女装子愛好クラブ

女装小説、女装ビデオ、女装動画、女装記事などを紹介していきます。

永六輔さんは全国の刑務所で受刑者に講演をしていました

2024年05月09日 | 私的読書日記
今日は女装以外の話を書きます。
永六輔さんのラジオを聞き始めて50年になります。
残念なことに先年お亡くなりなりましたが、永さんの社会に対する視点や想いを私も学んできました。

そして永さんは全国の刑務所で受刑者に講演をしていました。
社会貢献でありますが、なかなか行えることではありません。
その講演を書き起こした本が『悪党諸君』です。
久しぶりに手に取ってみました。
この本を読むと刑務所の講堂で何百人の受刑者に話す永さんの姿が浮かんできます。
そしてその内容は、彼らをいじり、彼らを笑わせ、彼らをしんみりさせます。

そして、この中で私が好きな個所があります。
1986年10月3日に京都刑務所で行った講演です。
出所した方々が街を歩いていると挨拶してくるそうです。
それも普通ではなく、例えば街宣車の上からなどだそうです。

あのお、これ、はじめから頼むんですけど、今度、外で会ったときにいきなり脅かさないでほしいんです。
先日も銀座を歩いてるとき、右翼の街宣車の上からね、スピーカーで、 「鹿児島でお世話になりましたぁ!」(笑)。
(中略)
えー、そんなことで最後を締めくくりまして、最初にいいましたように、娑婆であったときに、どうか、急に脅かさないように。宣伝カーの上からマイクで挨拶なんかしていただかなくてもいいですからね。
そういう気遣いはホントにしなくていいですからね。お願いしておきます。

この間、浅草の観音様でね、小さな男の子を、肩車して可愛い奥さんと三人で歩いている、 「ああ、いい家族だなー」という人たちが向こうからきたんです。
そうしたら、そばにきてニコニコしてるから、どっかで会ったことがあるのかなこの人、と思ったら、
「仙台の刑務所でお話をおうかがいしました。 真面目にやってます」 ホントに真面目にやってるのが絵に描いてあるようにわかるのね。
僕はうれしくてボロボロ泣きましたよ。
いいですね、僕が、刑務所にいってよかったなと思えるようにしてください。
 出所:同書

自分の話がどこかで役に立っている、誰かがほんの少し幸せになっている。
こうした小さな効力感がモチベーションになります。
そしてボロボロ泣いた永さんの気持ち 、すごくわかります。

見出し写真はamazonからです。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『NHKスペシャル 未解決事件 下山事件』が先週放送されました。

2024年04月07日 | 私的読書日記
『NHKスペシャル 未解決事件 下山事件』が先週放送されました。

1949年7月、国鉄職員10万人の解雇に関して労組と交渉中、忽然と姿を消した下山定則総裁。
その後、無残な轢死体で発見された。
検死解剖の結果、死体から血が抜き取られていたことが発覚。
自殺か他殺かをめぐる大論争へともつれ込んでいく。
東京地検の主任検事として捜査を指揮することとなった布施健(森山未來)は、自殺として不可解な点が多い事件から、他殺の糸口を探っていく。
NHKではドラマとドキュメンタリーの2本シリーズで、いまなお続く「日本の闇」に新たな光をあてる。


森山未來の演技が素晴らしく、私も思わずドラマに見入ってしまいました。
米軍占領下の日本。
米ソ対立のなかで、さまざまな謀略が行われていた。
この下山事件はそのなかでも最大の謎と言われています。

この下山事件はいろいろな作家が書いていますが、
私が読んだ中で強く印象に残っているが、梶山季之と安部譲二です。

梶山季之は『汚職さんずい』所収の短編「俺が殺した」にその推理を書いています。
トップ屋だった梶山は情報網を持ち、松本清張風の推理を展開する。
下山事件の企画者は米軍諜報組織。その手先のCが配下の機関に実行を指示した。
主人公は暗殺専門家は、国鉄総裁と名乗る男を殺害し、鉄道自殺に見せかける。
自殺に見せかけるように、下山総裁に似た男を現場に徘徊させる。
梶山季之は自分がつかんだ事実を、精神病院に入院させられた主人公が語るという形の小説にして発表したのである。


安部譲二の父親は、東京帝国大学ボート部で下山総裁とクルーを組んでいました。
この事件が起きた時「下山は自殺なんかするものか」と泣きながら呻いたということです。
こうしたこともあり、『日本怪死人列伝』で下山事件を取り上げています。

