今日は仕事はお休みでした。
このところ、寒暖の差が大きく台風で雨に濡れたりすることもあり、やや体調不良気味です。
今日は特に予定も無かったので、思いっきりマッタリと過ごそう…と考えました。
朝、開いたばかりの自宅最寄り駅の本屋で、先日観た映画『星の子』の原作を買いました。
Kindleで冒頭が無料で読めるので読んでみると、なかなか面白かったからです。
いつも入るドトールコーヒーではなく、駅の高架下に珈琲館があるので、そこで腰を据えて読もうと思いました。
長編小説を読むのは久しぶりです。
四十代半ばまでは常に文庫本や新書本を買って読んでいたような気がします。
小説もけっこう読んでいました。
四十代半ばで老人ホームのケアマネージャーで働くようになると、めっきり本を買わなくなりました。
まれに買うのは健康などの実用書ばかり。
仕事がら書類作成は多いので常に資料としての文章は読んでいるのですが、読書をする心の余裕はなくなっていました。
ましてや小説なんてメンドクサイ…と言う気分で15年くらい来ていたのです。
なかなか面白い小説でした。
何より、主人公の中学三年の女の子が語る…と言う体裁をとっているので文体が易しくて読みやすいのです。
主人公の「私」がやたら食べ物に関心を示すのも面白いし、姉や周囲の友人への素直で瑞々しい感受性も好ましい。
何より、「新興宗教に嵌まって貧窮する家庭」を作り出した両親なのに、どこまで行っても仲が良いのに共感しました。
私も親兄弟に対する葛藤がほとんどないのです。
若い頃は他人の言葉に影響を受けやすかったので、「親に抗ってでも自立しなければならぬ」という一般論に負けていましたが、さすがに六十を過ぎて「自分は自分」という気持ちになっています。
それはともかく、大きなドラマはないので誰にでも薦められる作品ではないですが、冒頭2、3ページが面白く感じられる人には好ましい一作だと思います。
作者の今村夏子さんは昨年『むらさきのスカートの女』で芥川賞を受賞しましたが、別の作品も読んでみたい…と思います。