《本記事のポイント》

  • 対艦弾道ミサイルの供与で、世界は危機に陥る
  • フーシ派はロシア船や中国船は攻撃しない
  • 米英軍の空爆は効果が上がっていない

 

 

元航空自衛官

河田 成治

河田 成治
プロフィール
(かわだ・せいじ)1967年、岐阜県生まれ。防衛大学校を卒業後、航空自衛隊にパイロットとして従事。現在は、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)の未来創造学部で、安全保障や国際政治学を教えている。

イランはこれまで、中東地域の武装組織に軍事的な支援を行い、従来型の弾道ミサイルも拡散させてきました。

 

今後、射程距離と精度をより進歩させた対艦弾道ミサイルを、イランの代理勢力に拡散させるようになれば、2つの大きな脅威が生まれます。

 

 

対艦弾道ミサイルの供与で、世界は危機に陥る

1つ目は、イランが中東の3つの地政学的要衝である、「紅海の入口(バブ・エル・マンデブ海峡)」、「石油輸出の大動脈であるホルムズ海峡」、「ヨーロッパとインド洋をつなぐスエズ運河」のすべてを射程内に収めることになれば、世界経済を人質に取ることが可能になります。

 

2つ目に、代理勢力を使えば、イランが中東全域の米軍やその同盟国の軍事施設や艦艇に、複数の方向から脅威を与えることができるようになるのです。

 

 

フーシ派はロシア船や中国船は攻撃しない

フーシ派の攻撃による被害を受けているのは、基本的にアメリカを中心とするイスラエルを応援する国の船舶です。

 

1月にフーシ派がロシアのタンカーを誤爆してしまう事件がありました。実はこの時フーシ派は、これを誤爆と丁寧にも認め、「ロシアや中国の船舶を攻撃するつもりはない」と表明しています(*1)。

 

ウクライナ戦争で決定的になった東西の分断により、イランはロシア・中国側の勢力に取り込まれてしまいました。中東でも東西の代理戦争が行われていると見るべきでしょう。

(*1)THE TIMES of ISRAELVOA関連REUTERS

 

 

米英軍の空爆は効果が上がっていない

1月11日を皮切りに、米英軍はイエメンのフーシ派のミサイル発射位置、弾薬庫、防空システムなどへの空爆を開始しました。

 

1月13日には、この一連の空爆は「ポセイドンの射手作戦」と名付けられました。名称が与えられたということは、空爆作戦が長期に及ぶ可能性があり、またより系統立った作戦であることを示しており、現在も空爆は継続中です。

 

HSU未来創造学部では、仏法真理と神の正義を柱としつつ、今回の世界情勢などの生きた専門知識を授業で学び、「国際政治のあるべき姿」への視点を養っています。詳しくはこちらをご覧ください(未来創造学部ホームページ)。