ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

狭量の時代

2014-08-06 | ほとほと日記
今日は仕事はお休みでした。

昨日から、左足の甲が少し赤く腫れていました。
私は尿酸値が上がりやすい体質で、上がるとまず左足の甲が腫れるのです。
医者に行って薬をもらおうと思いましたが、午後休診でした。
私の家からすぐ近くの真面目で優しいお医者さんで何かと相談していますが、水曜の午後が休診とはうっかりしていました。
ただ、日曜以外はお休みがないことを知り、改めて「良く働くなあ…」と思いました。

今年の始めから話題になっていた、いわゆる「STAP細胞論文」の作成責任者の方が、先日自ら命を絶たれました。
私はもちろんこの問題の本質的なことは、自分の能力では理解できません。
でも、亡くなったという報には驚くと共に、とても残念に思いました。

故人を良く知る方々は、口を揃えて「ケタ外れに頭が良く真面目で仕事が出来る人だった」と評しています。
私は仕事でお医者さんと関わる機会が多いのですが、有能なお医者さんは本当に頭脳明晰で責任感も強く、激しい仕事をこなしている…と痛感しています。
そのお医者さんたちが口々に「飛び抜けて優秀」というのだから、故人は本当にかけがえのない人材だったのでしょう。

いつものことですが、論文に疑念が浮かび上がってから、週刊誌やテレビのワイドショーなどがこれでもか…というほど扇情的に報じ続けました。
そしてインターネット上でも数え切れないほどの攻撃的なコメントが書き込まれました。
この論文は若い女性研究者が中心だったこともあり、よりいっそう面白おかしく騒ぎ立てられてきたと思います。

私がいちばん思うのは、いったん「悪者」と見なされた当事者は、社会的に抹殺されるまで許さない…という雰囲気が濃厚な今の時代の恐ろしさです。
亡くなった方に対しての「死ぬことはなかった」と言う評がネット上には多々あります。
でも、私が故人の親族であれば、「あなた方は内心ではこうなるのを期待していたのではないですか?」と言いたくなる気がします。

先行きが見えず不安な時代ですから、どうしても他人を羨んだり責めたくなります。
ようやく生きている独り者の中年は、もう少し他者に寛容な社会でないと恐ろしくてかなわない…と感じます。