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なぜ、どのワイドショーも朝日新聞の受け売りなのか? 元ADに聞く

2017年12月22日 06時27分58秒 | 日記

なぜ、どのワイドショーも朝日新聞の受け売りなのか? 元ADに聞く

なぜ、どのワイドショーも朝日新聞の受け売りなのか? 元ADに聞く

 
テレビ朝日本社(Wikipediaより)。

 

《本記事のポイント》

  • 徹夜続きの中、スタンスは大手紙に合わせるのがラク
  • 朝日にあわせるのは「ニュースステーション」以来
  • マスコミが変わる「鍵」は新聞にある

 

今年も、日本の政治は、つくづくワイドショーに振り回された。

 

お茶の間に届けられる政治話は、「加計・森友問題」ばかりだった。その"国民的関心"を反映し、国会での議論も、野党による「加計・森友」の追及で占められた。

 

衆院選の報道も、「希望の党」や「立憲民主党」などをめぐる「劇場政治」の解説が大半だった。憲法や国防政策、社会保障、消費税のあり方など、様々な課題が噴き出したが、公平で多角的な意見が紹介されたようには見えなかった。

 

「もうワイドショー政治はうんざり」という声も多い。

 

 

新聞を眺めながら番組内容を考える

そんなワイドショーの論調は、いったいどのように決められているのだろうか。

 

とあるワイドショーのアシスタントディレクター(AD)を務めていたという20代男性は、編集部の取材にこう語る。

 

「テレビの偏向報道は、新聞から始まっている面が大きいのではないでしょうか。番組内容は、ディレクターが新聞を読みながら考えていることが多かったです。文字を追いながら、映像や演出、取材先を思い浮かべていくんです」

 

そうなると、論調も当然、新聞に影響される。

 

「(あるニュースに対する)街の意見などを集めるにしても、『(結論を)こういう風にもっていきたい』というのに合わせて撮ってこないといけません。その方向性も、新聞の論調が一番のベースですね。新聞で出された見解を覆そうという意欲があるわけではないです。その面では、新聞の記者には勝てないので」

 

 

徹夜続きの中、スタンスは大手紙に合わせるのがラク

新聞論調の"受け売り"になりやすくなるのも、事情がある。

 

「忙しすぎて、(見解レベルで)深く考える余裕はないです。もう皆、オンエアに向けて、徹夜続きで走りまわっていますから。

 

放送の3日前とかにネタを絞って、2日前にロケをして、1日前に編集をして、そのまま徹夜で朝まで……ですよ。50代くらいのベテランが、夜中3時に『カクッ、カクッ』と寝落ちしながら原稿チェックしてる状態です。その夜食を、自分たちADが買いに行く。

 

まさに現場はひいひいで、自分たちで詳しく調べる余裕もないので、もう新聞に出ている情報を基盤につくらないと間に合わないんです」

 

リスクを避けたい心理も、"受け売り"の論調につながる。

 

「叩かれないように放送しないと、スポンサーさんに怒られます。だから論調も『右へならえ』で、新聞に合わせておいた方が安全です。演出の仕方や言葉の使い方も、『とりあえずNHKにあわせておこう』ということもあるくらいですから」

 

テレビマンがこだわるのは、むしろ「演出」の方だ。

 

「私たちは、内容や論調うんぬんよりも、演出の独自性で視聴率を取るほうに注力します。もう料理(ニュースへの分析や価値判断)は新聞が大体つくっている。それをテレビは、『レンジでチンする』とか『パセリをのせる』みたいに料理(演出)の方法を考えるんです。

 

『国民を正しく導かないといけない』という意見に対しては……『そうなんだけどね』っていう雰囲気です」

 

もちろん、プロデューサーや上層部の意向で論調が決まることもあるだろうが、「結論は大手紙に合わせておいたほうが安全で早い」というのは、さもありなんという話だ。

 

 

皆が朝日の論調にあわせるのはなぜ?

テレビの論調は新聞の"受け売り"になりがちだが、中でも特に参考にされるのが、朝日新聞だという。

 

一つの理由は、テレビには元々、「朝日新聞がクオリティーペーパー」と考える傾向があることだ。戦後の左翼思想全盛期の名残である。

 

もう一つの理由は、報道バラエティーという番組モデルの先駆けをつくったのが、テレビ朝日だったこと。

 

もともと民放のニュース報道は、ほとんどがNHKのように淡々とニュースを読むものだった。しかし、テレビ朝日がエンターテインメント要素をふんだんに盛り込んだ『ニュースステーション』を企画し、大成功。論調は当然、朝日新聞を元にしたものだった。

 

そのモデルを、他のテレビ局も踏襲し、次々と報道バラエティーが増えていく。その中で、半ば前例主義的に、論調も朝日新聞の路線を踏襲することが、不文律のようになっていったという(*)。

 

 

マスコミが変わる「鍵」は新聞にある

もちろん、全てが新聞の"受け売り"というわけではないだろう。しかし、ここに一つの世論形成のプロセスが見えてくる。

 

新聞は難しい。その内容を読み込んでいる層は、国民の一部だ。「そんな新聞に、どれだけの影響力があるのか」と疑問に思う人もいるかもしれない。

 

しかし、その論調は、ワイドショーなどの忙しい制作者によって、より扇情的に演出された内容に"加工"され、お茶の間の「世論」になっていく。つまりワイドショーには、特に「朝日的論調」を浸透させる、「拡散機」のような役割を果たしている面があるといえる。

 

日本のマスコミの偏向報道に疑問を感じている国民は多い。そんなあり方を変えていく「鍵」は、まずは新聞にあるのかもしれない。

(*)小川榮太郎著『テレビ報道「嘘」のからくり』(青林堂)

(馬場光太郎)

 

【関連記事】

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