両書とも読み応えがある本です。
ただ、入手しにくい。
図書館検索サイト「カーリル」で探して、ぜひお読みになってください。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

印象に残った本~私の読書記録から

2023年12月31日 | 私的読書日記
2023年もあと1時間ですね。
1年間、ご愛読ありがとうございました。
毎日、1000人近くの方のお読みいただきましたことに熱く御礼申し上げます。

みなさまの2023年はいかがでしたでしょうか。
私は今夏に国立国会図書館に行き、昭和時代の『風俗奇譚』『くいーん』を読むことができました。
そのなかで私の心に刺さったことを令和の女装子さん&女装愛好者に発信させていただきました。
温故知新、みなさまのお役に少しでも立てば幸いでございます。

恒例の読書記録でございます。
「趣味は読書」ですので、2023年もかなりの量の本は読んでおります。
ただ寄る年波には勝てず電車のなかで活字の小さい本は読めなくなってきました。
それにもめげずに本は読み続けてきました。
そのなかで印象に残った本を挙げてみます。
これは、私自身の2023年の読書メモの意味もありますので、書評・紹介は省かせていただきます。
どんな本かリンクをたどっていただければ幸いです。

仲蔵狂乱
天路の旅人
ジュリーがいた 沢田研二、56年の光芒
ドリフターズとその時代 (文春新書 1364)
社会の変え方 日本の政治をあきらめていたすべての人に
ヤラセと情熱 水曜スペシャル『川口浩探検隊』の真実
李王家の縁談
決定版 戦略プロフェッショナル 戦略独創経営
僕とジャニーズ


そのなかで沢木耕太郎の『天路の旅人』は読みごたえがありました。
お薦めです。


そして読書ではなくスポーツです。
wbcの大谷の活躍は確かにすごかった。
しかし個人的には、浦和がアジアナンバーワンのクラブになったことです。
前年の全北現代との死闘。
決勝はサウジの強敵、アルアハリ。
完全アウェイのリヤド、そしてホームの真赤に染まった埼スタ。
2023年のスポーツ十大ニュースには取り上げられませんが、これは偉業です。
そして地元の人間として浦和をサポートして本当によかったです。
心が震える体験をプレゼントしてくれた浦和イレブンに感謝です。

【浦和レッズがACL制覇!|浦和×アル・ヒラル|ハイライト】浦和レッズが後半のオウンゴールを守り切り、史上最多となる3度目のアジア王者に輝く!|AFCチャンピオンズリーグ2022 決勝第2戦



皆様の2024年がよい年でありますことをお祈りいたします




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私にとっての記憶装置......

2023年10月15日 | 私的読書日記
承前です。
昨日のブログを読んでいましたら、急にジュリーの曲が聴きたくなりました。
聴きたい曲はとても多い。
そのなかでも好きな曲を2曲選びました。
1曲はTBSドラマ「悪魔のようなあいつ」の主題歌。
1曲は聴く人の心と身体を本当に明るく楽しくする唄。
yoyubeでこのふたつの歌を聴くと記憶装置が発動します......。


沢田研二 時の過ぎ行くままに




沢田研二 あなたに今夜はワインをふりかけ



★沢田研二 BEST OF NHK DVD-BOX 全5枚★

<見出し画像はamzonから>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ジュリーがいた  沢田研二、56年の光芒』 島﨑今日子著、文藝春秋社、2023年

2023年10月14日 | 私的読書日記


『ジュリーがいた  沢田研二、56年の光芒』 島﨑今日子著、文藝春秋社、2023年

高度経済成長のまっただ中、誰もが「明日はよりよくなる」と信じることができた時代。
一九六五年、一人の少年がマイクを握った。
その瞬間、彼の運命は、芸能界の歴史は軌道を変えた――。
ザ・タイガースの熱狂、ショーケンとの友愛、
「勝手にしやがれ」制作秘話、
ヒットチャートから遠ざかりながらも歌い続けた25年間……。
バンドメンバー、マネージャー、プロデューサー、
共に「沢田研二」を作り上げた69人の証言で織りなす、圧巻のノンフィクション。



私は本を読むのが速い方ではありますが、今週はこの本をずっと読み続けていました。
正に骨太のノンフィクションであり、ジュリーを通して、昭和という時代を振り返ることができました。
島崎今日子氏の幅広くそして深い取材力に敬意を表します。
「本は大好き、書評は苦手」な私なので、あまり気の利いたコメントはできませんが、京都の少年たちが集り結成したバンドが音楽を歌謡曲を変えていくヒストリー。それは中学から高校にわたっての私の心のなかを思い出すことでもありました。

