ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

父の段階

2015-05-20 | 家族
今日は仕事はお休みでした。


午前中にお医者に掛ってから、実家に行きました。
先週の土曜、父と東京ドームに野球観戦した際に借りた車いすを実家近くの社会福祉協議会に返却するためです。
私が家に着くと、父はベッドから立って歩いて居間に出てきました。
電車に乗り継いだりして外出したことが、少し自信になったのかもしれません。


今回、地下鉄とJRを使って野球観戦をして感じたのは、人々の優しさです。
駅員さんたちはどこも複数の人たちで乗り降りを助けてくれました。
エレベーターに乗る際は、見ず知らずの人たちが必ずと言っていいほど「開」のボタンを押して安全に乗れるよう手伝ってくれました。
ドームの座席から父が立ちあがるときはかなりふらつくのですが、後ろや前の観客の方が抑えてくれました。


私は仕事柄、車いすを使って高齢者と外出する機会が多いのですが、そのどの場合よりも「ありがたさ」を感じました。
仕事だと「やってもらって当然」という権利意識が心のどこかにあるのに比べ、肉親の方が「申し訳ない」という気持ちが強いからかもしれません。
とにかく、周りの人たちには本当に助けられました。






父はもともとあまり喋らないほうですが、去年、二度目の入院をしてからはいよいよ口数が少なくなりました。
今回のドーム観戦でも、しばらくはほとんど発語をしませんでした。
でも、一時間もたつと、選手のプレイや場内のアトラクションの感想を言うようになりました。

父が喋らなくなったのは、環境要因が大きい…と改めて確認できました。
母との日常だけでは、なかなか話す機会が生まれないのです。
年齢相応の記憶障害はあるけれど、父はいわゆる認知症ではありません。
買い物でも遊びでも、日常的な楽しみと小さな目的があれば…と思います。





歩行力も、考えていたよりずっとあることが分かりました。
室内なら手すりなど掴まる物が適宜にあれば、転倒リスクは高くありません。
外出も、付き添いがいれば杖歩行での散歩を数十分出来るレベルだと思います。
父の段階を下げないためには、日常的なリハビリ機会が何よりです。
それには両親の意識が一番のハードルですが、何とかしたいものだ…と考えています。