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ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、5年間の任期満了を迎えました。しかし、戦争中の戒厳令下で選挙が禁じられており、大統領職を継続しています。

 

《詳細》

ウクライナ戦争が勃発した2022年2月以降、ゼレンスキー政権は何度も戒厳令を延長しています。戒厳令下での選挙は法律で禁じられているため、今年3月に予定していた大統領選挙の実施も先送りとなりました。

 

ウクライナ国民の多くは選挙の実施を望んでおらず、キーウ国際社会学研究所の2月の世論調査では、回答者の69%が「戒厳令が終わるまで大統領職にとどまるべき」と答え、「選挙をした方がよい」との回答は15%にとどまっています。

 

ただ、ウクライナ憲法では、戒厳令下で議会議員の任期が満了した場合は、その解除まで職務を継続すると規定していますが、大統領についてはそのような記載がないといいます。そのあいまいさから、ゼレンスキー氏の「正統性」をめぐって論争が起きています。

 

ゼレンスキー氏は昨年11月に「戦時中で、多くの困難がある中、選挙についての議論を持ち出すのは無責任だ」と述べ、大統領選の先送りを示唆していました。これに対しロシアなどは、「ゼレンスキーは独裁者だ」と非難。ウクライナ元首相のニコライ・アザロフ氏も今年2月、任期が切れたら「自称大統領」になるとし、大統領令も法的効力がなくなると指摘しています。

 

ゼレンスキー氏の任期満了を受けて「独裁者」と呼ぶ声が高まっていますが、大統領選挙の実施の有無にかかわらず、ゼレンスキー政権にはもともと、「独裁的なポピュリズム」という側面が強くあるのも事実です。