この本のなかで最も印象に残ったのは、ジュリーがさいたまスーパーアリーナのコンサートを30分前に中止にした出来事を描いたときの島崎氏の文章です。

六十六公演あった古希ツアーの最中、さいたまスーパーアリーナの公演が開演三十分前に突如中止となったのである。 会場は大混乱となり、翌日、沢田が自宅近くで記者に囲まれ、契約した動員 数が守られずに自らキャンセルを決めた。 責任は自分にあると陳謝した。

「客席がスカスカの状態でやるのは僕にも意地がある」 十一日前に沢田が暮らす街の横浜アリーナで公演があり、多くのファンがそちらに向かったことが集客に響いたと言われている。メディアが殺到して批判が起こり、大騒ぎになった。だが、 観客の九割を占める女性ファンは冷静だった。 多くの人はジュリーの元気な姿に胸を撫でおろし その意志を尊重した。

音楽は記憶装置である。「キャー!」と叫んだその日から時代時代のジュリーを追いかけ、自分の人生を投影しながら日々の活力としてきたのだ。 沢田研二への絶対的な愛は、揺るがない。 こうしたファンの姿を揶揄する芸人やコメンテーターもいたが、幸福な信頼関係に想像が及ばないのだろう。


音楽は記憶装置である。
自分の人生を投影しながら日々の活力としてきたのだ。

その通りです。
これはジュリーだけではありませんね。
例えば、
18歳、高校生の日曜日、ロイ・ジェームスのラジオ番組で聴いた曲。
22歳、大学の友達といった中野サンプラザ。
28歳、彼女とデートとした厚生年金。
35歳、残業続きだがこの日だけはとチケットを握りしめて、九段下から坂を駆け上り、田安門をくぐって飛び込んだ武道館....。
そのときに聴いた曲、ステージのパフォーマンス。
このようにその曲を聴けば、その時の人生の一コマを鮮明に思い出すことができます。
逆にいえば、人生を投影できるアーティストを持てたことは幸福なことなのですね。

そして、このブログのご愛読いただいてる方にとっては「女装は記憶装置」ではないでしょうか。

<見出し画像の出所はamzon>








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヒールを履くことが自己解放。緊張感か高揚感か、とにかく背筋が伸びる自分か好きなのだ。

2023年05月14日 | 私的読書日記
おはようございます。
埼玉県地方は曇天です。
冴えない天気が続いています。
また5月中旬とは思えない冷え込みです。
お身体にお気を付けください。


TBSの女性アナウンサー、堀井美香さんが好きです。
ちょっと舌足らずなしゃべり方、天然系なのでしょうか、おっとりした受け答え。
育ちのよい熟女の魅力があります。
久米宏さんとのラジオ『久米宏 ラジオなんですけど』は面白く、毎週土曜日午後は楽しみでした。

その堀井さんが2022年3月末でTBSを50歳で退社したのです。
退社後は朗読などさまざまな新しい仕事に取り組んでいます。

その堀井さんの本『一旦、退社』を読みました。
ここには彼女が歩んできた道、これからやっていこうとすることなどがラジオの語り口をほうふつとするような文章で語られています。
そのなかでおっとと思ったのは『ヒールを履き続けるわけ』という文章。


 大学生になって初めて履いたハイヒールは最高だった。今までモタモタしていた足の後ろの筋がしっかり伸びた。腹にしっかり力も入った。上を向いて歩ける気もした。
 それから30年間、子育ての時も仕事の時も、ずっとヒールを履いている。
 男性の上司に、「お前に関して褒めるところはないが、ただ一つ褒めるならば、いつもちゃんとした洋服と、ちゃんとしたヒールがある靴を履いているところだ」と言われたことがある。
 完全に理論が破綻しているが、とくに腹が立った覚えもない。
 最初からヒールは誰のものでもなく、自分のためのものだったから。
 身長も女性性も体裁も関係ない。ましてヒールを好む女は自意識が高いなんていう俗信に興味もない。誰に媚びてるわけでもない。ヒールを履くことが自己解放。緊張感か高揚感か、とにかく背筋が伸びる自分か好きなのだ。
 仕事の時間が許せば8センチヒールとか10センチヒールで渋谷から六本水まで1時間近く歩いて移動したりもする。
 ヒールを愛することで有名なSATCのキャソー役のサラ・ジェシカ・パーカーが、一日中撮影でピンヒールを履いていてもまったく嫌じゃないと語っていたけれど、私も同じ。
 靴が足に吸いついている感覚。内腿とか膝の褒がちゃんと伸びてる感じ。我ながらなかなかのヒール捌きで気持ちも軽くなっていく。


