ベトナムが南シナ海にロケット発射装置を設置 対中国でまとまるアジア
2016.08.11(LIVERTY WEB)
南シナ海の領有権をめぐってフィリピンが起こした国際仲裁裁判の判決では、中国が主張する領有権は認められなかった。しかし中国は南シナ海で、さらなる軍事化を進めている。
米戦略国際問題研究所(CSIS)は9日までに、中国が南シナ海の南沙諸島に埋め立てた人工島に、軍用機の格納庫を建設しているとの分析結果を公表した。10日付各紙が報じた。
ベトナムが対中国で踏み込んだ自衛策に
一方、中国の侵略的行動に抗議する立場のベトナムは、同じく南沙諸島に移動式のロケット弾発射装置をひそかに設置していたことが10日、分かった。ロイター通信が伝えた。
ベトナムが配備した発射台は、最近イスラエルから購入した最新鋭のEXTRAロケット弾発射装置システムの一部とみられている。ロケット弾は中国が軍事拠点化を進めている同諸島の人工島を射程に収める。今回のベトナムの動きは、最近の南シナ海問題において、中国に対する最も大きな防衛行動であると評されている。
インドのモディ首相も9月にベトナムを訪れ、南シナ海問題などを協議する見通しだ。インドは中国を牽制するため、ベトナムに最新式の巡航ミサイルや対潜魚雷を供与する方向で協議を進めると予想されている(11日付産経ニュース)。
中国は南シナ海で一方的に領有権を主張し、我が物顔で軍事施設を建設している。今回のベトナムの発射台設置は防衛上、正当性のある行為だ。フィリピンのドゥテルテ大統領は、「中国とは争わない」として、中国との対話を重視する姿勢を示している。今回のベトナムの毅然とした対応を見れば、フィリピンよりも「対中強硬派」といえる。
中国は北のミサイル発射も非難せず
中国が周辺国の安全保障を脅かしているのは、南シナ海問題に限ったことではない。
北朝鮮が発射したミサイルが3日、日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾したのを受け、国連安全保障理事会(安保理)は北朝鮮に対する非難声明を採択しようとした。しかし、中国の合意が得られなかったため、見送りになる見込みだ。
アジアの平和のための中国包囲網を
中国は合意しない理由として、「アメリカが最新鋭ミサイル防衛システム (THAAD)を韓国に配備すると、北東アジアの緊張が高まる」としている。しかし、北東アジアの緊張を高めているのは北朝鮮であり、また中国でもある。
日本とアメリカ、またインドなどの協力が、南シナ海における中国の軍事拡張を抑止する。日本は、フィリピンやベトナムなどとの連携を深め、着実に中国と北朝鮮に対する包囲網を築いて抑止力を強めることが必要だ。
(小林真由美)
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