ。ただ闇雲に離婚を決めたんじゃないんです。もちろん、私の我優や気まぐれなんかじゃありません」
 憲子さんが栗色に染めたショートカットの前髪をかき上げた。指には大粒のダイヤが光っている。マックスマーラのスーツも彼女の身体にぴったりとフィットしていた。はんとうに、どこから見ても都会的な女性だ。

 それまで夫婦の仲は円満だった。彼女は大学卒業と同時にある企業に就職し、そこで同僚だった徹さんと結婚した。二十六歳のときだった。徹さんは三十一歳だった。
 結婚を機に会社を辞めることも考えたが、上司から強く引きとめられた。それだけ憲子さんが優秀だったということだろう。
 しかし、夫婦で同じ会社にいるのは、なんとも居心地が悪かったので、三年後に職種は変わらないが別の会社に、憲子さんが移った。彼女との約束で会社の名前は書けないが、世間ではよく知られている大企業だった。

 子供も一人生まれた。女の子だった。夫は娘を溺愛し、夫婦の関心はもっはら娘の亜美ちゃんに向けられた。憲子さんが働きながら子育てをするのも、徹さんの協力があったのでなんとか乗り越えられた。
 亜美ちゃんが幼い頃には、保育園の送り迎えから入浴の世話まで、徹さんは実に小まめに世話を焼いてくれた。家事もほとんど公平に半分ずつ分担した。亜美ちゃんの保護者会には、徹さんが会社を休んでも出席してくれた。
 その娘も今ではもう二十三歳になっている。

 夫婦生活は憲子さんが四十九歳のときに閉経して以来なんとなく疎遠になった。それまでも一月に一回くらいの間隔だったので、なくなったのも自然消滅といった感じだった。
 もともと、二人ともがセックスには淡白だった。はっきりいって、仕事が優先した。時間に不規則な職場だったので、子育てと、仕事を両立させるだけで精一杯で、セックスにのめり込むエネルギーが残っていなかったのだと憲子さんは説明する。そして、そのことを憲子さんは別に不満にも感じなかった。むしろ夫がセックスに執着しない男でよかったとさえ思った。

 徹さんは、自分が期待したほど、会社では仕事が評価されないのが不満なようだった。根が真面目な性格なので、仕事を手抜きするということはなかったが、なぜか社長に嫌われて、同期が次々と役員になるなかで、彼だけが部長代理のままで五十代も後半となってしまった。このまま定年を迎えるのだろうかという焦りが徹さんの胸中にはあったに違いない。

 一方、憲子さんは女性だったが、早々と五十歳で執行役員になってしまった。彼女の立てた企画がヒットして、それが会社でも評判になった。しかも、さはさはとした性格なので上司からの受けも良かった。
 徹さんと同じ会社に勤めていないでほんとうに助かったと憲子さんは思った。もし夫が自分の部下などという事態になったら最悪だった。
                                                    (続く)
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週末はバタバタしており、ブログを書いておりませんでした

2020年03月17日 | 女装子愛好日記
金曜日に書きこみしましたが、土日はブログにノータッチ。

土曜日に雪がふりました。
私はどういうわけか浦和に出かけなければならない用事があり、
ブルブル震えながら埼京線・京浜東北線を乗り継いで行ってまいりました。

浦和に下りるとボタン雪が横殴り。

もう凍えましたねぇ。
なんでお彼岸も近いというのに、雪が降るんじゃい...
というわけで、ふてくされて家に帰ってきて、熱燗をキュゥー。

こうなるといい気持ちになって、布団に入る。
ブログはいいや♪

明けて日曜日はどういうわけか、お仕事。
これがまた、天気がいいんだわ。

何の因果かお仕事の自分を恨みましたね。

それにコロナの感染リスクもあるし、仕事を済ますとさっと帰ってまいりました。

とはいえ、仕事でかなり話しましたので、喉がほどよく乾いている。
ビールを美味しく飲んで、いい気持ちになって、居眠りをしたら12時すぎ。

まあ、酒好きなコーイチローの行動により、ブログが書かれなかったわけです。
すみません....