10センチヒールで、渋谷から六本木まで歩くということに驚きますが、
>ヒールを履くことが自己解放。緊張感か高揚感か、とにかく背筋が伸びる自分か好きなのだ。
この気持ち、女装子さんのなかでお分かりになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本日は大晦日、中国では年越しの餃子を家族で食べます

2023年01月21日 | 私的読書日記
明日は春節。
ということは、今日は大晦日。
北京や上海などの大都会で働く人たちが故郷に戻っていく。
久しぶりに家族がそろい、年越しの餃子を食べます。

餃子は旧年中に包んで準備し、さあ新年が明けたという時に食べる年越しの食べ物なのです。
またこの餃子の中に氷砂糖やピーナッツ、銀貨などを入れて、砂糖に当たると「生活が甘い蜜のように安楽なものであるように」、ピーナッツに当たると「長生果(ピーナッツの別名)にちなんで健康長寿であるように」、銀貨に当たれば「お金にこまらない」などと縁起をかついでにぎやかに団欒するのが中国北部の年越し行事です。

 中国料理 古月 HPから→★

この年越しの餃子のシーン、これまで見た中国映画の中で最も印象的だったのは『再見 また逢う日まで』です。
優しい父と母、仲の良い4人の子供たち。
本当に絵にかいたような幸せが家族。
しかし、新しい年になり、その父・母は事故に遭い、4人は散り散りになってしまうのです。
そんな運命をしらずにみんなで餃子を食べる大晦日。


『再見〜また逢う日まで』予告編





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2022年 印象に残った本~私の読書記録から

2022年12月31日 | 私的読書日記
2022年もあと1日ですね。

昨夜は今年の読書記録を読み返しておりました。
「趣味は読書」ですので、かなりの量の本は読んでおります。
そのなかで印象に残った本を挙げてみます。
これは、私自身の備忘メモの意味もありますので、書評・紹介は省かせていただきます。
(実は年末の大掃除でこき使われて余力がないのであります)

『梶山季之 最後の無頼派作家』(大下英治)

『孤蝶の城』(桜木紫乃)
『おんなの女房』(蝉谷めぐ実)

『彼は早稲田で死んだ』(樋田毅)
『漂流 日本左翼史』(池上彰・佐藤優)

『評伝 小室直樹 上・下』(村上篤直)
『痛快!憲法学』(小室直樹)
『日本教の社会学』(小室直樹・山本七平)

『戦争は女の顔をしていない 1.2.3』(小梅 けいと, スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ )
『ペリリュー 戦場のゲルニカ』(武田一義)
『ウクライナ戦記』(宮嶋茂樹)

『迷宮の花街 渋谷円山町』(本橋信宏)
『開局70周年記念 TBSラジオ公式読本』(武田砂鉄)
『波の音が消えるまで 上・下』(沢木耕太郎)


パソコンにプライベートの時間をとられるようになり、書籍を読む時間は年々少なくなってきています。
それでもこの1年間、いろいろなジャンルのいろいろな本を読んできました。
まだまだ挙げたい本がありますが、きりがないのでこのあたりにしておきますね。

この1年間、『女装子愛好クラブ』をご愛読いただき、本当にありがとうございました。
皆様の温かいご声援や叱咤激励で1年間、ブログを続けることができました。
来年が女装子さん・女装子愛好男子さんにとって良い年となることを祈っております。
































コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人の心を下向きにする自分に気づいていない不幸せを考える~斎藤薫著『美人だけが知っている100の秘密』

2022年12月14日 | 私的読書日記
再掲になります。
前回は一部分だけでした。
どうも、このコラムが気になって、改めて本を読みなおし、改めて引用することにします。

この年になると、人とのコミュニケーションは楽しい場にしたい、自分も愉快に過ごせる場にしたい、と考えるようになります。しかし、そうではないコミュニケーションを取るの人が多いのも悲しいかな、事実ですね。

