
肌にぴったりフィットする感じで腰の部分はさらにキュッとしまっている、男の服では絶対に味わえない着心地にワクワクしながらスカートを取り出し、揺れる列車に悪戦苦闘しながら足を通し、ボタンを止めジッパーを上げました。
あつらえたかのように腰にぴったりとフィットし、感動にうふるえてきました。耳には自分の心臓の音が聞こえてくるようでした。「ああ……その感触……何度味わっても新鮮でたまらない……」プリーツが深く足にまとわりつく感じ、普通に立っているときは黄色のミニプリーツ、歩いているときは白とグリーンの部分がチラチラ見える色違いのひだををうっとり眺める。腰をふりふりしたり、くるくる回ったりして傘のようにかわいらしく広がる様子をうっとり眺める。肩と腕まわりと胸、そして腰はピタッと肌にフィットしているのに下半身だけはパンツを履いている感覚だけ。ふとももに衣がすりすりとこすれるだけであとは何もない。
ムダに多いプリーツの量、いったい何の目的でこのスカートをデザインしたのか。足にまとわりつく感触のためか、それとも歩くたびに絶え間なく揺れるひだを表現したかったのか。
こんなめくれやすいスカートをはくときの女の子の気持ちって……めくれるためのスカート……なんていやらしい。……なんだろう……何てHなんだろう……
頭の中はもうパニック状態でした。自分でも気づかないうちにパンツをおろし、オナニーを始めてしまいました。「ああ〜女の子っていい!スカートっていい!人前でこのHなスカートをはきたい!パンツ見せたい!ああ……スカートスカート、スカート、スカート……ああ〜いく〜!」あと少しでイッてしまいそうだったそのとき、突然ノックの音がしました。「ああ……もう少しでイクところだったのに……」
せっかくのスカートタイムをぶち壊された私は頭の中を切り替えて、おちついてノックを返し、音を立てないように静かに着替えてトイレの水を流し、深呼吸をして顔のほてりがないかを確認して何食わぬ顔でドアを開けました。
そこには25歳くらいのスリムパンツ姿の女性が立っていました。「ちくしょう、じゃましやがって。スカートをはける立場のくせにどうしてはかないんだ。ズボンをはくならこの体と取り換えてくれ!」その後、松本から「しなの」、長野から「あさま」と乗りついで高崎へ帰宅。かなり遠回りでしたが思い出に残る一日でした。
出所 「ひまわり」 1998年8月号