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13日の金曜日はもうすぐ終わり

2020年03月13日 | 女装子愛好日記
13日の金曜日は演技が悪いと認識しています。
今日に限らず、今週は最悪の1週間でしたね。

世界的なパンデミックが宣言され、世界中で感染者が激増。
そして世界中の株価が大暴落。
東京でも、通勤電車は空き、職場の人間はマスクをつけて黙々と欝々と仕事をするだけ。

私もいつもの年は年度末で忙しいのに、今年は仕事が激減。

体力を温存してウイルス抵抗力をつけようと残業せずにまっすぐ帰宅の日が続きました。
おかげで財布の中身が減らないこと、減らないこと。
いつもの年なら、送別会だ、年度納会だと3月は飲み会月なのですが....。

見えないコロナウィルスを相手にした戦いはほんとに神経的に参ります。
「病は気から」といいますが、できるだけポジティブに考えてまいりましょう。

本ブログをご愛読の皆様、ぜひともご自愛ください。



小松左京のSF大作『復活の日』が現実に起こったような気持ちですね。

研究所から盗まれた猛毒ウイルスが世界中に拡散し、生存者は南極に残された863人のみに。
さらに核ミサイルの発射を誘発する地震が起こり…
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ある霊媒師によると、男同士のセックスって生殖行為にならないから、情念が溜まって独特の空間になって、ハッテン場というのはある種の魔界、そういう空気が横溢してるって聞いたんですが

2020年03月10日 | ★女装の本・雑誌
承前です。
『上野アンダーグランド』です。
俳優・山科薫へのインタビューのなかで興味深いやりとりがあったのでアップします。

「ということは、ゲイの世界はプラトニック?」と私が質問すると、山科は「意外とありますよそれ」と答えた。
「ある霊媒師によると、男同士のセックスって生殖行為にならないから、情念が溜まって独特の空間になって、ハッテン場というのはある種の魔界、そういう空気が横溢してるって聞いたんですが」
 杉山がそう質問した。
 すると山科薫が熱く語り出した。
「情念が溜まるのはね、男同士の性愛者というのは全体数が少ないから。男と女の色恋だと、あの女に振られてもまた他の女がいるとか、あの男に振られてもまだ他に男なんていくらでもいるじゃん、となるでしょ。でも男同士、女同士は一人に振られちゃうと次探すのが大変なんですね」
「ああ、だから一箇所に集まるわけだね」と私。
「そうそうそう。だから集まるし、殺傷沙汰も多いわけよ。ねちっこい」
『上野アンダーグランド』(本橋信宏著)駒草出版 2016年


>情念が溜まって独特の空間になって、ハッテン場というのはある種の魔界、そういう空気が横溢してる
私も何回も特選地下を覗きましたが、ビンビンに「魔界感」を感じました。
いや上野自体が情念が溜まる魔界かもしれません。


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「お願いです!」少年は叫んだ。「ひと思いに……ひと思いに……」「あなた、私のパンティ汚す気!」千絵はニヤニヤしている。        

2020年03月09日 | ★女装の本・雑誌
「ああ、ぼく、たまんない!」
少年は悲鳴をあげる。
千絵は、手を止めて、
「きょうは、ここまでね」
と言った。
少年は身悶えた。
「どうしたの?」
と、千絵は妖しく、勝ち誇ったような笑みをうかべる。
「いま、やめたら、ぼく気が狂っちゃうよ!」
少年は狂ったように叫んだ。
「ふふ……」
千絵は含み笑って、
「気が狂ったら、いいわ……」
と呟く。
「お願いです!」少年は叫んだ。「ひと思いに……ひと思いに……」「あなた、私のパンティ汚す気!」千絵はニヤニヤしている。                     。
英二を虐めるのが、嬉しくてたまらない風情であった。
「ほんとに、お願いです!」
少年は、いても立ってもいられないような口ぶりで、
「死んじゃうよ、ぼく……」
と、半泣きの声音である。
「死になさいな」
と、千絵は冷たい。
「そ、そんな殺生な……」
少年は泣き声である。
「そんなに、気持ちよいの?」
「ええ……」
「私の言うこと、なんでもきく?」
「は、はい」
「じゃあ、きょうから、私の小間使いになるのよ!」
「学校へ行かず、この家にまっすぐに、やって来るのよ! いいわね?」
「はい、きっと、明日から……」
「では、あなたの欲しいものを、満たしてあげる」
 千絵は、ティッシュ・ペーパーを数枚とると、ゆっくり硬直した肉体の一部にあてがい、目を細めながら手を動かしはじめる。
数秒の後、女装した美少年は、下肢を痙攣させていた。
恍惚の一瞬が訪れたのだ……。


高校生はこうしてサディスティンの掌中に落ちたのです。
甘く楽しい掌の中に。

黒田英二は現在70歳。
どんな人生を歩んできたのでしょうか。
ライフヒストリーを聞いてみたいところであります。

若い方で『美男奴隷』を読んでみたい方は、アマゾンのキンドル版にあります
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藤島邸の女中でありながら、小間使いの少年を持つ自分。しかもそれは、童貞の、女装した美少年なのである。なんという豪勢な募らしであろうか。

2020年03月08日 | ★女装の本・雑誌
承前です。
美少年は千絵から女にさせられます。
そしてとてつもなく昂奮します。
『女装美少年シリーズ』をつくった二村仁監督はこれをヒントに、
あのビデオの流れを作ったのではないかと思うほどです。

千絵は、
「ふふ……」
と含み笑い、
「安雄さん、どんなふうにしてくれたの……?」
と嬉しそうに言ったものだ。
千絵の洋服を上から下まで着せられた英二は、途方もなく興奮している。
千絵は、
「よく似合うわ……」
と思わず見惚れて、
「さ、ベツドに横におなり」
と、優しくく言った。
少年は仰臥した。
スカートの裴の一部分が、なぜか盛り上がっていた。
「ここでしょ?」
千絵は乱暴に触れた。
「ああっ!」
英二は、のけぞっている。
「静かになさい」
千絵は妖しく瞳を光らせて、スカートの裴から手をすべり込ませた。
少年は、千絵の指の動きに伴って、のけぞったり、あえいだり、熱い息を吐いたりしている。
千絵は、
<この坊やは、もう、私の奴隷だわ!〉
と思った。
女装して、安雄から愛された美少年。
その美少年は、いま、彼女の手中にあるのであった。
〈明日から、この坊やを、私の小間使いにしてやるわ……〉
彼女はそう思い、
〈なんとよい考えかしら……〉
と、自分で自分の考えに、うっとりとなったのである。
藤島邸の女中でありながら、小間使いの少年を持つ自分。
しかもそれは、童貞の、女装した美少年なのである。
なんという豪勢な募らしであろうか。

アマゾンにキンドル版がありました
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少年は、<ああ……>と思った。女になって、この美少女から可愛がられるのだと思うと、わけもなく興奮してくるのである『美男奴隷』から

2020年03月07日 | ★女装の本・雑誌
『美男奴隷』からです。
前回、梶山季之先生を愛読されていた方から、高校生がS女王から女装させられて虐められるシーンがよかった、というお話がありました。
探してみました。
ありました。
主役は高校生の美少年、黒田英二。
藤島安雄に女装の魅力を教えられるが、藤島は黒田に会おうとしない。
そこでサディスティンの中里千絵はこの美少年に目をつけた。
彼を自分の部屋に連れ込んだのである。
この小説は1969年に光文社から発行されました。
51年前です。日本の女装・性風俗を知る上で貴重な資料でもあります。

新宿から、渋谷へと車は走り、とある大きな門構えの家の前で、タクシーは捨てられた。
「ここが、あたしの家よ」
千絵は微笑した。
おずむずと少年は、千絵に従っている。
「さあ、はいって」
千絵は、玄関で少年にスリッパを与え、自分の部屋にと導くのだった。
戸を閉める。
千絵は、自分の化粧台の前に、少年をすわらせた。
「さあ、誓いなさい」
「な、なにをです?」
「黒田英二は、中里千絵の命令に従いますワって……」
「従います」
「よろしい。さあ、お化粧してあげる」
千絵は、浮き浮きと叫んだ。
英二は目を閉じた。
匂いのよい白粉が、顔の皮膚にしみ込んでゆく。
少年は、〈ああ……〉と思った。
女になって、この美少女から可愛がられるのだと思うと、わけもなく興奮してくるのである。
胸が高鳴ってくるのであった。
二十分後-英ニは鏡の中の自分の顔を、うっとりと眺め入っていた。
「さ、私の物だけど、着てちょうだい……」
千絵は、下着類をとりだして、少年の目の前に並べた。
英二は震える于で、まず肉色の長靴下をとりあげた。
「裸になるのよ……」
千絵は微笑する。
「ここで、ですか?」
「そうよ」
「だって……」
「お黙りなさい! あなたは、私の奴隷なのよ!」
「は、はい」
「裸におなり!」
「は、はい!」
少年は、ズボンをぬいだ。
男性の象徴が、逞しく息づいている。


アマゾンにキンドル版がありました

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男とからむと、くすぐったい。男の肌ってキメが荒くてね、ガサガサしててくすぐったいの~ゲイ映画俳優・山科薫さんのお話~『上野アンダーグランド』から

2020年03月06日 | ★女装の本・雑誌
『上野アンダーグランド』
執筆者は本橋信宏氏、手練れのノンフィクションライター。
取材力、インタビュー力、資料発掘力が高く、それを読みやすいノンフィクションにまとめてくれます。
あの『全裸監督』の著者ですので、記憶にある方も多いと思います。
その本橋氏が取材テーマに選んだのが「上野」。
上野といえばオークラ劇場と地下特選。
そういえば初期のP倶楽部集会も池之端のホテルで行われていました。
正にアンダーグランドという言葉がふさわしい。
そして私も何もない日常から逃れたい時には妖しい気が漂う上野をさまよっていました。

ゲイをテーマにした章のなかで本橋氏がインタビューしたのがゲイ映画の人気男優・山科薫氏です。
売れない俳優だった山科氏はゲイ映画が出演することでブレークしました。
以下引用です。(原文がホモ映画となっていますのことをご了解ください)

********************************************************************************************************************
 私たちは山科薫を座の中心に据え、話のつづきを聞くことになった。
 異性愛嗜好の男・山科薫に私はこんな質問をしてみた。
「ホモ映画出るときは抵抗はなかった?」
 すると生ビールをぐいとあおり、答えた。
「無いどころか、やっぱり役者を始めること自体、人より目立ちたいってことですから。目立ちたいの
に、普通のピンク映画だと女が主役で男は刺身のツマですから。たまに女優より目立ってやりたいって
思うときあるじゃないですか。そんなときにホモ映画でしょ。こっちが主役じゃないですか。こっちを
みんな見るわけだから、それはもうやりがいがある。出るしかないと思ったわけ。男とベッドシーンや
るのが気持ち悪いとか、そんなことで出ないなんてふざけんじゃねえってぐらいの気持ちがあったんで
しょね」
「それは役者魂だよねえ」
「うん。だからね、気持ちが悪いのは当たり前、役になればできるだろう、キスぐらい平気だって思っ
てやったわけですよ。でもね、気持ち悪いのは我慢できたけど……」

 山科薫は、体験者でなければわからないリアルな感触を告白しだした。
 「男とからむと、くすぐったい。男の肌ってキメが荒くてね、ガサガサしててくすぐったいの。気持ち
悪い以上にくすぐったいんですよホントに。女性と質感が違う。もともとね、自分は女子プロレスラー
と付き合ったりしてて、男みたいな女は好きだから平気だと思ったんですよ。男以上に力があって、も
ろ筋肉質の骨格のしっかりした女って嫌いじゃないんですよ。だから男も平気だと思ったの。ところが
そういう問題じゃないの。
 男と女の違いは、骨格とか筋肉の問題じゃなく皮膚の問題なんですよ。骨格とか筋肉がしっかりして
る女性アスリートだって、肌が滑らかですから。どんなにたくましいがっちりした力のある女でも、男
と女のからみは、磁石でいえばプラスとマイナスの関係性なんです。だけど、男と男のからみはプラス
とプラスなんですよ。皮膚感覚はまるっきり違います。男とからんでも、くすぐったくてしょうがない。
どんなに役作りして入ったつもりでも」
  『上野アンダーグランド』(本橋信宏著)駒草出版 2016年
********************************************************************************************************************

男の皮膚感覚は違う。私はこれに納得しました。
こうした話を引きだせるのが本橋氏のインタビュアーとしての手腕ですね。




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戦後日本女装・同性愛研究 (中央大学社会科学研究所研究叢書)の目次です

2020年03月05日 | 女装子愛好日記
承前です。
『戦後日本女装・同性愛研究 』(中央大学社会科学研究所研究叢書)の目次をご紹介します。
**************************************************************************************************
            目   次
 はしがき
序 章「第1部 共同研究」についての覚え書き
    一一本書の発刊にあたって--…………………矢島 正見 1
   第Ⅰ部 戦後日本女装者・女装者愛好男性のライフヒストリー
          一共同研究--
第1章 松葉ゆかりのライフヒストリー
  第1節 調査の概要………………………………………杉浦 郁子 21
  第2節 松葉ゆかりのライフヒストリー…………………………… 30
    語り 松葉ゆかり/聞き手 杉浦郁子,三橋順子,矢島正見
    編集 杉浦郁子,矢島正見 /脚注  三橋順子
  第3節 性別秩序をめぐる一考察
     一一松葉ゆかりさんのライフヒストリーから-
       …………………………………………………杉浦郁子 105
  第4節 松葉ゆかりの女装人生史……………………矢島 正見 117

第2章 美島弥生のライフヒストリー
  第1節 調査の概要………………………………………杉浦 郁子129
  第2節 美島弥生のライフヒストリー………………………………134
     語り 美島弥生 /聞き手 三橋順子,杉浦郁子,石田 仁
     編集 杉浦郁子,矢島正見 /脚注  三橋順子
  第3節「発達」する「女装者心理」一個人史から社会史へ
       …………………………………………………石田 仁 196
  第4節「女装者」概念の成立…………………………三橋 順子 224

第3章 女装者愛好男性A氏のライフヒストリー
  第1節 調査の概要………………………………………杉浦 郁子245
  第2節 女装者愛好男性A氏のライフヒストリー………………248
     語り A氏 /聞き手 三橋順子,杉浦郁子,石田 仁
     編集 三橋順子,杉浦郁子 /脚注 三橋順子
  第3節 Aさんと私-一一一一ホステス順子の手記………三橋 順子298
  第4節 女装者愛好男性という存在…………………三橋 順子 320
  第5節 異性装の社会学的分析に向けて
     -「アマチュア女装」の観点からひとつの仮説ヘー-
       …………………………………………………杉浦 郁子 341

      第Ⅱ部 女装・同性愛に関する論考
          一個人研究一
第1章 現代日本のトランスジェンダー世界
      -一一東京新宿の女装コミュニティを中心に-一一
       …………………………………………………三橋 順子 355
第2章「性転換」の社会史(1)
      -一日本における|性転換」概念の形成とその実態,
       1950~60年代を中心に-・・・・・・・・・・・三橋 順子 397
第3章「性転換」の社会史(2)
      -「性転換」のアンダーグラウンド化と報道,
       1970~90年代を中心に-……………三橋 順子 436
第4章 会員名簿からの演劇研究会会員43名の考察
       …………………………………………………矢島 正見 472
第5章 1970,80年代の一般雑誌における「レズビアン」表象
     一一レズビアンフェミニスト言説の登場まで-
       …………………………………………………杉浦郁子 491
第6章 戦後日本の雑誌メディアにおける「男を愛する男」
    と「女性化した男」の表象史
       …………………………………村上 隆則,石田仁 519
第7章 女装者との差異を語る
     -「TS/TGであること」をする実践-一一
       …………………………………………………鶴田 幸恵 557
第8章 性的マイノリティの人権保障
     一国際人権法を素材として-…………谷口 洋幸 586
***************************************************************************************************

松葉ゆかりさん、美島弥生さん、女装者愛好男性A氏の3人のライフヒストリーは本当に読み応えがあります。
そして、昭和期・平成期の女装史を記録する貴重な資料になります。
個人的には美島さん、A氏には一度だけお会いしたことがありますので、その点でも興味深く読むことができます。
特にA氏のお話を読むと、昭和末期そしてバブルに踊る平成初期の新宿を懐かしく思い出しました。

この本は絶版となっていますので、出版元の中央大学出版部から入手することはできません。
amazonでは7000円台と高値がついています。
ご無理をなさらずに、近隣の大きな図書館でお借りになってお読みになってみてください。
きっと新たな発見をすることと思います。



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