美容ジャーナリストの斎藤薫さんは「人の心を下向きにする」ことの重大さを改めて書いてくれています。

■人の心を下向きにする自分に気づいていない不幸せを考える■
 この世で自分を知らないのは自分……よくそう言われるけれど、人は自分の一体何をいちばん知らないというのだろう。たとえば、後ろ姿。人間は悲しいかな、そもそも鏡に映さないと自分の姿を見られないが、鏡があってもなお、自分の後ろ姿は見られない。厳密に言うと、ぐるりと体を囲むような4面の鏡がないと見られない。だからパンツ姿のヒップの形を、自分は知らないのだ。
 そしてまた、誰かと会話している時の自分の顔を、人は見られない。だいたいが鏡には、自分の好きな顔しか映していないから、会話している顔は、自分の知らない顔だったりする。だから時々は、鏡を見ながら電話してみて。リモート会議でも時々は自分の顔を見ながら話してみて。そうやって自分の死角を減らしていくことは、とても重要な美容なのである。
 いずれにしても、自分にそういう死角があることをちゃんと知っておくことが何より大事。知らないと永遠に気づかない。永遠に間違え続けることになってしまうから。でも、百歩譲って何とか鏡に映して見られるものはまだいい。鏡でも見られない、誰も間違いを教えてくれない自分を、人は山ほど特っている。特に人付き合いにおいては、死角だらけ、知らない自分だらけであることを知っておかないと。

 たとえば自分の心の向きを、人はあまり気づいていない。もちろん自分が前向きな人間なのか、後ろ向きな人間なのかには自覚があるはずだけれど、意外に気づいていないのが、もっともっと日常的なさりげない会話の中で、人の気持ちを上に向けるタイプか、下に向けるタイプか。人はそこに気づいていないのだ。
 言ってみれば、自分自身は大いに前向きな性格なのに、人との関わりの中では人の心を下向きにしてしまう。そういう人ってじつは少なくないのである。しかも、そういう人ほど、自分が人の心を下向きにする人間だなんて夢にも思っていない。そこが問題なのだ。

 たとえば人と一緒に食事をする時。ワインがまずい。料理が出てくるのが遅い。この料理は塩辛い。あのスタッフ、感じが悪い。そんなふうに文句ばかり言っている人がひとりいたら、みんな心が下向きになる。逆にこういうワインこそ好みだし、料理の味も悪くない。いい感じの店で気分がいい……そう思えた人の心まで、くまなく下向きにしてしまう。他にいくら前向きな話をしていても。たった今、相手が口にしているものを美味しくないと口に出すことが、どんなに相手の心を下向きにするのか、それ自体に気づいていないのだ。

 ともかく食事で誰かとテーブルを共にする時、そこにネガティブな要素を持ち込んでは絶対にいけない。食事がまずくなるのはもちろん、会食はみんなの心を上向きにするためのもの、という本来の意味に思いっきり反してしまうから。従って、ワインがまずくてもまずいと言わない。Iカ月後に「あれはまずかったね」と笑い合うのは構わないが。

 同様に人との会話において、相手が言ったことをひとまず否定してみる癖のある人も、一刻も早くそれに気づかないと。ましてや、誰かが褒めた物や事や人を否定するのは、やってはいけないこと。でも取るに足らない世間話だと、自分が何でも否定していることにうっかり気づかないものなのだ。なんらかのテーマをテーブルにあげて、みんなでちゃんと議論をするならば、反対意見を出すのは一向に構わないが、それこそもっともっと日常的な会話の中で、あのドラマ面白かった、あの俳優はいい俳優、あのタレントはいい感じ……そういう他愛のない話題でもって、自覚のないまま、相手の言ったことにいちいち反対意見を持ち出す人は少なくないはず。つまり親しい者同士の会話でこそ、やってしまいがちなミスなのだ。他愛がなさすぎて本人は気づかないのかもしれないが。

 もちろん基本的に誰もそのことを指摘してくれないから、そういう癖は知らず知らずエスカレートしていってしまう。誰もそんな人と会話したくないし、ましてやご飯も食べたくない。そういうふうに自分の知らない自分が、幸せになれない原因だとしたらどうだろう。だからこの機会に考えてみてほしいのだ。あなたは、ついうっかり人の心を下向きにしていないか? その、ついうっかりで、あなたは自分自身を不幸せにしていないかと。
出所:斎藤薫著『美人だけが知っている100の秘密』


私は基本的に会食や雑談の中で人が言ったことに異を唱えたり、味の負の評価はしないようにしています。
デール・カネーギーの『人を動かす』を大学時代に読んでから、愚直に続けていることです。
でも、身近にいますよね、「でも」「だって」「「そんなことないよ」「これは美味しくない」「この俳優は下手」「脚本がなっていない」......。
とはいえ私も聖人君子ではありません。
心の中では「いいじゃねえか、俺が楽しんでるんだから、いまはぐちゃぐちゃいうな」と叫びまくってます。

まあ、こんなことでコンフリクトを起こして2人の空気が悪くなるなるほうが気分が悪いんで、黙っていますけどね。
女装子愛好クラブでこのコラムを紹介しましたが、これは女装子さんだけではなくB面のビジネスパーソンにも共通することだと思います。
相手の心を下向きにしない、上向きにする。すると幸せはすぅぅとやってきます。たぶん....。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

女の美しさはむしろ体の動きで決まる? ~斎藤薫著『美人だけが知っている100の秘密』から、

2022年12月13日 | 私的読書日記
承前です。
斎藤薫さんのエッセイを読んでいましたら、これまた奥が深いことが書いてありました。
これもご参考としてアップします。

女の美しさは、むしろ体の動きで決まる?
だからひとつひとつの動作を丁寧に心を込めて

 自分の体の動きは、みんなほとんど把握していない。一体どんな不自然な、野暮ったい動きをしているのか、幸か不幸かそれさえ自分には見えないが、まずは体の動きに自覚を持つことなのだ。本来は所作しだいで、女はいくらでも変われる、いくらでも美しくなれるという普遍的な法則があるのだから。
 そこでふと気づいた。この人素敵! この人のようになりたい! 少なくとも自分の場合、そういうふうに憧れてしまう人の中には、仕草や身のこなしなど、体の動き自体が美しい人がじつはとても多いこと。10代の頃、憧れていた女生徒は、後で知ったのだけれど、バレリーナを目指す人たった。いつも背筋がピンと伸びていて、指先の1本1本までが優雅に見える人だった。自分が憧れるのは、体の動きの美しさに魂が宿っている人、この事実にも気づくのだ。

 ひとつ、決定的なことを言うなれば、キビキビとした動作は確かにカッコよくて知的。早口のように、スピード感あふれる体の動きで仕事をあっという問に片付ける女性は、もちろん素敵。素敵だけれど、キビキビした動きはそれが本当に板についていてスマートでないと、瑞から見ていて、どうしてもイライラしているように見えてしまう。ともすると乱暴に、ガサガサとがさつに見えてしまう。そういう意味ではとても損なのだ。

 逆にひとつひとつの動作をゆっくりゆったり行うと、それだけで穏やかな、心の整った女に見える。もちろんただのろいのとは違う。所作はゆっくりゆったり流れるようなのに、それでもきちんと物事は片付いていくという、まさに冷静だからゆえの動作こそ、人目を奪うのだと思う。だからともかくまずは、動作を意識してゆったりと、を心がけてみてほしい。努めてゆっくり動くと、自分が今までどんなに乱暴に所作を済ませていたのかが、逆にわかってくるから。

 もっと言うなら、ゆっくり動くとひとつひとつの動作に自覚がこもってくる。動きに気持ちが入ってくる。つまり心がこもってくるのだ。心をこめると、それだけで動作はまた自ずと美しくなるもの。つなぎがなめらかになるもの。特にテーブルに物を置いたり、人に物を渡したり、そういう所作を意識してゆっくりと丁寧に行うと、それだけでその人の印象は明らかに変わってくる。すべてのことに心をこめる人に見えるから。
 だからたった今からこの本のページをめくる動作もゆっくりと丁寧に。それだけであなたの印象はもう変わってくる。
出所:『美人だけが知っている100の秘密』斎藤薫著


>だからともかくまずは、動作を意識してゆったりと、を心がけてみてほしい。
>努めてゆっくり動くと、自分が今までどんなに乱暴に所作を済ませていたのかが、
>逆にわかってくるから。

お化粧を上手、お洋服の着こなしも上手。
でも、どこかに「おとこ」を感じてしまう。
いままでお会いした女装子さんのなかにもこういう方が何人もいらっしゃいました。
(いや、これは仕方がないことです。クロスドレスしようとして努力しているのですから)
この斎藤さんのエッセイを読んで、そのポイントがよくわかりました。
ゆったりした動作、ゆったりとした仕草でした。
「おとこ」のスビートで動くのではなく、「おんな」のスピードにシフトチェンジしてみる。

デートの時、コーヒーを飲むときの動作をゆったりとしてみる。
ホテルの部屋で、彼のグラスにビールを注ぐとき、おとこの飲み会のスピードではなく、ゆったりとゆっくりと注いでみる。
そして自分のグラスについた口紅をティシュでゆっくりとゆっくりと拭いてみる。
すると彼がたまらなくなって、せっかちに唇を寄せてくるかも......。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする